食品産業の対応が社会のリスクを左右、事業者が今すぐに取り組むべきSDGsとは

公開日:2022年1月31日 最終更新日:2022年2月2日

食品産業のSDGs対応度合が社会のリスクに直結

数年、企業や個人にかかわらず、世界中で活発化しているSDGsは食品産業に携わる食品事業者にも求められるようになってきました。では実際にSDGs17の目標に対してどのように取り組んだらよいのでしょうか。SDGsへの対応の必要性も踏まえて紹介します。

食料品の加工や流通業、外食産業などを含む食品産業は、さまざまな栄養素を含む食品を安定供給することで、SDGsの「豊かで健康的な社会の実現」に貢献できる産業。農畜産物や水産物など、多くの自然資源と人的資源に支えられている産業でもあるため、SDGsが達成されずに環境や社会が不安定になることが、ビジネス上のリスクにつながると考えられています。

現在、イオンやローソンなど、大手小売・流通企業を中心に、サプライチェーン全体で環境対応などSDGs達成を目標とする動きも活発化してきています。この流れは企業だけの問題ではなく、国全体で積極的に推進しており、農林水産省も特設ページで食品産業へのSDGs啓蒙を開始しています。 では、実際にSDGsと食品産業がどのように関連するのか、17の目標ごとに簡単にご紹介します。

■農水省特設ページはこちら
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sdgs/

目標1
所得による「食の格差」をなくし、生産者の生活を安定させる
例:生産者に公正な対価を支払う取引

目標2
食品の安定供給と知識の提供により中心的役割を果たす
例:計画的な生産や製造により適正価格で安定供給

目標3
食品や関連サービスの提供を通じて人々の健康に貢献
例:健康的な食品や健康に関する情報の提供

目標4
食育環境教育など関係者の資質向上は安定した企業経営に
例:地域や学校に対して食育の場を提供

目標5
女性の就業率が高い産業のため女性が活躍しやすい仕組みの構築
例:制度や給与の平等化、働きやすい職場環境の整備

目標6
サプライチェーン全体で多量の水を消費するため安全な水の確保は不可欠
例:節水活動、浄化水の活用

目標7
食品産業を含む全産業で省エネ推進再生可能エネルギーへの転換
例:店内・工場内の照明LED化、再生可能エネルギーの活用

目標8
労働力不足の中で雇用を引き寄せるために食品産業でも働き方改革が重要
例:時間外労働の削減、パワハラ・セクハラの撲滅

目標9
超高齢化社会の到来により機械化やIoTを活用した省人化が重要
例:AIやITの導入による業務効率化で労働時間の削減や人材不足の解消を実現

目標10
多様な人材が就業しているため労働環境や人権問題に配慮
例:同一業務同一賃金など平等な職場環境の整備

目標11
街の安全と賑わいは顧客獲得や労働力確保などの点で事業継続性に不可欠
例:お祭りや行事など地域活動に参加することで治安維持などに貢献

目標12
主体的な取り組みで中長期的なコスト削減や企業評価の向上へ
例:食品ロス削減に関するさまざまな取り組み

目標13
事業活動が温室効果ガスの発生源の一つとなっているため対策推進が必要
例:節電、エコ運転、ハイブリッド車の活用

目標14
水産資源の持続的な確保は喫緊の課題のため海洋プラスチック問題の対策も
例:エコトレーなど環境配慮資材の活用

目標15
豊かな森林は農林漁業者の生活を支え食品産業の持続性にとって極めて重要
例:直売コーナーの設置など地域の生産者・漁業者の販売機会の創出

目標16
コンプライアンスの徹底と社会倫理に沿った企業活動で消費者の信頼を高める
例:コンプライアンスや企業理念などを従業員に徹底

目標17
食品産業の多くが地域性の高い中小企業であるため地域社会で支え合うことが重要
例:三方よし経営、取引業者等々の良好な取り引き

SDGsに取り組む代表的な食品事業者の事例

現在、日本マクドナルドや味の素、明治など大手食品事業者を中心にSDGsへの取り組みが加速しています。
代表的な食品事業者の取り組み事例を紹介します。
※農水省「SDGs×食品産業」より引用

