ゼロカーボン食品とは?特徴や導入するメリット、企業の取り組み事例を紹介

公開日:2023年12月20日 最終更新日:2024年2月1日

世界では環境問題の悪化が問題視されています。さまざまな解決策があがる中、注目されているのが二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスを排出せずに生産された「ゼロカーボン食品」です。
環境問題に配慮した食品は、より増えていくと予想され、今後、多くの食品メーカーが重要視するテーマであることは間違いないでしょう。
そこで今回は、ゼロカーボン食品の特徴や食品メーカーが取り入れるメリット、企業の事例をまとめて紹介します。

ゼロカーボン食品とは

「ゼロカーボン食品」とは、製造や生産、輸送、販売、貯蔵などのプロセスで、二酸化炭素・温室効果ガスの排出量ゼロを目指している食品のことです。カーボンニュートラルとも呼ばれています。
現在、世界の人口増加に伴い、食品の生産・製造も増えています。これから数十年の間に多くの食品を生産する必要があることから、その代償として大量の二酸化炭素・温室効果ガスの排出が予想されています。
その排出量を抑えるのに効果的だとが注目を集めているのが、「ゼロカーボン食品」です。今後、ゼロカーボン食品を開発する流れが加速し、日本でも浸透していくでしょう。

ゼロカーボン食品は世界の未来を変える?

ゼロカーボン食品が浸透すると、世界の環境問題が改善に向かうといわれています。
なぜなら、食品の製造から消費までに発生する温室効果ガスは、全産業の約4割といわれているからです。
温室効果ガスと聞くと、工業・林業が原因と思われがちです。しかし実際は、食品が最も関連しているといわれ環境問題と密接に関わっています。
例えば、廃棄食品を焼却する際にも二酸化炭素が発生し、環境問題に影響を与えます。日本も食品ロスの多い国のひとつで年間にすると約612t。国民1日あたり茶碗1杯分を捨てている計算になります。食品は、毎日の生活に欠かせないもの。だからこそ環境問題を解決するには、まずは食品産業の協力が必要不可欠だとされています。

農林水産省データ
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2010/spe1_01.html

ゼロカーボン食品を取り入れる5つのメリット

ゼロカーボン食品を取り入れる5つのメリット

食品メーカーがゼロカーボン食品を取り入れるメリットを紹介します。

CO2削減につながり企業イメージがアップする

ゼロカーボン食品は、二酸化炭素(CO2)の排出量ゼロを目指している食品です。そのため、ゼロカーボン食品の開発を進めれば、環境問題を考える企業としてイメージのアップにつながります。
環境省も2050年カーボンニュートラル」の実現に向けて動いており、国をあげて力を入れている分野です。
昨今、日本でも異常気象による自然災害が増えています。二酸化炭素が増えて温暖化が進めば、さらに深刻な状況に陥ることは目に見えています。
今のうちから取り組めば、CO2を削減しつつ企業イメージアップが狙えるでしょう。

資源の節約につながる

ゼロカーボン食品の多くは、植物ベースの原材料を活用しています。例えば、大豆のタンパク質から作られた「大豆ミート」もゼロカーボン食品のひとつです。家畜を飼育する必要がないため、水の節約や土地の利用など、あらゆる資源の削減につながります。
また資源が節約できれば、食品製造のコストも下がり企業側が恩恵を受けられる場合も。最近は代替肉やプラントベースフードにも注目が集まっているので、そういった分野への参入も考えてみてはいかがでしょうか。

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多くの代替食品が生まれる

ゼロカーボン食品の取り組みが加速すると、多くの代替食品が生まれるといわれています。資源の節約と関連していますが、植物ベースの代替食品家畜の細胞から作られた培養肉など、あらゆる代替食品が生まれるでしょう。
食品メーカーの開発力も上がり、さまざまな技術革新も起こります。新しい技術を取り入れ、商品開発ができるようになるのもメリットのひとつです。

将来的にサプライチェーンから外されないための対策になる

ゼロカーボン食品は、食品業界全体で広がりを見せています。そのためゼロカーボン食品に参入すれば、サプライチェーンから外されることなく、周りからの協力体制を得られるかもしれません。
サプライチェーンとは「供給の連鎖」を意味し、原材料の調達から生産、流通、販売までの流れを指すものです。現在はサプライチェーン全体で脱炭素社会を目指す取り組みが始まりつつあるので、今のうちから参入するメリットは大きいでしょう。

パッケージに「カーボンゼロマーク」を入れられる

ゼロカーボン食品を開発すると、「CO2ゼロ印刷マーク」を入れられます。
CO2ゼロ印刷マークとは、製品を通じて環境負荷低減に取り組む姿勢をアピールできるものです。環境問題への取り組みをアピールすれば、企業イメージが上がり、認知度アップにつながるはずです。
CO2ゼロ印刷マークに関しましては、こちらをご覧ください。

 

ゼロカーボン食品を導入するデメリットはある?

