飲食店が使える最もポピュラーな補助金制度「小規模事業者持続化補助金」とは?専門家が解説!

公開日:2022年10月11日 最終更新日:2022年10月6日

事業者の事業をサポートする補助金。昨今では、様々な補助金を利用し、新規事業を始められる食品メーカーや飲食店が増えています。本記事では、飲食店が使えるもっともポピュラーな補助金制度である「小規模事業者持続化補助金」について、株式会社丸信の補助金コンサルタント 福永が解説します。

 

飲食店で最もよく使われている小規模事業者持続化補助金とは

飲食店が使える補助金は多々ありますが、最もポピュラーな補助金のひとつとして小規模事業者持続化補助金があります。
対象者は、小規模事業者(飲食店の場合従業員5人以下の事業者)に限られますが、通年に渡って4回~5回程度募集されており、ホームページ作成などの広報費設備の購入 などの機械装置等費店舗の改装など幅広い用途の購入費用のために、2/3~3/4の額が補助される補助金制度です。

 

〇補助上限:[通常枠] 50万円 [賃金引上げ枠] 200万円

[卒業枠] 200万円 [後継者支援枠] 200万円

[創業枠] 200万円 [インボイス枠] 100万円

 

〇補 助 率:2/3(賃金引上げ枠のうち赤字事業者については3/4)

 

〇主な補助対象経費

■ 機械装置等費
例)高齢者・乳幼児連れ家族の集客力向上のための高齢者向け椅子、 衛生向上や省スペース化のためのショーケース  、生産販売拡大のための鍋・オーブン・冷凍冷蔵庫、 新たなサービス提供のための製造・試作機械

■ 広報費
例)チラシ・カタログの外注や発送、新聞・雑誌等への商品・サービスの広告 看板作成・設置 試供品(販売用商品と明確に異なるもの である場合のみ)、販促品(商品・サービスの宣伝広告が掲載されている場合のみ)、郵送による DM の発送

■ ウェブサイト関連費
例)商品販売のためのウェブサイト作成や更新、インターネットを介したDMの発送、 インターネット広告 バナー広告の実施 、効果や作業内容が明確なウェブサイ トのSEO 対策 商品販売のための動画作成

■ その他、展示会等出展費
(オンラインによる展示会・商談会等を含む)、旅費、開発費、資料購入費、雑役務費、借料、設備処分費、委託・外注費など

 

補助金とは?仕組みを簡単に解説

国の補助金には様々なものがありますが、ものづくり補助金・IT導入補助金・小規模事業者持続化補助金が有名で、これらをまとめて3大補助金と呼ばれています。
(参考:「マンガでわかる補助金のしくみ」https://mirasapo-plus.go.jp/hint/16241/

そのなかでも、小規模事業者持続化補助金は比較的採択率が高く、通年で募集されているため、とても申請しやすい補助金制度です。
飲食店の場合、従業員数5名以下の事業者のみしか申請できませんが、 パートアルバイトは従業員に含めないことができる場合が多いので(厳密には正社員の労働時間の3/4以上働いているものを従業員とするという規定があります。)飲食店経営 者に広く使われている補助金です。

商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く):常時使用する従業員のカズが人以下、宿泊業・娯楽業:常時使用する従業員の数が20人以下、製造業その他:常時使用する従業員の数が20人以下。常時使用する従業員には、会社役員や個人事業主本人、一定条件を満たすパートタイム労働者は含みません。詳細は補助金事務局ホームページの「よくある質問」を確認ください。

 

とはいえ、補助金をもらうためには、補助金の趣旨に合った事業計画を立て、国に認めてもらう必要があります。この書類作成が非常に面倒なため(慣れれば難しくはないのです が)申請をためらわれる方が非常に多いようです。

膨大な情報量の公募要領(https://r3.jizokukahojokin.info/doc/r3i_koubo.pdf)を理解することに労力を割く時間がないという声も多くあります。
最近では申請のためのガイドブック(https://r3.jizokukahojokin.info/doc/r3i_gaidobook.pdf)も作成されるなど以前に比べて分かりやすくなってきましたが、それでもなお補助金制 度の分かりづらさは健在のようです。

