2021年6月にHACCP制度化が完全義務化されます ~食品事業者が取り組むべきポイントと支援のご紹介~

公開日:2021年2月3日 最終更新日:2021年9月6日

「食品衛生法」が2018年6月に改正されました。これを受けて、すべての食品事業者は2021年6月までにHACCP制度化が義務付けられることになりました。対象となるのは、外食、食品製造、卸、小売など。

HACCPの制度化については、対策や時期、進め方など、皆様が疑問に感じられていることも多いかと思います。
このページでは、HACCP制度化に向けて取り組むべき方策などについて解説していきます。


HACCPとは

HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point:ハサップ)は、事業者が食中毒菌汚染等の危害要因を把握した上で、原材料の入荷から製品出荷までの全工程の中で、危害要因を除去低減させるために特に重要な工程を管理し、安全性を確保する衛生管理手法。先進国を中心に義務化が進められています。

2018年6月に公布された「改正食品衛生法」は以下の7項目。
HACCP制度化は、このうち2番目の「HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理の制度化」の項目にあたります。

(1)広域的な食中毒事案への対策強化
(2)HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理の制度化
(3)特別の注意を必要とする成分等を含む健康被害情報の収集
(4)国際整合的な食品用器具・容器包装の衛生規制の整備
(5)営業許可制度の見直し、営業届出制度の創設
(6)食品リコール情報の報告制度の創設
(7)その他(輸入・輸出関係)

「HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理の制度化」では、外食も含めたすべての食品事業者に、一般衛生管理に加え、HACCPに沿った衛生管理の実施が求められます。ただし、規模や業種等を考慮した一定の営業者については、取り扱う食品の特性等に応じた衛生管理としています。

HACCP制度化とは

HACCPの制度化は、2020年6月に施行され、すべての食品事業者は、さらに1年後の2021年6月までに完全実施することが義務付けられました。

ここで言われている「制度化」や「義務化」とは、第三者機関によるHACCP認証・認定の取得を義務付けるものではありません。食品事業者の実施状況について、保健所等が営業許可の更新時や通常の定期立入検査の際に、HACCPの7原則の考え方に基づいて、衛生管理計画の作成や実践がなされているか監視指導を行う仕組みで、これまで行ってきた衛生管理を工程ごとに「見える化」することが求められます。具体的には大きく3つのステップがあります。

HACCP制度化対応の3ステップ

(1)衛生管理計画の作成

実施する衛生管理を計画するため、施設・備品・従業員などの衛生が保たれているかチェックする項目を、「一般的衛生管理」と「重要管理」に分けます。

《一般的衛生管理》

原材料の取り扱いや施設・店舗の清潔維持、従業員の健康のチェックなど、工程ごとにリスクを洗い出します。基本的には、日ごろの衛生管理項目を書き出して要所を明確にします。
一般的なことをまとめつつ、それぞれ「いつ?」「どのように?」「問題があった時は?」を決めおく必要があります。具体的な項目やチェックポイントは、厚生労働省のホームページで公開している手引書に示されている例を参照しましょう。

《重要管理》

一般的衛生管理でリスクを洗い出した結果、特に重点的に管理しなければならない工程が「重要管理点」です。最終的に製品を販売するかどうか判断する工程となります。
重要管理点では、主に「生物的危害」「化学的危害」「物理的危害」の発生をどう防ぐか考えて、別の用紙にまとます。生物的危害と化学的危害は、目視によるリスクの確認が不可能なため、食材ごとに管理すべき温度(表)を周知して、従業員で共有するなど対策を立てましょう。


○作り置きするもの

・微生物が増殖しやすい危険温度帯(10~60℃)に長く置かない。
・冷却する場合、30分以内に20℃以下にし、60分以内に10℃以下にする。
・再加熱する場合、充分加熱する。

○食肉・食鳥肉

・鶏肉は肉の中心部まで十分に加熱する(75℃で1分以上)。
・保存する場合、10℃以下(生食用牛肉は4℃以下)または60℃以上を保つ。

○卵

・割卵後は直ちに調理して早めに提供する。
・割り置きは絶対しない。

○魚介類

・信頼できる業者から仕入れる。
・新鮮なものを選ぶ。
・海水でなく水道水でよく洗う。
・鮮度が低下したものは使用しない。
・生の魚は、短時間でも室温に放置せず冷蔵、冷凍する。
・解凍や加工は、低温管理を徹底する。
・魚の内臓は速やかに取り除く。
・内臓は生の状態で加工・提供しない。
・寄生虫は目視で見つけて除去する。または-20℃で24時間以上冷凍するか、60℃以上で1分間加熱する(70℃以上で瞬時)。

