流行りの代替肉市場、参入メリットは?大豆ミートや、無印・カバヤ・昭和産業の事例をご紹介

流行りの代替肉市場、参入メリットは?
公開日:2022年8月24日 最終更新日:2022年8月19日

お肉に代わる食品として「代替肉」が注目を集めています。
現代では食品加工技術が発達し、豆類や小麦などからお肉のような食品を作れるようになりました。代替肉は食糧不足や菜食主義者への配慮などから、世界中で急速に広がっています。
そこでこの記事では、代替肉の特徴や種類、メリット、導入事例をご紹介します。

代替肉とは?

代替肉とは?

代替肉とは、動物の肉を使用せずに、植物や動物の細胞などで代替したものです。最近では、牛の細胞から作られる培養肉も注目を集めています。

特に日本で広がりを見せているのが、豆類から作られる大豆ミートです。ソイミートやフェイクミート、大豆肉、擬似肉など、さまざまな名称で呼ばれています。

日本のスーパーでは大豆ミートの販売が始まり、挽き肉タイプやブロックタイプなど、多種多様な商品が売り出されるようになりました。大豆は日本人に馴染み深い食べ物なので、受け入れられやすく、徐々に認知度が上がっています。

 

代替肉の種類は?植物肉と培養肉

代替肉には植物性の原料から作られた「植物肉」と、動物性の原料から作られた「培養肉」があります。それぞれどんな特徴があるのか、詳しく解説していきます。

 

■ 植物肉(大豆ミートなど)
植物肉とは、豆類や小麦タンパク質から作られた植物性のお肉です。別名「プラントベースミート」とも呼ばれ、食品スーパーでよく見かけます。

植物肉は環境問題や菜食主義者へ配慮できるため、世界中で注目を集めています。食感も肉に近く、味付けをすれば普段食べているお肉と変わらない美味しさを楽しめるのがメリットです。

 

■ 培養肉
培養肉とは、動物から取り出した細胞を元に生成されるお肉です。別名「試験管肉」とも呼ばれ、細胞農業の最先端を担っています。

家畜を原料としているため、植物肉よりも本物のお肉に近い食感や味わいを楽しめるのが特徴です。現在は、牛や豚、鶏だけでなく、魚や甲殻類、ホタテなどの魚介類での研究も進んでいます。

 

代替肉が注目を集める理由

代替肉が注目を集める理由をさらに深掘りします。

温室効果ガスの削減

温室効果ガスの削減

代替肉の普及は、温室効果ガス削減に貢献しています。
家畜を育てるには、餌や水、土地が必要で、それに伴い、二酸化炭素の排出量が増加。実際に家畜業界が排出している二酸化炭素は、地球全体の約15%を占めているといわれています。

よって代替肉は、環境問題の解決策として注目されているのです。代替肉の割合が増えれば、家畜の量も減り、温室効果ガスの削減につながります。

食糧危機へのリスクヘッジ

日本では少子化や人口減少が叫ばれていますが、世界的には人口が増え続け、食糧不足が深刻化。2030年にはタンパク質の需要が人口に追いつかず「タンパク質危機」が訪れると危惧されています。

また気候変動によって農作物の収穫量も不安定となり、食糧の確保はさらに困難を極めています。

そんな時に活躍するのが代替肉です。植物や動物の細胞から作られるお肉は、タンパク質を豊富に含んでおり、食糧問題の解決に一躍かっています。また代替肉は安定供給が可能なので、気候変動のリスクにも備えられるでしょう。

健康のメリット

豆類を原料とした大豆ミートは、健康面のメリットから注目を集めています。大豆は「畑の肉」といわれるほどタンパク質が豊富です。それだけでなく、イソフラボンやビタミンB群、食物繊維、鉄、カルシウムなどの栄養素も含んでいます。

また大豆は日本人に馴染み深く、納豆や豆腐、味噌など多くの食品に活用されてきました。ヘルシーかつ豊富な栄養素も摂取できるため、健康志向の人から支持されています。

 

食品メーカーが代替肉市場に参入するメリット

食品メーカーが代替肉市場に参入するメリットを紹介します。

新規顧客へリーチできる

代替肉市場に参入すると、新規顧客へリーチできます。

例えば、脂っこいものが苦手な中高年層にアプローチしたり、ヴィーガン食に興味のある人に宣伝したりすれば、新規顧客を獲得できるでしょう。

最近はファーストフードで、代替肉を使用したハンバーガーも販売されています。顧客層を広げたい食品メーカーは、代替肉市場に参入してみてはいかがでしょうか。

口蹄疫や鳥インフルなど感染症リスクがない

代替肉は、家畜伝染病のリスクがありません。家畜伝染病とは、牛疫・狂犬病・口蹄疫・豚コレラ・高病原性鳥インフルエンザなどの感染症を指します。

家畜伝染病が発生すると食肉を安定供給できず、食品メーカーは被害を受けてしまいます。また消費者からの不信感も募り、売上も下がる一方です。

代替肉であれば感染症リスクもなく、安定した供給を見込めます。家畜の食肉と併せて代替肉にも参入しておけば、リスクヘッジになるでしょう。

ヴィーガン・宗教への対応

代替肉は、ヴィーガンや宗教に対応できます。現代の日本では、ヴィーガンで肉を避けている人や、宗教の問題でお肉が食べられない人もいます。

特に外国人は、日本人に比べて肉を食べられない人の割合も多いです。そのため外国人観光客向けに、代替肉の商品を開発すれば、売上アップが期待できます。

世界的なトレンドになりうるから

代替肉は、世界的なトレンドになりつつあります。2020年には1兆1885億円規模になり、世界でも特に注目される市場となりました。

日本の市場規模は2020年で346億円ほどですが、今後は徐々に広まっていくと予想されています。実際に大手食品メーカーでは、代替肉を使用した商品開発が進んでいます。今のうちから参入しておけば、時代の波に乗れるかもしれません。

 

国内の代替肉専門メーカーはある?

