人材確保を目的に、外国人労働者を受け入れる食品工場が増えてきました。
中でも特定技能「飲食料品製造業」の受け入れが盛んで、今後も増加していくと予想されています。
しかし、外国人の雇用に不安を覚えている担当者も多いのではないでしょうか。
この記事では、食品工場で外国人を雇用するメリット・デメリットと、企業の事例をまとめて解説します。
特定技能「飲食料品製造業」の受け入れ数が増加している
特定技能「飲食料品製造業」とは、酒類を除く食品や飲料の製造に携わる外国人のための在留資格です。
日本では、少子高齢化により人手不足が深刻化しています。そのため、外国人労働者に注目が集まっているのです。
農林水産省の調査によると、食料品製造業の外国人労働者数は約13.6万人(令和2年10月時点)。
また令和3年5月末時点で、飲食料品製造が特定産業分野(14分野)で最多の9,439人を受け入れています。
働き手の少ない日本において、外国人労働者は必要不可欠な存在になってきました。今後は、外国人が重要なポジションとなり、会社を引っ張っていく存在になるかもしれません。
「特定技能」と「技能実習」の違いは?
特定技能と似た制度に「技能実習」というものがあります。同じような意味に捉えられがちですが、実は意味合いが異なります。
特定技能は、人手不足による労働力確保のための制度です。一方で技能実習は、日本で技術を学び、母国でその技術を活かしてもらう制度です。
技能実習は日本の技術を伝えることであり、労働力の確保が目的ではありません。
外国人労働者を受け入れるメリットとは?
食品工場で外国人労働者を受け入れるメリットを紹介します。
労働力の確保につながる
外国人労働者を受け入れる最大のメリットは労働力の確保です。
日本では、少子高齢化により労働人口が減少。統計局の労働力調査によると、2022年の労働力人口は6,902万人と、前年に比べ5万人も減少しています。
働き手は今後も減少していく見通しで、それを解決するために外国人労働者の受け入れが進んでいます。
特に食品工場は多くの人手が必要です。そのため外国人労働者は、大きな力になってくれるでしょう。
家族を養うために来ているので意識が高い
外国人労働者は、働くモチベーションが高いといわれています。
その理由は、家族を養うためにわざわざ日本へ来ているからです。日本は発展途上国に比べ、給与水準が高いといわれています。日本に来て働く=家族を支える、と考えてもいいでしょう。
もちろん個人差はありますが、生きるために必死の思いで日本に来ているのは事実です。
優秀な人材も多く、日本人に負けない労働力の確保につながります。
海外展開への足がかりになる
さまざまな国から外国人労働者を受け入れると、海外展開への足がかりになります。
海外進出で障壁となるのが言語の壁です。言葉だけでなく、法律や習慣、文化などあらゆる部分を調査した上で展開していかなければなりません。
例えば、進出を考えている国の労働者がいれば、多くの情報を仕入れられます。さまざまな国の労働者を受け入れておけば、これまでにないアイデアが生まれたり、新しい事業につながったりするかもしれません。
単なる外国人労働者ではなく、海外展開を見据えた採用についても考えてみてください。
外国人労働者を受け入れる時のデメリットや注意点
外国人労働者を受け入れるときのデメリットや注意点を解説します。
習慣の違いを受け入れる
外国人労働者は、日本とは異なる文化で生きてきました。そのため、日本人には理解できない行動や言動が目立ち、トラブルに発展してしまう可能性があります。
例えば、日本では仕事が終わらないと残業するのが一般的です。しかし海外では、仕事が残っていても定時で帰宅するのが当たり前という国もあります。
この部分を理解しておかないと、外国人労働者とトラブルに発展し、大きな溝が生まれてしまうかもしれません。外国人労働者を採用する際は、その国の文化や慣習を理解し、お互いが気持ちよく働ける環境を作ることが大切です。
コミュニケーションのマニュアルを作成しておく
外国人労働者は、個人によって日本語の習熟度にばらつきがあり、中には意思疎通の難しい人もいます。
そのため、誰でも理解できるコミュニケーションマニュアルの作成をおすすめします。
特に日本人の「察する」「場の空気を読む」という文化は、外国人には理解できません。具体的に指示したり、明確に伝えたりするなど、ルールを決めておくと安心です。
マニュアルやルールは必ず現場の責任者に共有し、工場全体で取り組める体制を整えましょう。
雇用できる業務が限られている
特定技能「飲食料品製造業」では、雇用できる業務が定められています。
- ●食料品製造業
- ●清涼飲料製造業
- ●茶・コーヒー製造業
- ●製氷業
- ●菓子小売業
- ●パン小売業
- ●豆腐・かまぼこ加工
