3Dフードプリンターとは?食品を立体的に製造できる最新機器を解説

公開日:2024年2月5日 最終更新日:2024年2月8日

3Dプリンターと聞くと、樹脂でさまざまな立体モデルを作るイメージがあるかと思います。

しかし最近は、食品を立体的に作れる3Dフードプリンターが注目されています。まだ実用化の例は少ないですが、これから食品産業を変える技術には間違いありません。

そこでこの記事では、3Dフードプリンターについて詳しく解説します。

 

3Dフードプリンターとは

3Dフードプリンターとは、食品を立体的に造形できる機械です。ノズルからペースト状にした食材を噴射し、3Dプリンターと同じように作り上げていきます。

今や世界の3Dフードプリンターの市場規模は2022年の時点で2億100万米ドル2027年までに約19億4,100万米ドルに達すると予測されています。アジア太平洋市場においても急成長しており、フードテック市場を牽引する存在です。
参照:グローバルインフォメーション 3Dフードプリンティングの世界市場

3Dフードプリンターは、データと食材さえあれば、全て自動で製造してくれるため、人件費を大幅に削減できるのがメリット。人の手ではできなかった細かい作業も実現でき、安定した生産ができます。

それだけでなく、食品を噴射する量によって栄養価を調整することも可能。病院や学校などの施設で導入が期待されています。

 

フードプリンターとの違い

3Dフードプリンターと似た機械に「フードプリンター」があります。

フードプリンターとは、食品の上に文字や写真などを可食インクで印刷できる機械です。
例えば、クッキーに柄を入れたり誕生日ケーキに写真を印刷したりなど、表面のデザインに対してアプローチできます。

一方3Dフードプリンターは、食品すべてを立体的に造形できる機械。表面のみのフードプリンターよりも応用できる幅が広いのが特徴です。

 

3Dフードプリンターはどんな使い道がある?

3Dフードプリンターは、さまざまな分野での活躍が期待されています。
特に介護食代替肉昆虫食お菓子のジャンルは3Dフードプリンターの得意分野です。

そして介護食の分野では、実用化に向けて研究が行われています。

3Dフードプリンターは食感だけでなく、栄養素も調整できるのが特徴です。
介護食は、ひとりひとりの健康状態に合わせた食事を提供する必要があり、栄養士や調理するスタッフなど多くの人件費がかかっていました。しかし3Dフードプリンターであれば、硬さや栄養素を自由に調整でき、人件費と時間コストの削減につながります。

今後は介護食だけでなく、さまざまな分野で3Dフードプリンターの実用化が進んでいくでしょう。

 

3Dフードプリンターを導入するメリット4つ

3Dフードプリンターを導入するメリットをまとめて紹介します。

調理時間の短縮になる

3Dフードプリンターは調理時間を大幅に短縮できます。

例えば、何層にも重なっているケーキや、細かい作業が必要なチョコレート細工などは作業工数がかかっていました。しかし3Dフードプリンターなら、機械の力であっという間に製造できます。

また細かい作業は、人によって差が生まれやすいです。習熟度によっても味や食感に違いが出るため、十分に注意しなければなりません。

3Dフードプリンターはそういった心配がなく、いつ製造しても一定のクオリティを保てます。

食感や形状をコントロールできる

3Dフードプリンターは、食感や形状をコントロールできます。

食感は味わいに大きく関係するものなので、より実物に近い形で造形できるのは大きな利点です。

例えば、食肉は筋繊維と脂肪が複雑に重なり合っています。そのため、今までの技術では再現できませんでした。

しかし現在は、3Dフードプリンターで食肉を実現できる時代がきています。実際に大阪大学では、培養肉の繊維を重ねる研究が行われています。今後は、より食肉に近い代替肉が食べられるかもしれません。

栄養をコントロールできる

3Dフードプリンターは、使用する材料の量を調整できます。例えば、「タンパク質○○g、脂質○○g」など、栄養素の調整も可能です。

これにより、食事制限のある病院食や介護食の分野で活躍するといわれています。病院では患者に合わせて複数の食事を作る必要があり、非常に手間がかかっていました。しかし3Dフードプリンターであれば、データを入力するだけで、栄養バランスを調整できます。

人件費や時間コストの削減につながり、施設の運営もスムーズになるでしょう。

食品ロス削減につながる

3Dフードプリンターは、食品ロス問題の解決にもつながります。

  • ・捨てられる不揃いの野菜
  • ・廃棄される食材
  • ・昆虫

これらの食材をペースト状にして噴射すれば、食品として利用できます。実際に廃棄される食材をペースト状にして噴射し、それを乾燥させた商品の開発事例もあります。

3Dフードプリンターが普及すれば、食品ロスが減りSDGsへの貢献になるでしょう。

3Dフードプリンターのデメリットは?

