SDGsの流れを受け、2018年にアサヒ飲料がECチャネルでケース販売専用商品としてPETボトルのラベルをなくしたラベルレス商品「アサヒおいしい水」を販売したことを皮切りに、飲料メーカー各社がラベルレス飲料事業に参入、商品ラインアップを拡充し、好調な売上を記録しています。
ラベルレス飲料の需要が高まっている理由として、消費者はリサイクル時にペットボトルとラベルを分ける手間を省くことができ、メーカーはプラスチック樹脂の使用量を削減できることから「持続可能な容器包装」として、環境保全への取り組みにも貢献することができるという点が挙げられます。
今回は、コロナ禍で在宅時間が増加し、ネット通販でのケース販売で順調に売上を伸ばしているラベルレス飲料について解説します。
ペットボトルなどの容器に入れて販売される飲料は「加工食品」に分類され、「食品表示法」に基づいた表示義務があります。また、容器は「資源有効利用促進法(正式名称:資源の有効な利用の促進に関する法律)」に基づいて分別回収に必要な「識別表示」などを行う義務があります。
この「識別表示」とは、資源有効利用促進法に基づいて、指定表示製品と定められた容器包装に、プラスチック、紙、PET、スチール、アルミ等の材質を表示することをいいます。これを表示するためのマークが「識別マーク」です。
「識別表示」や「再商品化義務」についての詳細はこちら
▲ペットボトルや段ボールなどで目にする識別マーク
通常、スーパーやコンビニ、自販機などで販売している1本売りの表示事項として、ミネラルウォーターであれば、「食品表示法」と「ミネラルウォーター類(容器入り飲用水)の品質表示ガイドライン」に基づき、下記の内容の表示が必要となります(条件によって、表示義務のない項目があります)。
・名称
・原材料名
・内容量
・賞味期限
・保存方法
・原産国名(輸入品のみ)
・製造者等
・使用上の注意 ※省略可能
・使用方法 ※省略可能
・採水地
・殺菌または除菌を行っていない旨 ※殺菌または除菌を行っていないもの
・二酸化炭素を含有している旨 ※発泡性を有するもの
・調整した旨 ※ミネラルの調整、ばっ気、複数採水地のものを混合したもの
・フッ素含有 ※フッ素含有原水のもの
表示ラベルはタックシールの時代に
資源有効利用促進法が改正され、2020年4月よりネット通販において箱・パッケージ単位で販売される場合に限り、外装に法定表示を記載することで個包装へのラベル表示が不要となりました。さらに2021年4月には、原材料などの法定表示を記載した小面積のタックシールを貼付することで、単品でのテスト販売も開始されています(東日本一部エリア限定)。
▲食品表示と識別表示が印刷された通販用の外装
▲「『アサヒおいしい水』天然水シンプルecoラベル」タックシール貼付で、店頭での単品販売も可能に
環境保全は身近なところから
ラベルレス飲料の限定販売が通販に多いのは、個包装での販売より箱やパッケージ、袋単位での販売が多いためと思われます。ただ、食品表示の表示義務については、無償を含む「譲渡」も含まれますので、ネット通販で購入したラベルレス飲料の利用は家庭内でとどめるようにしましょう。
自宅内で消費する分だけでもラベルレス飲料を利用することは、身近なエコ活動として環境保全に貢献できます。持続可能な社会を目指して、今後も環境配慮型製品の動向に注目したいと思います。
記事:株式会社丸信 食品表示プロジェクト・池田泰二
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