ゼロカーボン食品を導入するデメリットについて解説します。

初期投資が必要

ゼロカーボン食品の開発には、初期投資が必要です。多くの中小企業は、ゼロカーボンの取り組みが必要だと感じつつも、導入までに至っていないのが現状です。
そもそも最近注目され始めたものなので、情報が少なく知識を持った人材も多くありません。初期投資を含め、何から始めていいのかわからない中小企業は多いといえます。
長期的なエネルギー転換の方針の検討や短中期的な省エネ対策の洗い出しなどといった、電力に関することも含めた見直しなども必要です。

商品の販売価格が上がる

ゼロカーボン食品は、一般的な食品製造よりもコストがかかります。それに伴って、販売価格が上がってしまうのがデメリットです。特に最近は、日本の景気低迷が叫ばれているため、安い食品を求める人が増えています。
もちろん環境を優先したい消費者もいるので、付加価値のある商品として販売すれば活路を見出せるかもしれません。よって開発だけでなく、どのように売っていくかも考える必要があります。

 

ゼロカーボン(カーボンニュートラル)を取り入れる日本企業の事例

ゼロカーボン(カーボンニュートラル)を取り入れる日本企業の事例を紹介します。

 

イチゴの脱炭素に取り組む「イオン」

イオンの農産物を取り扱うイオンアグリ創造株式会社では、二酸化炭素を排出しないイチゴの生産に取り組んでいます。
従来の60%のCO2が削減できると予想され、持続可能な農産物の調達を目指しています。(参照: イオン島根安来農場とイオン三重いなべ農場でCO2排出量実質ゼロの農業用ハウスの取り組みを開始
現在は2024年の稼働を目指し栽培用のハウスを新設。その後は、生産する地方での販売を開始し、順次拡大していくと発表しています。

 

CO2排出量削減率38%を目指す「森永乳業」

森永乳業
■画像引用元:資源と環境 | 森永乳業のサステナビリティ | 森永乳業株式会社(https://www.morinagamilk.co.jp/sustainability/resources_and_the_environment/

森永乳業では、環境負荷を減らすために「2050年カーボンニュートラル」を目指しています。原材料の調達から消費、廃棄までの工程における悪影響を削減し、環境に優しい商品の開発・製造を行っています。 公式サイトでは、2030年までにCO2排出量削減率38%(13年度比)を目指すと公表。本社研究所をはじめ工場やグループ会社で、環境マネジメントシステムに関する国際規格である「ISO14001」を取得し、すべての事業所中96%の割合で達成しています。

 

太陽光発電システムでCO2の削減に成功した「六甲バター」

六甲バター
■画像引用元:QBB | おいしいって生きること | 六甲バター株式会社(https://www.qbb.co.jp/

ベビーチーズや6Pチーズで有名な六甲バターでは、太陽光発電システムを取り入れ、エコな工場を作り上げています。
工場の屋根に太陽光パネルを設置。発電した電気はすべて自社工場で消費しています。
この取り組みにより、3,336トンCO2/年の削減に成功。環境問題の改善だけでなく、電気代の節約にもつながっています。(参照: カーボンニュートラル実現に向けた関西企業等の取組事例

 

脱炭素社会に貢献するレストラン「THREE WAVE(スリーウェイブ)」

THREE WAVE(スリーウェイブ)
■画像引用元:山のジビエと海のジビエ THREE WAVE(https://threewave3.com/

大阪府にあるレストラン「THREE WAVE(スリーウェイブ)」では、脱炭素社会の実現を目指し、山や海のジビエ料理を提供しています。
牛肉や豚肉、鶏肉の生産には、多くの二酸化炭素が排出されているのが現状です。
そこで同レストランでは、処分される害獣(ジビエ)や未利用魚(アイゴ)を利用した料理を提供。二酸化炭素の削減だけでなく、農産物の鳥獣害被害の解決にもつながっている事例です。

 

カーボンゼロを達成した印刷メーカー「丸信」

丸信は、食品向けのシール・ラベルやパッケージを印刷加工する企業です。
2020年1月にSDGs宣言をし、2021年8月には工場のある本社事業所でカーボンニュートラル(カーボンゼロ)を達成。使用している電力はすべて再生可能エネルギーで、どうしても削減できないCO2の排出分は、かっぱの森J-クレジットを追加購入しています。かっぱの森J-クレジットとは、国が認証する制度で排出削減量をクレジットという形で売買し、埋め合わせを行う取り組みです。
また独自の「CO2ゼロ印刷マーク」も運用。ゼロカーボン食品を開発するお客様のパッケージに印刷を行っています。

 

 

脱炭素社会に向けて環境に優しいマークを取得しよう

今回はゼロカーボン食品について解説してきました。ゼロカーボン食品は、環境問題を解決するために必要不可欠な取り組みです。環境省も「2050年カーボンニュートラル」の実現に向けて動いており、今後はさらに加速すると予想されています。
そしてゼロカーボン食品を作るなら、環境に配慮したマークの取得がおすすめです。「CO2ゼロ印刷マーク」を印刷すれば、消費者からのイメージアップにつながります
ショクビズを運営する株式会社丸信では、「CO2ゼロ印刷マーク」の印刷を行っています。ゼロカーボン食品を開発中の企業様や、今後取り入れたい企業様のサポートも承っておりますので、ぜひご活用ください。