フードテックとは?食糧危機や食品ロスの解決につながる企業の取り組みを紹介

公開日:2024年2月13日 最終更新日:2024年2月7日

SDGs(持続可能な開発目標)を達成するために、食品業界の技術革新も進歩してきました。特に食品開発におけるフードテックは、食糧問題や食品ロスを解決する糸口になると予測されています。最近は代替肉や昆虫食の開発も進み、次々と新しい技術が生まれています。

今回はその中でも、代替食品や商品開発の分野のフードテックについてご紹介します。併せてフードテックが注目される理由や企業の事例もまとめて解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

 

フードテックとは

フードテックとは「フード(Food)」「テクノロジー(Technology)」を組み合わせた言葉です。最新のテクノロジーを駆使し、新しい技術で食品を開発したり今までにない食材を活用したりなど、新たな可能性を生み出すものです。

例えば、大豆を使った代替肉「大豆ミート」もフードテックによって生まれたものです。その他にも、昆虫食3Dフードプリンターなど、さまざまな分野でフードテックが導入されています。

世界では食糧問題が深刻化してきました。それを解決する上でも、フードテックは重要視されています。

 

なぜフードテックが注目されているのか?

フードテックが注目されている理由は以下の3つです。

  • ・SDGsが重要視されている
  • ・食糧危機の解決につながる
  • ・食品ロスの削減につながる

それぞれについて、詳しく解説していきます。

 

SDGsが重要視されている

SDGsとは、2015年9月の国連サミットで決められた「持続可能な開発目標」のことです。2030年までに持続可能な世界を目指す国際目標であり、17のゴールと169のターゲットから構成されています。

その中でも「飢餓をゼロに」「海の豊かさを守ろう」「陸の豊かさも守ろう」などは、フードテックで解決できる可能性があります。

またSDGsに取り組むと、消費者からのイメージアップにも効果的です。国のバックアップ体制もあるため、企業が取り組むメリットは大きいといえます。

 

食糧危機の解決につながる

現在、世界の人口は増加を続け2050年には97億人に到達するといわれています。そこで問題になるのが食糧不足や飢餓の問題です。人類は限られた資源の中で食糧調達をしているため、人口が多すぎると食糧危機に陥ります。

そこで役立つのがフードテックです。技術や知恵があれば、限られた食料を効率的に増やせ、多くの人の命を救うことができます。

例えば、タンパク質を補給できる代替肉や昆虫食は、特に注目を集める存在です。

日本では人口減少が叫ばれていますが、世界的に見ると食品の需要は高まっています。世界の需要を見据えてフードテックに取り組めば、大きな売上を見込めるでしょう。

 

食品ロスの削減につながる

フードテックは食品ロスの削減につながります。特に日本は食品ロスの多い国です。そのためフードテックの導入が重要視されています。

例えば、3Dフードプリンターは廃棄や余った食材をペースト状にして再利用できます。野菜の切れ端やパンくずなど、さまざまな食材を活用できるのがメリット。小さな積み重ねが、食品ロスの削減につながっていきます。

 

フードテックへの投資額は急上昇している

世界ではフードテックへの投資額が年々増えています。

日本政府の調査によると、フードテック分野の投資額は10年間で約10倍にまで増加。投資額の多い上位10ヶ国に日本は入っていませんが、世界的に見ると巨大な産業になりつつあります。

そして日本でも、産学官連携による「フードテック官民協議会」が立ち上げられました。フードテック官民協議会とは、食料システムの構築や新技術のアイデアなどを後押しする団体です。

また毎年「フードテックビジネスコンテスト」を開催し、食糧課題を解決するビジネスアイデアを募集しています。

食品メーカーをはじめ、スタートアップや研究機関など多くの企業や団体が参加し、今後の盛り上がりが期待されています。

 

フードテックで注目される最新技術

フードテックで注目されている最新技術を紹介します。

 

肉の替わりになる「大豆ミート・培養肉」

代替肉とは、植物や動物の細胞を活用した肉のような食品です。特に日本では、大豆から製造された「大豆ミート」が注目を集めています。ソイミートやフェイクミート、大豆肉などとも呼ばれ、スーパーでの販売も始まりました。

そして代替肉が普及すると、温室効果ガスの削減につながります。なぜなら、家畜を育てる際に多くの二酸化炭素を排出しているからです。実際に家畜が排出している二酸化炭素は、地球全体の約15%を占めているといわれています。よって代替肉は、環境問題の解決につながるのです。

特に大豆は日本人に馴染み深い食べ物なので、大豆ミートの需要は高まっていくでしょう。

関連記事
流行りの代替肉市場、参入メリットは?大豆ミートや、無印・カバヤ・昭和産業の事例をご紹介

 

新食材として話題の「昆虫食」

昆虫食とは、昆虫を食材として活用する取り組みです。もともと昆虫は貴重なタンパク源として重宝されてきました。しかし技術の進歩により、家畜や植物などからタンパク質を摂取する時代に。その結果、昆虫の需要は減少しました。

しかし食糧問題が叫ばれはじめ、昆虫食の重要性が高まってきたのです。昆虫は栄養価が高いだけでなく、環境負荷の少なさや加工のしやすさなどから、食品業界でも注目を集めています。