上記以外の業種は、外国人雇用者を受け入れられない可能性があります。その他にも、さまざまな取り決めがありますので、あらかじめ確認しておきましょう。
詳しくは農林水産省の資料をご覧ください。
外国人労働者を受け入れている食品工場の事例
最後に外国人労働者を受け入れている食品工場の事例を紹介します。
日本語教育に力を入れている「株式会社デリモ」
引用元:株式会社デリモHP(https://delimo.co.jp/)
株式会社デリモは、茹で麺や調理麺、調理済みレンジ食品などを製造する食品メーカーです。
同社では、安定した工場運営のために外国人労働者を受け入れています。具材の盛り付けや麺作り、原材料の荷受けなど、現場作業をメインに担当を割り振っているそうです。
また将来を見据えて、日本語能力試験の学習体制にも力を入れています。レベルに応じて昇給制度を設け、モチベーションアップにもつなげています。
さらに生活面に関しては、個別にアパートを借りてもらい、必要に応じて会社がサポートしています。日本人と同じような待遇を設け、外国人労働者が働きやすい環境を作っている事例です。
意見交換会で業務をスムーズにしている「ワタミ手づくり厨房」
引用元:ワタミ株式会社HP(https://www.watami.co.jp/group/handmade/)
お弁当の製造を行うワタミ手づくり厨房 東松山センターでは、多くの外国人労働者を受け入れています。
お弁当の盛り付けや食材の運搬、検査など、多くの業務で外国人労働者が活躍しています。
同社では、外国人労働者の母国語でマニュアルを用意する他、先輩実習生が後輩にアドバイスするなど、教育体制に力を入れているのがポイントです。
また月に一度、外国人労働者と通訳、担当業務の社員、登録支援機関を集めて意見交換会を開いています。国によって文化や慣習が違うため、すれ違いやトラブルは必ず発生します。それを予防し、細かいマニュアル作りを徹底しているそうです。
製造ラインの責任者を育てている「気仙沼食品」
引用元:株式会社 阿部長商店HP(https://abecho.co.jp/coplist/)
鮮魚の冷凍冷蔵や水産加工品の製造を行う気仙沼食品。主にインドネシア人の実習生を受け入れています。
水産加工業は、季節によって扱う魚の種類が異なり、必要な技術もその時々で変わります。そのため機械化が難しく、人手不足が深刻化していたそうです。
特定技能の外国人は、担当するラインの管理業務を習得している段階です。また先輩実習生が指導やマニュアルの翻訳をし、会社のサポートも行っています。
またインドネシアの意見を取り入れ、ハラール対応の魚肉ソーセージを開発。これらは北米やマレーシア、シンガポールなどへ輸出され、売上も伸びているそうです。
労働力の確保だけでなく、海外進出への足がかりになっています。
日本の技を丁寧に教える「有限会社石毛魚類」
引用元:有限会社 石毛魚類HP (http://ishigegyorui.co.jp/)
有限会社石毛魚類は、鮮魚・水産加工品販売、料理仕出しを行う食品事業者です。
同社では、良い人材を育てるためには人手に余裕が必要だと考え、外国人労働者を受け入れました。
すでに6年の経験を積んだ実習生も在籍し、現在は日本人でも難しいとされる「お刺身づくり」も任されています。
日本の職人は「見て覚える」が当たり前です。しかし外国人労働者には理解できません。そこで丁寧な指導を心がけ、スキルを身につけてもらっています。
これにより日本人側の古い意識が変わり、技術力の向上が格段に早くなったそうです。外国人労働者を通じて、日本人の意識改革が進み、良好な関係が築けています。
海外事業部との連携を図る「鈴木栄光堂」
引用元:栄光堂ホールディングス株式会社HP(https://eikodo-hd.jp/)
お菓子の製造や販売を行う鈴木栄光堂では、製造現場の人材確保のために外国人労働者を受け入れています。
技能実習生や特定技能者だけでなく、海外事業部には外国人の正社員も在籍しています。
同社は中国とベトナムにも拠点があり、過去には技能実習を終えて帰国した元実習生を、ベトナムの子会社で採用した実績もあるようです。海外拠点での活躍を見据え、会社の事業展開もしやすくなっています。
工場だけでなく、海外拠点においても外国人労働者が活躍している事例です。
外国人雇用にはたくさんのメリットがある
今回は食品工場で外国人労働者を受け入れるメリット・デメリット、企業の事例を紹介してきました。
日本の食品業界は人手不足が深刻化しています。それを解決する上でも、外国人労働者の受け入れは当たり前の時代になってくるかもしれません。
とはいえ、いざ外国人を採用しようと思っても、何から始めていいのかわからない人も多いのではないでしょうか。
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