グルテンフリー食品で健康増進、脱小麦が加速中!市場規模や注目される背景を解説

公開日:2022年6月14日

「無添加」や「無農薬」、「自然由来/天然由来」など、体にやさしい食べ物を好んで選ぶ健康志向の商品者が増えています。「グルテンフリー」もその一つ。体の不調の原因になると言われているグルテン小麦原料とするケースが多いことから、食糧危機や紛争などで世界的に小麦が手に入りにくくなっている実情も踏まえ、「グルテンフリー食品」が再注目されています。米国リサーチ会社の調査によると世界のグルテンフリー製品市場規模は、2011年の17億米ドル(約2150億円)から2020年には47億米ドル(約6000億円)まで成長。2027年に75億ドル(約9500億円)に達すると推定されています。小麦アレルギー症状などの疾患を持つ人だけでなく、健康志向から支持する人が今後も増えていくことが予測されるグルテンフリーについて、改めて基礎知識や商品事例などを紹介したいと思います。 

グルテン、グルテンフリーの基礎知識 

グルテンとは? 

グルテンとは小麦粉に含まれる粘性物質のことです。グルテニンとグリアジンという2種類のたんぱく質が結合してできたタンパク質。主にパン、うどん、ラーメン、パスタ、ホットケーキなどの小麦食品に多く含まれており、もちもちとした食感を作り出す特性があります。日本でも小麦食品は多数存在するため、グルテンは人々の食卓に密着した身近な存在といえます。 

 

グルテンフリーとは 

グルテンが主に小麦に含まれることから、小麦によってアレルギー症状が出る人たちのための体質改善のための食事療法としてグルテンフリーが誕生した経緯があります。その後、アレルギーではない一般の人でもグルテンフリーを実践すると体調が良くなったり、ダイエットにつながることが分かり、健康のために小麦を摂取しない食事法としてグルテンフリーが少しずつ広がりを見せるようになりました。では、グルテンフリー健康に良いとされる理由について見ていきます。 

体調改善やダイエットグルテンフリーのメリット 

グルテン摂取による問題点 

グルテンは消化されにくいタンパク質で分解されるため、便として身体の外には出ず、腸の粘膜に貼り付いて異物となります。粘膜が弱くなると、腸や身体に異変が起こり、その結果、粘膜が炎症を起こして腸内環境を悪化させ、このことがさまざまな体の不調を起こします。 

《セリアック病》 

グルテンに対する免疫反応によって起こる自己免疫の遺伝性疾患です。小腸の粘膜が慢性的な炎症を起こし、腸が機能しなくなり、栄養の吸収が阻害され体重減少したり、腹痛や疲労感、骨・関節の痛みなどにつながります。 

グルテン不過敏症》 

グルテンを摂取すると小腸が過敏に反応して消化不良になり、吐き気や痛み、腸疾患などを引き起こす場合があります。また、過度に摂取すると、中毒症状を引き起こすこともあるため注意が必要です。 

《非セリアック・グルテン過敏症(NCGS)》 

グルテンを多く含む食事をした後に、胃が膨張し、胃の痛みや吐き気、腹部のけいれんを感じたり、疲労感や集中力低下を感じる場合もあります。疾患など様々な病気への危険性が高まってしまう場合もあります。 

《肥満》 

小麦には食欲を増進する効果があり、グルテンがしっかり消化できないとグルテンの中に含まれるグリアジンという物質により血糖値の上昇などが起こります。血糖値を下げるためにインスリンが過剰分泌されたり、肥満の原因になるタンパク質「サイトカイン」が細胞から分泌されるために、脂肪を溜め込み、太りやすくなったり、むくみを引き起こす原因になります。 

《過敏性腸症候群(IBS)》 

グルテンには血糖値を上昇させるアミノペクチンA(糖質)や腸内トラブルの原因となるグリアジン(アミノ酸)が含まれているため、腸粘膜が炎症を起こし、便が異常になったり、また小腸に悪影響を及ぼす可能性があります。 

《消化吸収の低下による栄養失調》 

小腸からの栄養の消化吸収が障害され、全身に栄養が行き届かず、栄養失調を起こす場合があります。慢性的な倦怠感や思考力減退、浮腫、貧血、ぼんやりしたなどの症状もあります。 

グルテンフリーのメリット・デメリット 

グルテンフリーを心がけることで、小麦アレルギー対策になることに加え、上記のさまざまな不調を防止すことができます。特に「グルテン過敏症」の原因を除去したり、肥満を解消しダイエットにつなげたり、臓器の炎症を予防するといった目的でグルテンフリーを意識する人が多いようです。 

グルテンフリーは良いこと尽くめのように見えますが、もちろんグルテンフリーのデメリットもあります。グルテンフリーにこだわりすぎると、必要な栄養素を補えないリスクがあります。グルテンフリーを推奨することで、小麦に含まれるビタミンB・ミネラル・食物繊維などが不足するため、本来必要な栄養素が摂取できずに、かえって健康に悪影響をもたらす可能性があります。足りない栄養素を他の食品で補うことが必要です。また、グルテンフリーの効果は医学的な根拠がありませんので、過度なグルテンフリー推奨は注意が必要です。 

グルテンフリーの代替原料や認証規格 

グルテンフリーとなる原料 

グルテンフリーの代表的な原料は、お米を細かく砕いて粉状にした米粉があります。種類はもち米から作った白玉粉や、うるち米から作った上新粉など。米粉小麦の代替品として用途が拡大しており、米粉で作ったパンパスタパンやケーキなどが多数市販されています。 

米粉以外ではそば粉、とうもろこし粉、片栗粉、大豆粉、おからパウダー、コーンスターチ、アーモンド粉、ココナッツパウダー、タピオカ粉などがあります。なお、こうしたグルテンフリー原料でもアーモンドのようにアレルギー表示対象の27品目に含まれるものもありますので、アレルギーの方は注意が必要です。 

