食品添加物は本当に安全?種類や用途、必要性について解説

公開日:2024年5月28日 最終更新日:2024年5月27日

多くの食品には、保存性や食品のうまみを高めるために食品添加物が使用されています。 

基本的に食品に使用される添加物は、食品衛生法(昭和22年法律第233号)に基づき厚生労働省に認可されたものだけです。しかし消費者の中には「食品添加物=悪いもの」と認識している人が多いのも事実です。 

この記事では、食品添加物の用途や種類、本当に必要なものなのか詳しく解説していきます。 

 

食品添加物とは 

食品添加物とは、食品の加工や保存を目的として、添加されるものを指します。 

保存だけでなく、甘味料や着色料、香料なども添加物に分類されます。 

食品に使用できる添加物は、原則として厚生労働大臣が指定したものだけです。 

現在の法律には「天然」や「合成」の区別はなく、どちらも食品添加物として使用が許可されています。 

食品添加物は、国民一人当たりの摂取量を調査し、安全性に問題がないかきちんと確認しています。人の健康を損なう恐れのない場合にのみ許可されるものなので、安全性は高いと認識していいでしょう。 

 

日本で使用が認められている4種類の食品添加物 

日本で使用が認められている添加物は以下の4種類です。 

指定添加物 

食品衛生法第12条に基づき、厚生労働大臣が定めたもの。 

例:クエン酸、D-ソルビトール、ソルビン酸、キシリトール

既存添加物

法改正前にすでに長い食実績があるもの。 

例:クチナシ、ウコン色素、ヒマワリ種子抽出物 

天然香料

植物から得られた天然の物質。食品に香りをつける目的で使用されるもの。 

例:バニラ香料、アップルミント、ラベンダー 

一般飲食物添加物

一般に飲食に供されているもので添加物として使用されるもの。 

例:寒天、小麦粉、コラーゲン

参照:厚生労働省 

 

使用できる食品添加物は、原則として厚労省が指定したもののみです。ただし例外として既存添加物、天然香料、一般飲食物添加物などは、指定を受けなくても使用や販売等が認められる場合があります。 

特に食品メーカーは、食品表示で添加物を記載しなければなりません。添加物の表示について詳しく知りたい方は、食品表示.comをご参照ください。 

 

食品添加物は食品にとって欠かせないもの 

食品添加物に悪いイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。 

しかし実は、食品添加物は私たちの食生活に欠かせないものなんです。そこで食品添加物が、どう食品に作用しているのか解説していきます。 

食品を長持ちさせる 

食品添加物は、食品の保存性を高めてくれます。特に肉や魚などの生鮮食品は、食品添加物のおかげで流通量が増えました。 

例えば、岩塩には保存性を高め、肉の色をよくする作用があります。そこから、岩塩に含まれる「硝酸塩」が見つかり、食品添加物として使用されるようになりました。 

現在でもハムやソーセージには食品添加物が入っており、日持ちする食品として重宝されています。 

【保存性を高める食品添加物】 

保存料、酸化防止剤、殺菌剤  

食感を生み出す 

食品添加物は、食品の食感を生み出してくれます。 

例えば「寒天」は、一般家庭でもよく使用される食品添加物です。その他にも、日本人の国民食であるラーメンには、食感やコシを出すために「かんすい」が使用されています。 

【食感を生み出す食品添加物】 

凝固剤、膨張剤、かんすい、乳化剤、ゲル化剤、安定剤 

味や香りを引き出す 

食品添加物は、味や香りを引き出すときに重宝します。 

例えば、ガムに入っている「キシリトール」、酸っぱいジュースに入っている「クエン酸」も食品添加物のひとつです。 

食品添加物を加えることで、食品の味をより良いものにしてくれます。 

【味や香りを引き出す食品添加物】 

甘味料、酸味料、苦味料、調味料、香料 

 

化学合成添加物は天然添加物より危険なのか? 