○野菜・果物

・よく洗い、必要に応じて殺菌する。

○米飯、めん類

・調理後は室内に放置せず、10℃以下または60℃以上で保存する。

○ふぐ、二枚貝、きのこ類

・食用のみを使用する。


管理温度

区分管理推奨温度法律上の温度
冷凍品-20℃以下-15℃以下
冷蔵品食肉3〜0℃10℃以下
一部の食肉は4℃以下
鮮魚3〜0℃
乳製品5〜3℃
青果7〜5℃

 

(2)計画の実施

実施者は「なぜ必要なのか」を理解しておくことがポイントです。理解がなければ正しい実施ができず、継続的な管理も難くなります。責任者は、従業員教育の場を作ることも必要です。

 

(3)実施内容の記録

計画を実施した後は必ず記録を残し、1年間保管してください。記録することで衛生管理が適切に実施されている証明となり、万が一問題が発生した場合、管理が適切だったことの証拠となります。逆に、記録をとっていなければ食中毒の事故が発生した際に適正な管理を行っていた証拠がなく、顧客や取引先の信用を失うことになります。

作業するたび、あるいはタイミングを決めて、必ず記録を残しましょう。また、日々の記入者とは別に、内容を確認する責任者も決めてください。

継続して記録していくには、「〇/×」チェックなど、誰でもわかりやすく記入できるものが望ましいでしょう。業態や規模によって必要項目は変わってくるので、自社にあわせて考えてみてください。また、衛生管理計画は、一度作ってしまえばそれで終わりではなく、記録をもとに、定期的(月に1度など)に振り返りを行って、問題があれば改善していくことも大切です。

《工程ごとの注意点》

食品工場・配送車・飲食店などでの工程で、特に注意が必要な箇所です。食中毒の事故は、有害な微生物が繁殖して、他の食材に付着することで広がっていきます。微生物が繁殖しやすい危険温度帯(10~60℃)に食品が長時間とどまらないよう注意し、その他の異物混入や食品表示ミスなどの事故も、しっかり管理して防ぎましょう。

《厚労省の手引書を参照に》

これまでの衛生管理を見直して安全性を高めるには、まずは施設や店舗の特性にあわせた衛生管理計画を立てる必要があります。厚生労働省のホームページで公開している「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書」に沿ってスタートしてみてください。

 

HACCPの7原則12手順

HACCP導入・認証取得には、HACCPの構築の手順である「7原則12手順」の構築が必要です。
これは「7原則(手順)」と、7原則の前準備のための「5手順」から構成されています。

【HACCPの7原則12手順】
1)HACCP チームの編成
2)製品説明書の作成
3)意図する用途などの確認
4)製造工程一覧図の作成
5)製造工程一覧図の現場確認
6)危害要因の分析
7)重要管理点(CCP)の決定
8)管理基準(CL)の設定
9)モニタリング方法の設定
10)改善措置の設定
11)検証の実施
12)記録と保存方法設定

 

下記はHACCPの7原則12手順の解説動画です。


※動画では3手順までを解説しております。

 

HACCP認証取得支援のご紹介

食品事業者は2021年6月までにHACCP制度化に対応することが義務付けられています。
ご紹介する「HACCP導入サポートサービス」では、HACCP制度化への対応のみならず、HACCP認証取得のサポートを受けることができます。

▼HACCP導入サポートサービスのご紹介

今回の制度化では、認証取得自体は義務化されておりませんが、HACCP認証を取得するメリットは大きいため、ご要望に応じてJHS食品安全マネジメント規格としての認証取得のサポートを受けることができます。

《HACCP認証取得のメリット》

・HACCP制度化の要件をすべて満たせる
・管理基準が高いため規格として信頼性が高い
・食品の安全・安心・信頼を表記できる
・更新監査が免除になるなど業務効率が可能
・特定の大手事業者との取引に有利
・国際基準のため輸出拡大に有利

 

これを機に、HACCP導入のサポートについて考えてみられてはいかがでしょうか。

 

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