グルテンフリー認証 

また、グルテンフリー食品であることを証明する認証規格はいくつか運用されています。食品メーカーにとっては第三者機関が認定した確かなグルテンフリー食品であることを証明するとともに、グルテンフリーを求める消費者に対しても安心して選んでもらえる指標となります。ここでは代表的な2つの認証規格を紹介します。 

■ノングルテンJAS 認証/農林水産省 

お米にはグルテンは含まれていませんが、外部からの混入を防止するため製造工程を適切に管理することで、グルテン含有量を1ppm以下とした米粉に「ノングルテン米粉仕様マーク」を表示できる仕組みです。主な条件としては、ノングルテン米粉が主たる原料小麦は不使用、HACCP等の考え方を取り入れた衛生管理による製造体制、さらには日本米粉協会による講習会の受講などが必要です。 

https://www.komeko.org/jas/certification.html 

■GFCOグルテンフリー認証/GFCO 

「GFCO(Gluten Free Certification Organization)」はアメリカで最も基準が厳格なグルテンフリー認証です。グルテン含有量は10ppm以下と定められているほか、原料・流通・生産の管理監視水準においても高いレベルでクリアすることが求められています。 

https://www.sgsgroup.jp/ja-jp/agriculture-food/food/food-certification/gluten-free-certification-services/gluten-free-certification-organization 

パンパスタ、醤油など代表的なグルテンフリー商品 

グルテンフリーのアイテムとしては、パン、麺類、餃子、天ぷら、カレールー、スイーツ、醤油などがありますが、市販されているグルテンフリー食品の多くが米粉製品です。ここでは米粉製品を中心に代表的なグルテンフリー食品を紹介します。 

米粉パン 

グルテンフリーパン』/株式会社SAKU(福岡市博多区) 

九州産(熊本県)の米粉 100%使用した小麦、卵、乳製品不使用のグルテンフリーパンです。お米本来の風味や味と「小麦パン」と変わらない食感を追求しています。トーストすると外はカリッ、中はもっちりの食感を楽しめます。 

https://www.pon-q-pon.com/ 

■「みんなの食卓」シリーズ/日本ハム 

「おいしさに安心をそえて」のコンセプトのもと、特定原材料7品目(卵・乳・小麦・そば・落花生・えび・かに)を使用しない専用工場で製造した食物アレルギー対応食品です。ハムやソーセージ、米粉パン、米粉麺などを販売しています。米粉パンシリーズではGFCOグルテンフリー認証を取得しています。 

 https://www.nipponham.co.jp/products/food_allergy/2700/ 

麺類 

■『ライスパスタ』/ケンミン食品(神戸市中央区) 

お米100%ならではの上品な香りともっちり食感が特徴のお米の魅力が詰まったライスパスタです。小麦食品添加物不使用・玄米入り。 

https://www.kenmin.co.jp/item/15008.html 

スイーツ

■『チョコinデーツ』/デーツオアシス合同会社(福岡市東区)

デーツとカカオマスだけで作ったチョコレートです。砂糖不使用でグルテンフリーのスイーツ。厳選した無添加のドライフルーツとナッツも可愛くトッピングしているので、見て楽しい、食べて楽しいチョコレートです。

https://www.otoriyose.site/shopdetail/000000000758/

■『米粉のブラウニー』/オー・ド・ヴィラージュ(東京都中央区) 

ずっしりと食べごたえがありながら、生チョコのようなしっとりとろける食感が楽しめます。ダークチョコ・くるみ・黒きなこと抹茶の3種類がセット。無添加のグルテンフリーなので、妊活中の方や小麦アレルギーの方におすすめ。 

https://epark.jp/ichie/gluten-flee-sweets/#i-2

調味料

■『米粉のカレー・ルー』/コスモ食品(東京都大田区) 

国産米粉100%使用の優しいカレー・ルーです。グルテンフリーなので美味しくヘルシー。「直火焼製法」で焼き上げた、使いやすいフレークタイプです。 

https://www.e-cosmo.co.jp/products/00050113/ 

■『いつでも新鮮 えんどうまめしょうゆ』/キッコーマン(千葉県野田市) 

大豆・小麦を使用せず、えんどう豆を主原料とした食物アレルギー対応のしょうゆです。通常のしょうゆと同様に微生物のはたらきで発酵・熟成させ、通常のこいくちしょうゆのような芳醇な香りやコクのあるしっかりとした味わいを実現しました。 

https://www.kikkoman.co.jp/products/product/K055005/index.html 

グルテンフリー食品の開発は食品OEMマッチングサイトへ 

グルテンフリーの中心は米粉を使った食品です。以前に比べると加工技術も進化し、小麦に近い触感を実現できるようになってきました。お米は、本来日本人が古来より食してきた主食ですので、グルテンフリー生活を米粉から始められる方が圧倒的に多いようです。スーパーやコンビニでは小麦粉が入っていないお菓子や調味料も増えてきました。

特に日ごろ体調に不安を抱えている方や、先述のような不調に心当たりのある方は、まずは無理のない範囲でグルテンフリーを始められてみてはいかがでしょうか。また、世界情勢により今後、小麦が手に入りにくくなるともいわれていますので、“脱小麦”の観点からも小麦代替品の需要は高まりそうです。グルテンフリー市場は今後も拡大していくことが予測されているため、対象原料やアイテムも今後ますます増えていくことでしょう。 

グルテンフリー食品を含め食品の開発をご検討されている企業の方は食品OEMマッチングサイト「食品開発OEM.jp」もご参考にしてみてください。 

▼「食品開発OEM.jp」サイトはこちら
https://shokuhin-oem.jp/