添加物には、「化学合成添加物」「天然添加物」があります。 

その中でも「化学合成添加物」に危険なイメージを持った人もいるかと思います。 

しかしどちらも厚生労働大臣が「安全なもの」と認可しているものです。よって化学合成添加物と天然添加物、どちらも安全な食品添加物です。 

ちなみに、化学合成添加物は何度も実験をして安全性を確かめられています。一方で天然添加物は実験のデータが少ないため、化学合成添加物よりも不確定な部分が多いとも言われています。 

参照:たべしずねっと 

 

そもそも、食品添加物の量はごく少量で、日常生活には支障のない範囲で使用されています。 

重要なのは「量」であり、使われている食品添加物の種類ではありません。 

例えば塩を大量に摂取すると病気になり、最悪の場合、死に至ります。 

1日の食塩摂取量の目標は、男性7.5グラム未満、女性6.5グラム未満。これを超えると、健康に問題が生じやすくなります。 

要するに「どんな食品もたくさん食べれば毒になる」ということです。 

摂取する「量」で安全が決まりますので、食品添加物の種類ではなく、摂取する量で考えてみてください。

 

食品添加物「ベニコウジ色素」は「紅麹原料」とは違うもの 

2024年に「紅麹原料」の健康被害が大きなニュースとなりました。  

そこで浮かんでくるのが食品添加物「ベニコウジ色素」の安全性です。 

しかし「ベニコウジ色素」と「紅麹原料」は全くの別物です。 

ベニコウジ色素は、厚生労働省が認めている着色料であり、安全性が担保されています。実際にベニコウジ色素の健康危害が発生した事例はこれまでありません。 

一方で紅麹原料は、食品添加物ではなく「食品原料」です。厚生労働省の認可も受けていない、一般の食品となります。 

ベニコウジ色素が含まれる食品は安全ですので、紅麹原料と混同しないように注意してください。 

 

食品添加物でよくある質問 

食品添加物でよくある質問に回答していきます。 

味の素って安全ですか? 

味の素の原料は、グルタミン酸ナトリウムです。日本ではさとうきびから製造され、醤油や味噌と同じ発酵方法で通られています。 

グルタミン酸ナトリウムは、食品衛生法上の規定で食品添加物の調味料に分類され、安全性試験をすべてクリアしています。 

1987年には国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の合同食品添加物専門家会議(JECFA)が、グルタミン酸ナトリウムの安全性を評価し、「グルタミン酸ナトリウムがヒトの健康を害することはないので、一日の許容摂取量を特定しない」と結論が出ています。

参照:味の素株式会社 

食品添加物を摂らないメリットは? 

食品添加物を摂らないメリットは、食品本来の味を感じられることです。 

食品添加物は、食品の味や香り、食感を良くするために使用されるものです。食品本来の味よりも濃く作られる傾向があり、多くの人はその味に慣れています。 

食品添加物の少ない食品を食べると、最初は薄味に感じるかもしれません。しかし次第に素材本来の味を感じられ、些細な変化に気づきやすくなります。 

無添加の方が安全ですか? 

「無添加」の食品を見ると、安全そうなイメージが沸きます。しかし無添加が安全とは限りません。 

例えば、「保存料不使用」と表示した食品の中には、他の食品添加物で保存を代用しているケースがあります。 

ちなみに、無添加食品が安全という化学的根拠は一切ありません。メディアやSNSなどで「無添加=健康に良い」など、紛らわしい発信が消費者のイメージを作っているのです。 

また食品メーカー側も、消費者に誤解を与えない「無添加」表示を心がけましょう。 

202441日から、消費者庁「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」がスタートしています。食品メーカーは、このルールに沿って正しく無添加を表示しなければなりません。 

 

食品表示.comにて、セミナー動画消費者に誤解を与えない正しい「無添加」表示とはを公開しておりますので、ぜひご参照ください。

▼セミナー動画:消費者に誤解を与えない正しい「無添加」表示とは

食品添加物の役割を正しく理解しよう 

今回は、食品添加物について詳しく解説してきました。 

食品添加物は「あまりよくないもの」というイメージから「安全なもの」と考え方が変わったのではないでしょうか。 

 どんな食品でも同じですが「摂りすぎると毒」です。適切な量を守り、バランスの良い食生活を心がけましょう。 

 

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