地方スーパーこそ導入すべき!地域密着型の買い物代行サービスの事例

公開日:2022年3月9日 最終更新日:2022年3月10日

スーパーの買い物を代行してくれるサービスが普及してきました。最近は新型コロナウイルスの影響により、自宅療養者や濃厚接触者の利用も増えています。
また地方では、近くにスーパーがない買い物難民や、免許返納した高齢者など、買い物に行けない人が増加。警察庁が2019年に調査した運転免許統計によると、免許証を自主返納した人は60万人を超えています。特に公共交通機関の発達していない地方で、車の運転ができないのは死活問題です。

そこで活躍するのが買い物代行サービスです。

この記事では、買い物代行サービスの事例を紹介しつつ、地方スーパーが参入するメリット・デメリットを紹介します。

 

買い物代行サービスとは

買い物代行サービスとは、食料品や日用品を依頼者の代わりに購入し、自宅まで届けてくれるサービスです。
買い物代行サービスは大きく分けて2種類あります。

・家事代行サービス:欲しいものをスタッフに伝えて購入してきてもらう
・ネットスーパー:ネット上で商品を選んで配送してもらう

前者は家事代行サービス業者が、買い物のお手伝いをしてくれます。買い物だけでなく、掃除や料理の作り置きなど、家事全般を依頼できるのがメリットです。
後者はスーパーが運営する買い物代行サービスです。ネット上で欲しい商品を選び、希望の日時や時間帯に配達してくれます。注文方法も簡単なので、スマホやパソコンが苦手な方でも気軽に依頼できるのがメリットです。

 

地方で活躍する買い物代行の事例を紹介

地方で活躍する買い物代行の事例を紹介します。

 

サンシ宅配(スーパーサンシ)

■ 画像引用元:お得で便利なサンシの宅配サービス(http://st.sanshi.co.jp/linkurl/netbin/userguide/netbin_common/userguide_common.html)

サンシ宅配は、三重県に13店舗展開するスーパーサンシが提供するネットスーパーです。8店舗で宅配事業を行い、商圏に住む人にサービスを提供しています。正午までにネットまたは電話注文すると、当日の17時までに配達してくれる仕組みです。
サンシ宅配は、日本のネットスーパーのパイオニアともいわれ、インターネットが普及する前から宅配事業を開始しています。もともと赤字事業でしたが、インターネットの発達と共に黒字化。配送も自社で行うため、お客様からの情報収集、店舗のイメージ戦略、コスト削減につながっています。
また配送効率を高めるために、会員の自宅に宅配ボックスを設置。ドライバーは商品を入れるだけなので、再配達の手間もいりません。
大手スーパーには真似できない細やかなサービスにより、現在も多くの人に支持されています。

 

らくらくお買い物システム(健軍商店街)

らくらくお買い物システムは、熊本県熊本市にある健軍(けんぐん)商店街が展開する買い物代行サービスです。商店街で買い物した商品を、そのまま自宅まで配送してくれます。
スマホやパソコンは必要なく、商店街の中にある「らくらくステーション」に行けば、誰でも配送を利用できるというものです。健軍商店街から半径2km程度まで対応しており、料金は1回300円とリーズナブル。そのうちの100円は商店街が補助し、実質200円で利用できます。
またタクシー会社と提携しており、未稼働のタクシーを配送に利用できるメリットも。もちろんタクシーに同乗しても問題ありません。(運賃は自己負担)
買い物難民をサポートするだけでなく、タクシー会社の売上にも貢献できる画期的なサービスです。

 

株式会社とくし丸

■ 画像引用元:移動スーパーとくし丸(https://www.tokushimaru.jp/)

株式会社とくし丸は、地域を巡回しながら商品を販売する移動スーパーです。買い物難民を支援するサービスとして設立し、地域のスーパーマーケットと手を取り合って運営。現在は135社のスーパーマーケットと提携し、全国46都道府県で活動しています。
同社では、個人事業主の販売パートナーがスーパーで商品を選定し、各エリアを巡回しながら商品を販売しています。また自治体や警察と「見守り協定」を結び、お客様の体調不良や不可解な点があった場合は、各所に連絡する仕組みを取っています。
利益については、商品の定価に10円上乗せする「+10円ルール」を採用。100円の商品なら110円、1,000円の商品なら1,010円となります。その10円は販売パートナーとスーパーが5円ずつ分け合う仕組みです。
お客様目線で見ると、10円の上乗せで買い物できるならバス代よりも安く済みます。その結果、多くの買い物難民の方から支持され、全国的に普及したビジネスモデルです。