3Dフードプリンターのデメリットを解説します。

初期費用がかかる

3Dフードプリンターの導入には初期費用がかかります。まだ実用化が進んでいないため、専用機械も少なく、価格も安定していません。

また研究段階であり、実際に操作できる人材がいないのも課題点です。もちろん3Dフードプリンターは時間短縮につながりますが、導入する前段階で人件費がかかってしまうかもしれません。

3Dフードプリンターの実用化が始まった段階での参入をおすすめします。

使用できる食品が限られている

3Dフードプリンターは、食材をペースト状にして噴射する機械です。そのため使用できる食材に制限があります

すべての食材が使えないので、いろんな料理を自由自在に作りたい場合、煩わしさを感じてしまうかもしれません。

また3Dフードプリンターを使う前段階で、食材をペースト状にする必要があります。そういった手間も必要となるため、現時点では課題点が多く残っています。

3Dフードプリンターの研究に取り組んでいる企業や団体

3Dフードプリンターの研究や実験を行っている企業や団体を紹介します。

介護食を開発する山形大学

■画像引用元:山形大学理学部・大学院理工学研究科(https://www.sci.yamagata-u.ac.jp/

山形大学理工学研究科では、3Dプリンターを活用した介護食の研究を行っています。同大学では、ゲル状の食材を使用できる3Dプリンターを開発。より料理に近い介護食を作り上げています。

従来の介護食は、食材をペースト状にするだけでした。しかし3Dプリンターなら、ペースト状の食材を噴射し、より本物に近いビジュアルを再現できます。食べやすさはそのままですが、食欲がそそられるようになり、食事が楽しみなものになります。

高齢者も「自分だけペーストで悲しい」と思う場面も減り、ストレスの緩和にもつながるはずです。

特に日本では高齢化が進んでいるため、3Dプリンターの介護食は大きなビジネスチャンスといえます。

和牛ステーキの生成に成功した大阪大学

大阪大学では、3Dプリンターで和牛ステーキ肉を作ることに成功。3Dプリンターで、和牛の筋や脂肪、結婚の構造を再現し、本物の肉のような培養肉を再現しました。この技術は、肉の複雑な構造を再現できることから「3Dプリント金太郎飴技術」と名付けられています。

この技術が実用化されれば、場所を問わず培養肉の生産が可能です。例えば、食肉の運搬が難しかった地域や食糧問題が深刻な国など、あらゆる社会問題を解決する糸口になります。

SDGsにも貢献できる面もあり、今後も研究が進められていく予定です。

スイーツ専用3Dプリンティングシステム「Topology(トポロジー)」

お菓子メーカーのナショナルブランドでは、スイーツ専用3Dプリンティングシステム「Topology(トポロジー)」を開発しました。

機械にはスイーツを構成する食材を格納でき、それを噴射し立体的なスイーツを作り出します。複数の食材を立体的に組み合わせ、人の手ではできなかった食感や味わいを作り出すことに成功しました。

今まで組み合わせられなかった食材も活用できるので、今後も新しいスイーツの開発が期待されています。

寿司を転送する新しい試み「SUSHI TELEPORTATION」

■画像引用元:SUSHI TEREPORTATION | OPEN MEALS(https://www.open-meals.com/sushiteleportation/

世界最大級の複合フェスティバル「SXSW」において「SUSHI TELEPORTATION」が話題となりました。

この技術は、握り寿司をデータ化して転送し、転送先で元の握り寿司を再現するというものです。同フェスティバルでは、東京で握った寿司のデータをアメリカで出力し、現地で再現しました。

データが送られると、5mmの食用ゲルキューブが積み上げられ、低解像度のピクセル寿司が再現できます。本物のお寿司というわけではありませんが、最初のプロトタイプとして注目を集めました。

今後、細かい作業ができるようになれば、より本物に近いお寿司が再現できるかもしれません。

3Dフードプリンターは食品業界の課題を解決できる

今回は3Dフードプリンターについて解説してきました。まだ実用化には至っていませんが、今後の食品業界を変える技術として注目されています。特に介護食の分野では、大きな成果を上げていくはずです。

ショクビズを運営する株式会社丸信では、商品企画のサポートやOEM商品を探せる食品開発OEM.jpを運営しています。これまでの経験や実績をもとに、食品メーカーや小売店向けの相談やサポートも承っておりますので、ぜひご活用ください。

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