【連載第2回】コロナ前後で変わるお客様の消費動向①

公開日:2021年5月17日 最終更新日:2022年3月9日

コンビニエンスストアの王者セブン-イレブンで120店舗もの経営指導を実施し、担当地区の店舗合計年商を大幅に伸長させた経験を持つ信田洋二氏。本連載では、小売業のスペシャリストである信田氏に、消費動向やメーカーの目指すべき方向性などについて分かりやすく解説していただきます。
今回は第2回、「コロナ前後で変わるお客様の消費動向」についてのコラムです。

 


 

昨年からのコロナ禍においては、人々の生活様式だけでなく、価値観や商品購入の購買行動にも大きな変化が起こりました。特に「お客様の購買行動」には、激変といえるほどの大きな変化が生じています。例えば、これまでコンビニなどでは「すぐ食べる・すぐ使う」いわゆる即食性の高い「おにぎり」や「サンドイッチ」「弁当」等が超主力商品として君臨し、「コンビニといえば、どんな商品を思い浮かべますか?」と問うと、まずこれらの商品が必ず挙がるほど、主力の目的購入商品でした。しかし、コロナ禍ではこれらの商品の動きは非常に低調になりました。 

 

特に出勤回数が減少し、在宅勤務(テレワーク)の会社が増加するのに伴い、これらの商材の販売数は大きく低下しています。また、コロナの発生がなく順調に市場が伸長していれば、次なる“主役”となったであろう「カウンターFF関連」(おでんや揚げ物、コーヒーなど)も、一時の勢いはすっかりと影を潜め、その売れ行きは低調に推移するようになってしまいました。コロナ禍が沈静化し人々の動きが戻ったとしても、これらの商材が以前のような動きを見せるのかは、未だ見通せません。従来のままであれば、恐らく数字は戻らないのではないでしょうか。新たな目玉ともいえるような商材や、より一層の品質向上など“回復の起爆剤”となるべきものがなければ、その復活は難しいかと思われます。 

 

反対に、この時期に大きく伸長した商品分類としては、「長い販売鮮度のある総菜」(スタンディングパックの商材関連)や「缶詰」、そして「冷凍食品」です。飲食店などが営業時間の短縮要請を度々受ける中で、最もこの時期に流行したコトとして、「家呑みの充実」が挙げられます。それらの需要を満たすのに、従来のような即食性のある商材よりも、保存が効き、比較的安価でしかも手軽に手に入る点で、これらの商品に大きな支持が集まっている(量目的にも、つまみとしてコンビニ商材は最適)というのが、直近の大きな傾向になっています。 

 

次回は、さらに変容を見せる大きな消費行動の変化を、「酒」を通じて解説します。 

(次の配信は6月20日頃の予定です。) 

 

▼前回のコラムはこちらからご覧いただけます

【連載コラム】小売りからメーカーに期待すること

 


 

<プロフィール>

信田 洋二

 

1995年株式会社セブン-イレブン・ジャパン入社。店舗経営指導員(OFC)並びにディストリクトマネージャー(DM)として、千葉県成田市を中心とした成田地区、千葉市内などの店舗合計120店舗に対する経営指導を実施。成田地区のDM在任時、担当地区の店舗合計年商を約140億円から約155億円に伸長。千葉県下(9地区)にて最も売上の低い地区を、第4位の売上となるまでに伸長させるなどの実績を上げた。その後、情報システム部を経て物流部に在籍。2010年株式会社Believe-UPを創業、コンサルタントとして独立。主に小売業を対象に、店長、マネジャー、SV育成、データを活用しての売場づくり指導などで幅広く活躍している。著書に『セブン-イレブンの物流研究』(商業界、2013年)『セブンイレブンの発注力』(商業界、2015年)がある。

 

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