 

おまかせ便カケル(コープさっぽろ)

■ 引用元:「おまかせ便カケル」のご紹介 | コープさっぽろ(https://www.sapporo.coop/content/?id=27)

おまかせ便カケルは、コープさっぽろが運営する移動スーパーです。地方の買い物難民をサポートするために設立されました。コープさっぽろの会員であれば誰でも利用可能で、毎週決まった曜日と時間に停車して販売を行います。
大型冷蔵庫を備えた2トン車には、約1,000品目を品揃え。生鮮食品だけでなく、日用品など生活必需品の取り扱いもあります。
また利用者の家の近くまで出向いて関係を構築し、地域の見守り役としても活躍しています。現在では北海道内111市町村と見守りサービスの協定を結び、地域には欠かせない移動スーパーに成長しました。

 

地方スーパーが買い物代行を導入するメリット・デメリット

地方スーパーが買い物代行を導入するメリット・デメリットを紹介します。

メリット

まずは買い物代行を導入するメリットを紹介します。

 

■ 地方は買い物難民が多い

地方では買い物難民が増え続けています。総務省行政評価局が調査した「買物弱者対策に関する実態調査」によると、2016年時点で買い物難民は約700万人、2010年から100万人も増加。特に地方はスーパーやコンビニも少なく、公共交通機関も発達していないため、買い物難民が増えています。
そこに地方スーパーが買い物代行サービスに参入すれば、買い物難民の救世主になれる可能性があります。特に食品や日用品などの生活必需品は「買わない」という選択肢がありません。
買い物難民が多い地域のスーパーは、買い物代行サービスを検討してみてはいかがでしょうか。

 

■コロナ禍で需要が拡大している

新型コロナウイルスにより、買い物代行サービスの需要が拡大しています。特に在宅療養者濃厚接触者を中心に利用が増えました。
また地方は高齢者が多いため、人と接触せずに買い物ができるサービスは魅力的です。健康な人であっても、買い物代行により外出頻度を減らせるのはメリットです。
地方でも感染が拡大している背景もあり、買い物代行サービスの人気が高まっています。

 

■隙間時間に働きたい主婦層が多い

買い物代行では、隙間時間に働きたい主婦層をパートタイマーとして採用できます。
地方は単発や隙間時間にできる仕事が少なく、手を持て余している主婦も多いです。
車を持った主婦層もいるため、配送担当や物流センターでのピッキングを依頼できる可能性もあります。

 

デメリット

買い物代行を導入するデメリットを紹介します。

 

■生鮮食品のクレームが入りやすい

買い物代行は、お客様が自分の目で見て商品を購入できませんそのため、鮮度劣化や品物の破損などのクレームが入る可能性があります。
特に地方は、都会より鮮度の高い食材が多いため、商品選定に気を抜けません。クレームが入ると、お詫びや商品の再配達など、余計に手間がかかってしまいます。そのため、鮮度チェックや配送基準のルールを細かく定めておく必要があります。

 

■料金トラブルが多い

買い物代行サービスに多いのが料金トラブルです。料金形態は、会社やサービスによって異なります。また同じサービスでも、複数のプランがあり、費用の内訳もさまざま。よって、料金形態を理解できない人とのトラブルに発展する可能性があります。
どのくらいの費用がかかるのか、どのプランが最適か、利用者にも分かりやすい提示が必要です。特に地方は高齢者が多いため、シンプルな料金プランの設定をおすすめします。

 

地方スーパーは買い物代行に有利、大手スーパーと差別化を。

地方スーパーが生き残るには、大手スーパーとの差別化が必要です。
買い物代行や移動スーパーといった、地域の困っている人を助けるサービスは、地方スーパーだからこそ参入できるジャンルです。
コストや人手などの面で、すぐに開始できるサービスではありませんが、地域に住む人のニーズ(声)を調査し、小さなことから始めてみてはいかがでしょうか。

 

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