日本でも、昆虫食の食品を開発する企業が増えています。今後は昆虫食が大きなビジネスチャンスになるかもしれません。

 

リアルに食品を再現できる「3Dフードプリンター」

3Dフードプリンターとは、ペースト状にした食材などを用いて、食品を立体的に造形できる機械です。食品のデータと材料さえあれば、形だけでなく食感や栄養素などもコントロールできます。そのため病院や介護施設などで提供される病院食・介護食での導入が検討されています。

また3Dフードプリンターは食品ロスの削減につながります。なぜなら、廃棄される食材や不揃いの野菜などをペースト状にできるからです。食品を再利用できれば大幅な食品ロスの削減につながり、企業としての評価も上がっていきます。

 

自動で調理してくれる「調理ロボット」

調理ロボットとは、自動で調理を行ってくれる機械です。主に外食産業で導入され、人手不足解消や人件費削減に役立っています。

例えば、ちゃんぽん麺のチェーン店のリンガーハットでは、「自動鍋送り機」を導入。ちゃんぽんの具材を鍋に入れると、3台連結した鍋で順番に調理され、スタッフは盛り付けだけサポートします。これにより大幅な業務効率化ができたそうです。

調理ロボットは、人間が行っていた作業を代替できるのがメリットです。特に外食産業は人手不足が叫ばれているため、調理ロボットの普及は進んでいくでしょう。

 

フードテックの企業事例をまとめて紹介

最後にフードテックの企業事例をまとめて紹介します。

 

コオロギを使用した食品を開発(株式会社MNH)

■画像引用元:コンフェクショナリー・コオロギ - MNH|Social Good Company|みんなで日本をハッピーに(https://www.mnhhappy.com/brand/concricket

株式会社MNHでは、昆虫のコオロギを使用した食品を開発しています。同社では「未来コオロギシリーズ」を展開し、日本のコオロギ食のパイオニアとして業界を牽引。さまざまなコオロギフードを開発してきました。

コオロギパウダーを活用したスナックやラーメンが人気で、企業とのコラボも積極的に取り組んでいます。

SDGsが重要視され、環境に優しい食品が注目され始めました。日本においても、食品スーパーに昆虫食が並ぶ日も近いかもしれません。

特に大豆は日本人に馴染み深い食べ物なので、大豆ミートの需要は高まっていくでしょう。

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植物性タンパク質で代替魚を製造(あづまフーズ)

水産加工品を製造するあづまフーズでは、植物性タンパク質を原料とした代替魚を開発しています。

本物の魚に似せた「まるで魚」シリーズでは「サーモン」「マグロ」「イカ」の3種類を展開。原材料はこんにゃく粉や食塩、ローカストビーンガム(豆科の植物から開発された天然の安定剤)、トレハロース、パプリカ色素などから構成されています。魚の味や香りを一切入れていないため、海外からの注文も増えているそうです。

世界では水産資源の減少が叫ばれています。そのため、代替魚の需要は今後高まっていくでしょう。

 

大豆タンパク質で代替肉を製造(昭和産業)

■画像引用元:まめたん | 大豆たんぱく | 家庭用商品 | 昭和産業株式会社(https://www.showa-sangyo.co.jp/home/soybean/product01.html

大豆タンパク質の製品を開発・販売する昭和産業。代替肉の「大豆ミート」を製造し、食品スーパーでの展開も始まっています。

中でも家庭用商品の大豆ミート「まめたん」は、水で戻して簡単に使えると話題。ひき肉のかわりになり、ハンバーグや麻婆豆腐など、さまざまな料理に活用できるのがメリットです。

さらに大豆ミートは食肉を一切使用していないので、ベジタリアンやヴィーガンの人でも安心して食べられます

大豆ミートは、フードテックの中でも特に成長している分野なので、今後も多くの企業が参入するでしょう。

 

3Dフードプリンターで介護食を開発(山形大学)

山形大学理工学研究科では、3Dプリンターを活用した介護食の研究に着手。3Dプリンターでゲル状の食材を噴射し、より料理に近い介護食を目指しています。

従来の介護食は食材をペースト状にするだけなので、見た目が美味しそうではありませんでした。一方3Dフードプリンターは、ペースト状の食材を噴射し、本物のような見た目に仕上げられるのがメリット。

中身はペーストですが、見た目は本物の料理に見えるため食欲をそそられます。高齢者は「昔と同じ食事を食べたい」と思っています。それを解決できる策として3Dフードプリンターは大いに役立つ存在です。

 

フードテックの展示会も盛んになっている

国内のフードテック市場は盛り上がりを見せ、展示会などのイベントも盛んに行われています。

例えば食品開発展2024では、来場者数約4万人、出展者プレゼン約400社になると予想されています。代替食品や業務効率化のためのDXコーナー、そして高付加価値食品のOEM・PB開発ゾーンも設けられる予定です。

このように、今後も国内のフードテック市場はさらに注目を集めていくでしょう。

 

フードテックは食品産業の未来を変える

今回は、世界の食料問題を解決するフードテックについて解説してきました。フードテックが普及すれば、人口増加による食糧危機や環境問題を大幅に改善できます。ぜひフードテックの技術を取り入れ、社会貢献を目指してみてはいかがでしょうか。

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