「代替肉」の食品表示のルールや注意点、よくある質問をまとめて解説

公開日:2024年1月8日 最終更新日:2024年2月1日

植物や動物の細胞から作られる代替肉が注目を集めています。多くの食品メーカーが参入し、今後もその流れは加速すると予想されます。
そこで問題となるのが食品表示のルールです。例えば、大豆を使った代替肉であっても、消費者からすると「本物の肉が使われているの?」と疑問に感じるかもしれません
この記事では、代替肉とはどういうものなのか、また、注意が必要な食品表示ルールについて詳しく解説します。食品表示は企業の信頼に関わるものなので、必ずチェックしておきましょう。

代替肉とは

代替肉とは、植物や動物の細胞などから作られた、従来の畜産肉に変わる食品です
大豆など植物原料から作られたものを「プラントベースフード」、動物の細胞から作られたものを「培養肉」と呼びます。
特に日本では、大豆から作られた「大豆ミート」が注目を集めています。その理由は、大豆を食べ慣れているといった安心感に、良質なタンパク質を摂取できるということが広く知られている点が大きいいようです。
タンパク質は、炭水化物(糖質)、脂質と合わせて三大栄養素のひとつ。中でもタンパク質は、体内で合成できない必須アミノ酸が含まれています。そのため、タンパク質を効率的に摂取できる大豆ミートの人気が高まっているのです。
昔から食卓に欠かせない豆腐や納豆、醤油、味噌なども大豆が原料。日本人に馴染みの深い食べ物です。消費者からも受け入れられやすく、代替肉の市場は伸びていくと予想されています。

代替肉市場に参入する食品メーカーが増えている

代替肉の開発・生産を始める食品メーカーが増えています。
なぜ代替肉が注目を集めているのか?その理由は以下が考えられます。

  • ・温室効果ガスの削減、食糧危機へのリスクヘッジ
  • ・新規顧客へリーチできる
  • ・口蹄疫や鳥インフルなど感染症リスクがない
  • ・ヴィーガン・宗教への対応
  • ・世界的なトレンドになっている

代替肉は世界的に注目を集めており、2020年には1兆1885億円規模にまで膨らんでいます。日本でも市場が広がりをみせ、大手メーカーだけでなく、中小規模のメーカーの開発も盛んです。

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流行りの代替肉市場、参入メリットは?大豆ミートや、無印・カバヤ・昭和産業の事例をご紹介

 

代替肉で注意したいのが食品表示ルール

代替肉で注意したいのが食品表示ルール

これから代替肉市場に参入したい、もしくは開発を始めているといった方が最も注意すべきなのが食品表示ルールです。
例えば、加工会社側は、「植物を原料とした代替肉は食肉を使用していない。」という前提で加工販売をしますが、消費者側にとっては、「肉」という言葉が使われているため「食肉が入っているのではないか?」と疑問に感じるケースが考えられます。
特にベジタリアンやヴィーガンの人は、食肉に対して敏感です。そのため食品表示には、細心の注意を払わなければなりません。

もし、植物由来の代替肉を販売するのであれば

「お肉を使用していない大豆ミート」
「肉不使用」
「植物性原料100%(食品添加物を除く)」

など、誤解を与えない表示をしておきましょう。

仮に誤解を与えるような表示をすると、景品表示法上問題になる可能性があります。そうなれば自社の信頼を損なってしまいます。

食品表示は、細かい部分まで配慮することが必要です。

 

代替肉の食品表示ルールでよくある質問

代替肉はまだ新しい分野であるため、食品表示ルールについて多くの疑問が浮かんできます。
そこで消費者庁のQ&Aを参照し、食品表示ルールでよくある質問をまとめてみました。
※2023年11月時点の情報

「大豆肉」「大豆からつくったハンバーグ」などと表示することは景品表示法上問題になる?

植物由来の原料から作られた代替肉は食肉ではありません。そのため、食肉と誤認する表示になっていなければ景品表示法上問題にはなりません
消費者に誤解を与えないように「大豆を使用したものです」「原材料に大豆使用」「お肉を使用していません」「肉不使用」などと表示することが推奨されています。

代替肉から作った加工食品の原材料はどう記載すべき?