代替肉と聞くと海外メーカーを想像しがちですが、国内メーカーでの製造も盛んです。そこで国内で代替肉に参入している代表メーカーをいくつか紹介します。

不二製油

不二製油「フジニック」
■ 出典:粒状大豆たん白|大豆加工素材|製品案内|不二製油株式会社(https://www.fujioil.co.jp/product/soy/granular/index.html)

 

不二製油は、植物性油脂やチョコレート、発酵素材、大豆加工食品の製造を行う食品メーカーです。代替肉においては国内シェアNo.1を誇っています。

不二製油は1957年から、大豆研究に取り組んできた経験と技術力があります。1969年には、お肉に近い食感を実現した「フジニック」を発売しました。

現在は60種類以上の大豆ミートを展開中。主に業務量として食品メーカーや外食、流通向けに提供しています。

 

大塚食品

大塚食品「ゼロミート」
■ 出典:ゼロミート/ZEROMEAT | 製品情報 | 大塚食品(https://www.otsukafoods.co.jp/product/zeromeat/)

 

大塚食品は加工食品や冷凍食品、飲料などを製造する食品メーカーです。代表的な商品として「ボンカレー」などのレトルト食品があります。

大塚食品では、大豆を使用した「ゼロミート」を展開。大豆ミートを使用したハンバーグを中心にソーセージやハムなどを取り揃えています。

また工業製品に使われるリバースエンジニアリング製法を採用し、よりお肉に近い食感にこだわっているのも特徴。不二製油に次いで、国内の代替肉メーカーとして注目を集めています。

 

マルコメ

マルコメ「ダイズラボ」
■ 出典:ダイズラボシリーズ|商品情報|マルコメ(https://www.marukome.co.jp/daizu_labo/)

 

マルコメは、味噌を中心に大豆食品を製造する食品メーカーです。マルコメ味噌は、日本人なら一度は聞いたことがあるブランドではないでしょうか。

マルコメでは大豆のお肉「ダイズラボ」から「ミンチタイプ100g」「フィレタイプ90g」「ブロックタイプ90g」を発売。湯戻し、水切りが不要で、開封後にそのまま使えるのがメリットです。

現在は、食品スーパーの豆腐や納豆の売り場を中心に展開中。豆腐を使用した麻婆豆腐やキムチを使った炒め物など、ヘルシーレシピの提案も行なっています。

 

代替肉を活用した食品メーカーの事例

最後に代替肉を活用した食品メーカーの事例を紹介します。

無印良品「大豆ミートシリーズ」

無印良品「大豆ミートシリーズ」
■ 出典:大豆ミート 薄切りタイプ 80g(2~3人前) | レトルト・フリーズドライ | 大豆ミート 通販 | 無印良品(https://www.muji.com/jp/ja/store/cmdty/detail/4550344527528)

 

無印良品では、植物肉から製造した「大豆ミートシリーズ」を展開しています。現在は調理された「ハンバーグ」「ミートボール」の2種類。料理に使える「ひき肉タイプ」「薄切りタイプ」の2種類を販売しています。全て常温で保存でき、温めるだけで食べられるのが特徴です。

無印良品では、環境に配慮した商品を展開し、より良い社会作りに貢献しています。代替肉の活用は、SDGsの観点からも評価されているので、参入する価値はあるといえるでしょう。

 

カバヤ食品「これが大豆!?手羽先味」

カバヤ食品は、お菓子専門の食品メーカーです。2021年より大豆でつくった新感覚の素材菓子「これが大豆!? 手羽先味」を発売。大豆の限界にチャレンジし、手羽先のような感覚に仕上げました。

大豆の食物繊維やタンパク質も摂取できるため、ヘルシーなおやつとして注目を集めています。

カバヤ食品では、今後も大豆の研究を進め、大豆製品の開発を行っていくそうです。

 

昭和産業「まめたん」

昭和産業は、製粉や食用油、冷凍食品などを製造する食品メーカーです。中でも粒状大豆たん白をメインに製造・販売しています。

ユーザーのニーズに応えるために、大豆ミートの食感や形、色を調整。チキンやポーク、ビーフなどの製品を取り揃えています。

また家庭用商品の大豆ミート「まめたん」を開発。水で戻せるタイプで、保存にも適した大豆ミートとして注目を集めています。

大手スーパーでも取り扱いが始まり、今後は市場拡大していくと予想されています。

 

株式会社東乃匠「簡単♪アジアの食卓」シリーズ

株式会社東乃匠 簡単アジアの食卓シリーズ
■ 出典:「アジア風大豆ミートと切り干し大根サラダ 選べる4種」 - 九州お取り寄せ本舗(https://www.otoriyose.site/tun10000813/)

 

株式会社東乃匠は、漬物をメインに製造している食品メーカーです。

同社では大豆ミートを使用したレトルト食品「簡単♪アジアの食卓」シリーズを開発。キーマカレー風味、タコライス風味、ガパオ風味など、大豆ミートのそぼろを活用して、ヘルシーな仕上がりです。

低カロリー低脂肪のため、健康志向の人やダイエット中の人から支持されています。大豆ミートを活用して、健康志向の食品として売り出す手法は参考になるでしょう。

 

代替肉の可能性は広がり続けている

代替肉の可能性は広がり続けている

今回は、流行りの代替肉について解説してきました。
代替肉は、世界の食糧危機を救うだけでなく、私たちの健康にも配慮された食品です。新商品を考えている食品メーカーの方は、代替肉の商品開発を検討されてみてはいかがでしょうか。

 

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