有機JAS認証とは?有機食品の認証を取得する費用やメリット・デメリットを解説

公開日:2023年7月10日 最終更新日:2023年8月1日

健康志向の高まりにより、オーガニックや有機食品が注目を集めはじめました。その中でも有機JAS認証取得した商品は、有機JASマークで付加価値をつけられます。

しかし有機JAS認証取得方法や費用について、詳しく知らない人も多いのではないでしょうか。この記事では有機JAS認証取得する流れやメリット、企業の事例をご紹介します。 

 

有機JAS認証とは 

まずは有機JAS認証の取り決めやオーガニックとの違いについて解説します。 

 

有機JAS認証について 

有機JAS認証とは、有機食品のJASに基づき、厳しい基準を通過した食品だけが名乗れるものです。認証されると有機JASマークを貼ることができます。 
ちなみに有機食品とは、環境に最大限の配慮をして作られた食品。農薬や化学肥料を極力使わずに生産されています。 

日本において有機JAS認証を受けられるのは「有機農産物」「有機加工食品」「有機畜産物」「有機飼料」の4種類です。 
ちなみに有機JAS認証を受けていない商品に「オーガニック」「有機食品などの表示をすることは法律で禁止されています。 

 

有機JAS認証とオーガニックとの違い

有機食品とオーガニックは同じ意味です。日本では、有機JAS認証を受けていない商品をオーガニックと名乗ることはできません。 
しかし基準が定められていない水産物や化粧品などは、企業側が根拠を示すことで表示する場合もあります。 

また似た言葉に「ナチュラル」がありますが、これは天然物の食品を指します。例えば、山に入って山菜を取ってくればナチュラル。その山菜が人の手で管理され、農薬や化学肥料を使わずに生産されていればオーガニックとなります。  

 

有機JAS認証取得する流れ

オーガニック食品を売り出すなら有機JAS認証を受けたいはずです。 
そこで有機JAS認証取得する流れをまとめてみました。 

有機JAS認証の基準を満たしているか確認 

大前提として、有機JAS認証の基準を満たしていなければ申請は行えません。 
農産物や加工食品で基準は異なりますが、有機加工食品の取り決めの一例を挙げておきます。 

原材料(食塩及び水を除く。)及び添加物(加工助剤を除く。)の重量に占める農産物(有機農産物を除く。)、畜産物(有機畜産物を除く。)、水産物及びこれらの加工 品並びに添加物(有機加工食品として格付された一般飲食物添加物(一般 に食品として飲食に供されている物であって添加物として使用されるもの をいう。以下同じ。)及び加工助剤を除く。)の重量の割合が5%以下で あるものをいう。 

出典:農林水産省 有機加工食品の日本農林規格 

これらの基準はさらに細かく設定してありますので、まずは農林水産省の公式ページから適合しているかご確認ください。 

 

有機JAS認証の申請書の作成 

有機JAS認証の認証機関に提出する申請書を作成します。 

 

書類審査 

申請書が受理されると、審査基準に適合しているか書類審査が行われます。基準を満たしている、もしくは実地検査までに改善できると判断された場合は次のステップに進めます。 

 

実地検査 

検査員が農地や保管倉庫に出向いて、実地検査が行われます。実地検査で改善が必要と指示された場合は、指摘箇所を改善し、追加の書類を提出します。

 

合否判定 

提出書類や実地検査の結果を元に合否判定が行われます。認証されれば、認証機関から認定書がもらえます。 

 

有機JAS認証取得する費用 

有機JAS認証取得する費用の目安は15〜20万円ほどです。 
有機JAS認証取得する費用は、登録認証機関によってさまざま。登録認証機関は農林水産省から認定された第三者機関で行われます。 

 

食品メーカーが有機食品を開発する利点とは? 



食品メーカーが有機食品を開発するメリットを紹介します。 

 

オーガニックのコンセプトを打ち出せる 

有機JAS認証を取得すれば、オーガニックをコンセプトとした商品を打ち出せます。
特に最近はオーガニック思考の人が増えてきました。オーガニック思考とは、「地球環境のために自分たちができることから取り組もう」という考え方です。有機食品だけでなく、ゴミの分別やプラスチックの削減、水の節約などもオーガニック思考のひとつです。 

SDGにも通ずる部分があるため、オーガニックを打ち出せば多くの人から共感してもらえます。 

 

消費者に安心感を与える 

オーガニック最大のメリットは、消費者に安心感を与えられる点です。 
もちろん日本で出回っている食品は、食品衛生法の基準を満たしています。しかし海外では禁止されている添加物が、日本では当たり前に使われている現状もあり、消費者は「何を買ったらいいのだろう?」と不安になっているはずです。 

有機食品であれば農薬や添加物が最小限に抑えられているため、安心して口にすることができます。特に小さな子どもを持つ家庭では、有機食品への信頼は厚いといえるでしょう。

 

環境問題の解決につながる 

オーガニックや有機食品の開発は、環境問題の解決につながります。 
例えば、農地で農薬や化学肥料を使うと、成分が川や海に流れ出すといわれています。すると農産物そのものだけでなく、海産物にも影響が出て、生態系に悪影響を及ぼす原因になるのです。 

しかし有機食品は、農薬や化学肥料の使用量が少ないため、多くの生態系を守れるでしょう。よって有機の農産物や畜産物使った食品の開発を進めれば、環境問題の解決に繋がります。  

 

食品メーカーが有機食品を開発するデメリットはある? 

