食品メーカー必見!代替肉の次に来る!代替魚のメリットや特徴、商品開発事例のご紹介

公開日:2022年11月3日 最終更新日:2022年10月27日

魚に代わる食品「代替魚」をご存知でしょうか?
大豆ミートのような代替肉だけでなく、代替魚も食品業界から注目を集めています。
代替魚は、魚介類の資源確保や安定供給を目的とし、世界中で急速に広がり始めました。

そこでこの記事では、代替魚の特徴やメリット、導入事例をご紹介します。

「代替肉」ならぬ「代替魚」とは?

代替魚(代替シーフード)とは、魚を使用せずに植物などで代替した加工食品です。

もともと代替魚とは、漁獲量が減っている魚介類を、見た目や味が似ている魚介類と置き換えるものでした。
しかし最近は、魚介類を一切使用しない代替魚も注目を集めているのです。

代替魚が普及することで、漁業資源の確保や食材の安定供給、ヴィーガンへの対応など、さまざまな問題を解決できます。

現代は魚介類を大量消費し、漁獲量が減るなど世界的な問題に発展しています。
そのため、魚を代替魚に置き換えることで、魚介類の保護につながっていくのです。

代替魚は大豆や小麦、とうもろこし粉などの植物性の原料を使用して作られています。
例えば、マグロを使用せず大豆と酵母などで作ったツナは、代表的な事例といえるでしょう。

代替魚が普及すれば、漁業資源の確保につながるだけでなく、私たちの食生活も変わっていくかもしれません。

代替シーフードが世界で注目される理由

代替魚(代替シーフード)が世界で注目されている理由を解説します。

海産物の消費量増加

世界的な人口増加により、水産資源の消費量も増加の一途を辿っています。
国連の調査によると、2050年には世界人口が100億人に達するといわれ、食糧確保が課題です。

今後はさらに海産物の消費量が増加し、食糧の供給が追いつかなくなることが危惧されています。
よって代替魚を普及させ、海産物の消費量を抑えなければならないのです。

海洋水産資源の減少

「FAO(国連食糧農業機関)の世界漁業・養殖業白書(2018)」によると、持続不可能な状態で漁獲されている海洋資源の割合は2015年で33.1%。持続可能な状態の割合はわずか7%しかありません。

存続可能な状態の水産資源は減少傾向にあり、今のままでは世界中の海産物が大幅に減少してしまうのです。
そのため、魚介類を一切使わない代替魚が注目を集めています。

▼FAO(国連食糧農業機関)の世界漁業・養殖業白書(2018)

ヴィーガンに対応している 

代替魚は、100%植物由来の成分で作られています。よってヴィーガンの人でも魚介類を楽しめます。
今まで魚介類を食べられなかった人の需要が見込まれるため、食品メーカーから注目を集めているのです。

現在日本でもヴィーガン人口が増えている背景もあり、国内の食品メーカーで開発が進んでいます。

食品メーカーが代替魚市場に参入するメリット

食品メーカーが代替魚市場に参入するメリットを紹介します。

「SDGs」の取り組みによる企業イメージのアップ

SDGsは持続可能でより良い世界を目指す国際目標です。
そのため持続が難しくなっている海産物を代替魚に置き換えることで、SDGsの取り組みをアピールできます。

代替魚を導入すれば、海の資源を保護でき、意識の高い消費者から支持されやすくなります。
最近は、企業の取り組みを見て商品を選ぶ人も増えてきました。よって代替魚に参入する価値は十分にあるといえるでしょう。

新しい顧客の獲得

代替魚は100%植物由来の原料から作られた食品です。
よって今まで魚を食べられなかったヴィーガンの需要を取り込むことができます。
日本でもヴィーガン人口が増えており、顧客獲得に効果的でしょう。

また魚介類のアレルギーを持つ人にもおすすめです。アレルギーの人は一定数いるため、気にせず食べられる代替魚であれば、購入してくれるチャンスが増えるはずです。

高級海産物をリーズナブルに提供できる

代替魚は、本物の魚介類に比べて安価に製造できます。
中には高級海産物の代替魚もあるため、消費者はリーズナブルな価格で魚介類を楽しめるのがメリット。
「魚介類は高い」というイメージを払拭できるのもポイントです。

海の資源を守りつつ、魚介類に近い味をリーズナブルに楽しめる時代が近づいています。

代替魚を活用した食品メーカーの事例

代替魚を活用している食品メーカーの事例をご紹介します。

■あづまフーズ「まるで魚シリーズ」

水産物の加工を中心に行う「あづまフーズ」では、植物性タンパク質を原料とした「まるで魚」シリーズを開発しています。

ラインナップは「サーモン」「マグロ」「イカ」の3種類で、本物と遜色ない見た目をしています。
原材料はこんにゃく粉や食塩、ローカストビーンガム(豆科の植物から開発された天然の安定剤)、トレハロースなど。着色料にパプリカ色素やカラメル色素を使用することにより、魚の色合いを再現しています。

その再現度の高さから国内だけでなく、海外からの注文が殺到しているようです。
また魚の味や香りを一切入れないことで、魚介類が苦手な人に手に取ってもらいやすい設計となっています。

■植物性シーフードの開発を進めるネスレ

日本でも有名な海外食品メーカー「ネスレ」では、植物由来のシーフードを開発。
植物原料から作られたマグロは、サラダやサンドウィッチ、ピザなどに活用されています。

もともとネスレは大豆ミートの開発に力を入れており、ミンチやミートボール、ソーセージなどさまざまな代替肉を提供してきました。
今後は植物性シーフードの開発を推進し、代替魚の普及に努めるようです。

■植物性タンパク質の魚肉を開発するグリーンカルチャー

グリーンカルチャーは、植物性タンパク質を原料とした肉や魚を開発する企業です。
もともとは植物肉「Green Meat™」から始まり、その研究を元に、
代替魚の開発にも成功しています。 

同社では、魚特有の食感や味わいを忠実に再現。寿司や丼に使用しても違和感なく食べられるのが魅力です。
実際に東京の和食店で「軍艦巻き」として提供されており、ヴィーガンやアレルギーの方でも安心して、お寿司を食べられるようになっています。
 

国内の代替魚メーカーを牽引する存在として、これからも開発を進めていくようです。 

■植物性タンパク質で再現した「NEXTツナ」

日本発のフードテックベンチャー「ネクストミーツ」は、焼肉向けの代替肉「NEXT焼肉シリーズ」や鶏肉の代替肉「NEXTチキン」など数々の代替肉を開発してきたメーカーです。

そして2021年には、初となる代替シーフード「NEXTツナ」を発売しました。
大豆を主原料とし、低脂質でコレステロールもゼロ。ヘルシーフードとしても注目を集めています。

缶タイプなのでそのまま使用でき、サラダやサンドウィッチなどにおすすめです。
常温での保存も可能なので、アウトドアや災害時の非常食としても活用できます。

代替魚市場は盛り上がりを見せている 

今回は代替肉と同様に注目を集めている代替魚について解説してきました。
代替魚は世界の漁獲量の減少を食い止めるだけでなく、ヴィーガンやアレルギーの人など多くの人の需要を見込める食品です。 

新商品を考えている食品メーカーの方は、代替魚の商品開発を検討されてみてはいかがでしょうか。 

 

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