代替肉から作った加工食品の食品表示で迷う場面があります。食品表示基準では、「その最も一般的な名称をもって表示する」と書かれています。例えば、大豆ミートで作られたミートソースの場合、「大豆」「大豆加工品」等と記載すれば問題ありません。

食肉製品工場で代替肉を製造する場合、アレルギー表示は必要?

食肉と代替肉を同一の工場で生産する場合、注意喚起の表示が推奨されています。製造ラインを十分に洗浄したり、混入防止の仕組みを整えたりすることも大切ですが、混入の可能性が少しでも残っている場合は、注意書きを加えておくと安心です。
例えば、一括表示枠外に「本品製造工場では豚肉を含む製品を生産しています。」と書いておけば、消費者も安心して商品を購入できます。

 

▼「代替肉」「大豆ミート食品類」の食品表示に関するさらに詳しい記事を見る(サイト/食品表示.com

 

 

 

代替肉の商品を開発する食品メーカーの事例

最後に代替肉の商品を開発する食品メーカーの事例を紹介します。

大豆ミートのパスタソースが人気の「昭和産業」

昭和産業
■画像引用元:粒状大豆たん白 | 大豆加工品 | 業務用商品 | 昭和産業株式会社(https://www.showa-sangyo.co.jp/pro/soybean/product01/

昭和産業は、大豆たん白をメインに製造・販売している食品メーカーです。
主力商品は、フレーク状の大豆ミート「ソイバリューHシリーズ」。水戻しすれば簡単に調理でき、肉のような食感を楽しめます。
また大豆ミートを加工したパスタソースも人気です。ボロネーゼやクリームソースなど、ひき肉の代わりに大豆ミートを使うことでヘルシーに仕上げています。動物性脂肪は使われていないため、ベジタリアンやヴィーガンの人でも安心して食べられるのが魅力。
表面には「大豆ミート※大豆を使用したものです」と記載があり、消費者にもわかりやすい表示がされています。企業や役所の食堂でも大豆ミートのメニューが好評で、今後はさらに売上を伸ばしていくと予想できます。

代替肉の焼肉で注目を集める「ネクストミーツ」

ネクストミーツ
■画像引用元:Next Meats | 地球を終わらせない。(https://www.nextmeats.co.jp/

ネクストミーツは、代替肉に特化した食品メーカーです。主力商品は「NEXTカルビ」「NEXT牛丼」など14種類。一般的な大豆ミートとは違い、より食肉に近い形の商品をラインナップしています。パッケージには、食肉と見間違うほどリアルな大豆ミートの写真が載っていますが「100%植物性」「動物性の肉ではありません」と記載されています。
現在は焼肉チェーン「焼肉ライク」など、大手飲食店での取り扱いも始まっています。また海外展開も順調で、アメリカ、シンガポール、香港、台湾、ベトナムなどでの販売も開始。今後はヨーロッパや中国、インドなどにも展開していく動きを進めています。

大豆で肉感のあるお菓子を開発する「カバヤ食品」

カバヤ食品
■画像引用元:ソイジャーキー | 素材菓子 | カバヤ食品株式会社(https://www.kabaya.co.jp/catalog/sozai/4110.html

お菓子メーカーのカバヤ食品では、大豆を原料にしたお菓子を開発・販売。「ソイジャーキー」「これが大豆!? 手羽先味」など、大豆を使った素材菓子が人気です。
これらは鶏肉や豚肉のエキスが使用されているため、パッケージには必要最低限の記載のみ。「食物繊維」や「植物性たんぱく質」を摂取できる点を押し出しています
大豆ミートと聞くと料理をイメージしがちですが、お菓子の分野でも十分に通用できるとわかります。

代替肉の食品表示には細心の注意を払おう

今回は代替肉の食品表示について解説してきました。植物性の代替肉であっても、消費者の視点からみると食肉と間違えてしまう可能性があります。商品の信頼性を担保する上でも、食品表示には細心の注意を払いましょう。
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▼「代替肉」「大豆ミート食品類」の食品表示に関するさらに詳しい記事を見る(サイト/食品表示.com