 

小規模事業者持続化補助金の活用事例をご紹介します

公募要領には、小規模事業者持続化補助金の目的は、「小規模事業者自らが作成した持続的な経営に向けた経営計画に基づく、地道な販路開拓等の取組(例:新たな市場へ の参入に向けた売り方の工夫や新たな顧客層の獲得に向けた商品の改良・開発等)や、地道な販路開拓等と併せて行う業務効率化(生産性向上)の取組を支援するため、それに要する経費の一部を補助するものです。」と記載されています。

この趣旨を正しく理解し、新規販路開拓のための実現可能な計画を立て国の審査を通過することで補助金を受給することができます。
とはいっても、イメージがわきにくいと思いますので、以下に補助事業で成功した(国の審査にかなった)事例を紹介します。

 

▼ホームページ開設、メニュー表のリニューアル、パンフレットなどに補助金を利用した事例
https://jirei-navi.mirasapo-plus.go.jp/case_studies/1203

 

▼テイクアウト専用窓口の設置やキャッシュレス対応レジの導入のために補助金を活用した事例
https://jirei-navi.mirasapo-plus.go.jp/case_studies/1475

 

▼急速冷凍機を導入し、マフィンの賞味期限を延ばし宅配での提供を実現した事例
https://jirei-navi.mirasapo-plus.go.jp/case_studies/1476

 

そして、事業計画書の書き方のサンプルもホームページに公表されていますので参考になります。

 

▼珈琲店の事業計画書の書き方
https://r3.jizokukahojokin.info/doc/r3i_y2_rei1.pdf

 

▼カラオケ店の事業計画書の書き方
https://r3.jizokukahojokin.info/doc/r3i_y2_rei2.pdf

 

▼割烹料理店の事業計画書の書き方
https://r3.jizokukahojokin.info/doc/r3i_y2_rei4.pdf

 

小規模事業者持続化補助金を取得するためのポイント 「事業計画書のテンプレート」を配布

以上のような成功事例や、事業計画書の作成例を参考に、補助金の趣旨に沿った実現可能な事業計画書をしっかり立て、審査を通過すれば、晴れて補助金を獲得することがで きます。

補助金を確実に獲得するためには、上記の事例等を研究し、自社で実現可能でかつ、国の審査を通過できるような事業計画書を作成することが重要です。 とくに事業計画書に記載すべき点は以下のようなことであろうと考えられます。

・新規事業は自社の強みを踏まえたものか

・新しい取組みは市場のニーズを踏まえたものか

・市場のニーズを的確に分析できているか

・具体的な数値目標を検討できているか

また、小規模事業者が取るべき戦略は「ニッチな分野を重点的に攻めたほうが良い」というセオリーもありますので、

・重点的に販促する商品

・重点的に販促するターゲット

をしっかりと事業計画書に記載することも国の審査を通過するための重要なポイントと言えます。

 

上記のようなポイントを踏まえた事業計画書のテンプレートを作成いたしましたのでぜひ参考になさってください。

▼「事業計画書」テンプレート ダウンロード

 

以上のように、小規模事業者持続化補助金を取得するためには、補助金の制度趣旨を正しく理解し、ポイントをとらえた事業計画書を作成することが重要です。
一見難しく感じる補助金の申請作業ですが、一度挑戦してみると、コツがつかめるものです。(当補助金は1年程度経てば、もう一度申請することができるので、毎年のように事業 計画を立て、申請し採択されている事業者様もたくさんいらっしゃいます。)

この補助金の申請にチャレンジすることで、補助金申請の基本的な流れを網羅することもできます。
他の大型の補助金(ものづくり補助金・事業再構築補助金など)へステップアップする基礎力も身に付きます。
ぜひ挑戦されてみてはいかがでしょうか?

 


株式会社丸信 補助金コンサルタント 福永晃大

 

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