有機食品を開発するデメリットを紹介します。 

 

コストが高い 

有機食品は、普通の食品に比べてコストが高いのがデメリット有機食品は、農薬や化学肥料に頼らないため、一般的な農業と比べて手間暇がかかります。よって原料の価格も高くなりやすいのです。 

さらに有機JAS認証を受けるには費用と時間がかかります。中には認証を諦めてしまう企業もあるため、参入のハードルは高いといえるでしょう。

その分、価値を感じる消費者は多くいますので、需要と供給のバランスを見ながら開発を進めてみてください。 

 

大量生産に向かない 

有機農業は手間暇がかかるため、流通量が少ない傾向にあります。実際に有機農業を行っている日本の農地は約0.4%。原料の仕入れも難しいかもしれません。 

スーパーやコンビニに行ってもオーガニックコーナーは小規模です。もちろん、価格を高くして少量でも売上を立てられるのはメリットといえます。大量生産ではなく、少量生産で価格を上げる施策を取ってみてください。  

 

有機食品を開発する企業の事例を紹介 

有機食品を開発する日本の企業事例をご紹介します。 

 

オーガニックでSDGsに貢献する「マルシマ」 



■画像引用元:株式会社純正食品マルシマ「まじめにおいしい」 自然の味と香りを今に、未来に。(https://junmaru.co.jp/)

広島県尾道市にあるマルシマは、自然食品やオーガニック食品を製造・販売する食品メーカーです。 
マルシマでは5つの約束を元に食品を製造しています。 

  • ・自然に近い 
  • ・国産原料優先 
  • ・情報を積極的に公開 
  • ・地球環境への配慮 
  • ・適正価格で販売
      

食品添加物や遺伝子組換え原料は極力使用せず、有機栽培の食材を優先的に使用。醤油や味噌などの調味料、麺類や缶詰などの加工食品など、さまざまな商品を開発しています。 
またオーガニック商品はSDGsの6つの項目を達成できると公言し、開発を行っているのもポイントです。SDGsを掲げている食品メーカーは注目されやすいため、今後の活動にも期待できます。

 

マロンのような有機蒸し大豆を生み出す「だいずDAYS」 



■画像引用元:株式会社だいずデイズ(http://daizu-days.co.jp/

だいずDAYSは「もっと大豆を食べて欲しい」という想いで大豆商品を生み出している食品メーカーです。 

中でも有機原料シリーズの「蒸し大豆」は、楽天市場の大豆部門のリアルタイムランキングで1位を獲得した人気商品。 
北海道で有機栽培された大豆を100%使用し、添加物や化学調味料、保存料は一切使用せず作られています。保存のために使用されるのは、国産の有機米酢と赤穂の天塩のみ。とにかく安心安全にこだわった蒸し大豆です。 

一口食べるとクリーミーな口当たりで、マロンのような甘みが口の中の広がります。素材の味をそのまま活かした商品として参考になる事例です。 

 

日本初の生醤油を生み出した「弓削多醤油」の有機醤油 



■画像引用元:弓削多醤油(日本初の生しょうゆ・有機醤油の通販) | 体に良い菌が生きている発酵食品としての生しょうゆhttps://yugeta.com/

埼玉県にある弓削多醤油では、国産の有機大豆を使用して有機醤油を製造しています。 

醤油は有機JAS認証を受けた木桶仕込蔵で、天然醸造により1年以上の時間をかけて作られているのが特徴。他の醤油とは分別して仕込まれており、強いこだわりを持って製造されています。 
天然醸造なので醤油本来の旨味が凝縮し、どんな料理にも合わせやすいのがメリット。大量生産できないため希少で値段はやや高めですが、その価値が認められテレビや新聞などのメディアにも多く取り上げられています。 

 

有機食品の商品開発で他社と差別化を 

SDGsが注目を集める今、環境にも体にも優しい有機食品は伸びていくはずです。参入障壁はやや高いものの、他社と差別化ができ安定した売上を出せるポテンシャルを持っています。 

そして有機食品の開発には商品の企画力が求められています。ショクビズを運営する株式会社丸信では、商品企画のサポートやOEM商品を探せる食品開発OEM.jpを運営しています。これまでの経験や実績をもとに、食品メーカーや小売店向けの相談やサポートも承っておりますので、ぜひご活用ください。 

▼「食品開発OEM.jp」はこちら



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