食品通販における「送料」の考え方とおすすめの送料設定について

公開日:2024年3月25日 最終更新日:2024年3月27日

食品通販のECサイトを運営する際、大切になってくるのが「送料」です。
送料は、買い物をするユーザーが「買うか」「買わないか」を決める指標にもなります。
しかし、どう送料設定をすればいいのかわからない人も多いのではないでしょうか。

この記事では、食品ECサイトの送料設定 の考え方について解説します。

 

食品通販における送料のパターン5つ

まずは食品通販で使われている送料の形態をいくつか紹介します。

 

全国一律の送料 

多くの食品ECサイトで導入されているのか全国一律の送料です。ユーザーにもわかりやすく、運営側もスムーズな対応ができます。
ただし運営側とユーザー、両方にデメリットが生じる場合もあります。
例えば、運営側の発送元が九州だった場合、北海道への配送だと、予想以上に送料がかかるかもしれません。
また九州から商品を発送するメーカーが、送料を全国一律1000円とした場合、九州地区の送料は実際700円なのに、1000円の送料をいただくことになります。

送料を全国一律にする場合、発送元からの配送料の平均を調べ、赤字にならないように運営していきましょう。

 

配送地域別の送料

配送 する地域に応じて、送料を設定する方法です。

全国一律とは違い、配送地域ごとに配送料をいただけるので、運営側の負担が大幅に減ります。例えば、日本郵政やヤマト運輸、佐川急便などの配送業者は、配送地域ごとに送料を設定しています。
ただし購入者が遠方の場合、負担する送料が高額になりやすいのがデメリット。すると購入を躊躇し、カゴ落ちのリスクが高まるかもしれません。

そういった場合は「〇〇円以上の購入で送料無料」など、送料の地域差をなくす施策を考えてみてください。 

 

送料無料 (送料込み)

大手の食品ECサイトで多く見られるのが 送料無料(送料込み)です。

送料無料は、送料を運営側が負担する、もしくは送料を含んだ商品価格にする方法があります。
送料を運営者側が負担する場合、ユーザーにとってお得感があり、購入につながりやすいのがメリットです。その反面、送料を負担することで運営側が赤字 になる可能性が出てきます。

また送料を含む 場合は、商品価格が高く なり購入 につながらないかもしれません。
高額な商品であれば送料は気になりませんが、低価格帯の商品だと売れずらいでしょう。

低価格帯の商品を送料無料にしたいなら、送料が安い商品や早めに売り捌きたい商品を対象にし「一部商品は送料無料」で売り出すといいでしょう。

 

〇〇円以上 の購入で送料無料

購入単価を上げたいなら、一定金額以上の購入で送料無料になる設定がおすすめです。

ユーザーは「送料を無料にしたい」という気持ちになり、一定の金額までカゴに入れてくれます。すると一人当たりの購入単価が上がり、売上アップにつながるでしょう。
送料が無料となるラインの金額 は、平均購入価格より少し高めに設定する、もしくは売れ筋商品の金額に合わせるのがおすすめです。 

送料が運営者側の負担となるので、利益が取れるラインを見極めることが大切です。

 

配送方法によって送料を設定

無駄のない運営をしたいなら、配送方法 によって送料を決めるのがおすすめです。配送方法は、ヤマト運輸・佐川急便・郵便局などの配送業者や、常温便・クール便といった温度帯ごとに適切なものを決めておき、購入者に選択してもらいます。

運営側はきちんと送料を回収でき、購入者側も好みの配送手段を選べるため、双方にメリットがあります。
ただし運営者側は注文ごとに配送方法が変わるため、発送準備の手間がかかってしま ったり、通販のカートシステムによっては複雑な設定が必要になったりする場合があります。

通販の専属スタッフなど、人手が足りている場合は 問題ないものの、仕事が増えて人件費がかさんでしまわないように注意してください。

 

消費者庁の「送料無料」表示の規制見送りについて

 

消費者庁は2023年12月19日、通販やECサイトでの「送料無料」表示についての規制を見送りました。
しかし「送料当社負担」「〇〇円(送料込み)」などを推奨しており、運営者への自主的な取り組みを推進していく方向です。
仮に「送料無料」と表示する場合、無料にしている理由や仕組みの説明が必要です。

例えば、

「送料はメーカーで負担しています」
「商品の購入を促すために無料にしています」

などの表示が推奨されています。

またトラックドライバーの時間外労働960時間の上限規制がかかる「物流の2024年問題」も課題です。そのため、配送業者に対してきちんと運賃を支払っているという記載も推奨されています。

送料無料にする際は、あらかじめ消費者庁の情報を確認しておきましょう。

 

食品通販は「商品代と送料は別」 がおすすめ

結論をお話しすると、食品通販 では、商品代と送料は別々にすることがおすすめです。
なぜ送料別がよいのか、その理由を解説します。

 

配送業者の値上げが続いている

2024年4月1日よりトラックドライバーの労働時間に規制がかかります。
これに伴い、佐川急便とヤマト運輸は4月から宅配便の届出運賃を引き上げる方針です。

今後は、その他の配送業者でも送料が値上げされる可能性が高く、食品通販も大きな影響を受けます。
例えば、商品に送料を上乗せして販売すると、ユーザー側からみると「商品が値上げされている」と思われるかもしれません。
また送料込みの価格設定だと、配送業者が値上げするたびに、商品価格を変更する手間が発生します。

よって、はじめから送料別にしておけば、商品のお得感を失うことなく販売ができます。

 

地域ごとの配送料をもらう方が消費者に優しい

送料別にすると、地域に適した配送料となり、消費者に優しい通販サイト運営ができます。
送料込みだと、購入者が発送元に近い場合、多く送料もらうことになります。すると購入者は損した気分になり、不公平感を抱いてしまうかもしれません。

このような不公平感をうまないためにも、送料別にして地域ごとの配送料を設定してみてください。

 

食品通販での「送料無料」「送料込み」の戦略とは?

食品通販においては「送料無料」「送料込み」を戦略的に活用することが大切です。

 

「一定金額以上の購入で送料無料」にしまとめ買いを促す

一定金額以上の購入で送料無料にすると、購入単価が上がりやすくなります。

ユーザーは「送料を無料にしたい」という心理が働くため、一定金額まで商品をカゴに入れてくれるはずです。
例えば、「1万円以上の購入で送料無料」と設定しておけば、購入単価を1万円以上まで引き上げられるかもしれません。
すると購入単価が上がるだけでなく、運営側が送料を負担しても十分に利益が取れます。

 

「送料込みのお試しセット」で商品を知ってもらう

通販では、まず一回目の購入をしてもらうことが重要です。その際に、 「送料込みのお試しセット」が有効です。
まずは利益が少なくてもいいので、ユーザーにとってお得感のある商品を作り購入を促進して、商品の良さを知ってもらいましょう。 

お試しセットで良い口コミを得れば、他の商品の購入につながったり、新しいユーザーを獲得できたりするかもしれません。

 

ECサイトにおける送料の企業事例

最後にECサイトを運営する企業の事例を紹介します。

 

「送料無料」から「送料込み」に変更した「吉野家公式通販ショップ」

■画像引用元:吉野家公式通販ショップ(https://e-shop.yoshinoya.com/shop/pages/delivery.aspx

吉野家は、自社ECサイト「吉野家公式通販ショップ」とECモールの「送料無料」表示を「送料込み」に変更しています。

送料は購入者に別途負担してもらう形となりました。

・クール宅急便 ( 冷凍商品 ) : 1,100円(税込)
・宅急便 ( 常温品 ) : 880円(税込)

※同一お届け先、同一温度帯で税込8,000円以上お買い上げの場合は送料込みとなり、追加の送料はかかりません。
※ 沖縄に関しては、クール宅急便2,200円(税込)、宅急便(常温)1,980円(税込)となります。

参照:吉野家公式通販ショップ

これは楽天市場が「送料無料」表記の見直しを行ったことが大きな要因です。吉野家は楽天市場にも出店しているため、それに合わせて送料込みに変更しています。

 

子育て家族を対象に送料を下げている「イトーヨーカドー」

イトーヨーカドーのネットスーパーでは、子育て世帯を対象に送料を引き下げています。
交付日より4年以内の母子健康手帳の登録で、登録日より4年間配達料金を半額にし、子育てする家族を応援しています。

イトーヨーカドーのネットスーパーの品揃えは約3万点と、同業者の中でもトップクラスです。当日注文もOKで、最短当日〜7日先まで日時を選択できるのもメリットです。
また「お魚無料調理サービス」や「要望メモ」などもあり、消費者に寄り添った運営をしています。

送料だけでなく、消費者の生活を考えた運営は非常に参考になります。

 

種類の配送料を用意している「LOHACO」

■画像引用元:LOHACO(https://lohaco.yahoo.co.jp/help/delivery/

LOHACOは、食品や生活雑貨、日用品などを扱うECサイトです。「お客様のくらしをラクに楽しく」をコンセプトに、重くて運ぶのが大変なお米や飲料、洗剤、そしてコスメや文具など、あらゆる商品を最短翌日に配送してくれます。
そしてLOHACOでは「3,780円以上の購入で送料無料」になります。

配送料には以下の3種類があり、注文確認画面では「送料」として合算される仕様です。

LOHACO by ASKUL(自社の倉庫から発送)
3,780円以上      無料
3,780円未満      550円

LOHACO 直送品グループ1,2,3(メーカーの倉庫から直接発送)
1,900円以上      無料
1,900円未満      220円

参照:LOHACO

また地域配送料として、沖縄県への配送については 地域配送料330円(税込)、特別配送料として大型家具屋飲料等の配達には、商品ごとに送料が設定されています。

総合系のECサイトは、まとめ買いが多くなるため「一定金額以上の購入で送料無料」の戦略は有効といえるでしょう。

 

食品ECは送料のルールを細かく定めよう

今回は食品通販における送料の考え方について解説してきました。送料の設定により、運営者側と購入者側のメリット・デメリットは変わってきます。基本的には「送料別」にしておけば問題ありませんが、取り扱う商品やユーザーの属性によって、売れやすい送料設定をすることが大切です。

ショクビズを運営する株式会社丸信では、商品企画のサポートやOEM商品を探せる食品開発OEM.jpを運営しています。これまでの経験や実績をもとに、食品メーカーや小売店向けの相談やサポートも承っておりますので、ぜひご活用ください。

 

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