ニッスイ

「水の水道におけるは、水産物の生産配給における理想である。」を創業理念とする日本水産は、水産物を幅広く活用した製品を扱う事業が主体となるため、水産物を調達し顧客に届け続けることが、社会への貢献につながるとし、水産資源の持続性を目標に養殖による環境負荷低減などに取り組んでいます。
全事業所の従業員による河川敷や公園、町中などの清掃活動、食品ロス削減のためにオリジナルのマイボックスを作成するなど、社員一人ひとりが楽しく参加できる活動を企画・実行しています。

ニッスイの取り組み・詳細はこちら
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sdgs/nissui.html#com_top

不二製油

植物性食品素材事業を通した社会課題解決を目指す不二製油グループは、「Plant-Based Food Solutions」(PBFS)をキーワードに「人と地球の健康」「おいしさと健康」の2点からSDGsの達成にアプローチしています。
2016年3月に「責任あるパーム油調達方針」を策定し、パーム油サプライチェーン上の「森林破壊ゼロ」「泥炭地開発ゼロ」「搾取ゼロ」の実現に向けて、2018年からグリーバンス(苦情処理)メカニズムを運用。また、子どもたちに食品を通じて、社会の課題を学んでもらうための食育活動も行っています。

不二製油の取り組み・詳細はこちら
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sdgs/fujioil.html#com_top

大井川製茶

大井川製茶は3つの企業理念「創新ダイナミズム、野心的イノベーション、トップスピード」「日本の茶文化の振興が私たちの究極の命題」「大井川茶園の目標の完遂と成功は私たちの誇り」をベースにSDGsへの貢献を推進しています。
人々の健康維持・増進、日本の伝統文化の振興を目的に食育活動セミナーや、茶文化の啓蒙活動を実施しています。お客様の声を蓄積し、企画から生産につなげる仕組み(ユニットマーチャンダイジング)や女性の活躍を推進する商品開発、ステークホルダー間の情報共有、間伐材など国産木質バイオマス資源の積極活用など、さまざまなビジネスに挑戦しています。

大井川製茶の取り組み・詳細はこちら
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sdgs/ooigawachaen.html#com_top

コープデリ生協

持続可能な開発のための2030アジェンダおよび日本政府のSDGs実施指針で、ステークホルダーの一つとして位置付けられた協同組合。「人と人とがつながり、協同の輪を広げ、くらしを豊かにすることを目的とした助け合いの組織」として、SDGsが生まれる以前からさまざまなステークホルダーとともに持続可能な社会の実現を目指しています。
「お米育ち豚プロジェクト」「佐渡トキ応援お米プロジェクト」「美ら島(ちゅらしま)応援もずくプロジェクト」「ハッピーミルクプロジェクト」の4つのプロジェクトを展開しており、生産者支援や自然環境の保全、開発途上国の子どもたちの支援など、社会課題の解決を目指しています。また、規格外農産物の取り扱いによる食品ロス削減や商品納品期限の延長など、幅広い取り組みを行っています。

コープデリ生協の取り組み・詳細はこちら
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sdgs/coopdeli.html#com_top

「エシカル消費」認知度が急伸、消費者の意識も向上

農林水産省が行った「令和元年度 SDGsを意識した食料消費行動についての調査・分析業務 食品産業動態調査」によると、「SDGs」や社会・環境に配慮した商品を購入する「エシカル消費」の認知度はそれほど高くないようですが、それらに関心のある消費者の間では、国産品や地産地消、オーガニック、食品ロス、フェアトレードなどへの関心は高い傾向にあり、今後もSDGsの広がりを受けて、消費者の環境意識はより一層高まっていくと考えられます。
また、電通の社会課題の解決に取り組む組織「新!ソーシャル・デザイン・エンジン」および「電通Team SDGs」が2021年3月にまとめた「エシカル消費※1 意識調査2020」によると、エシカル消費全体に対する認知度、共感度、実践意欲に加え、産業別に見た消費者の意識傾向と期待値、今後の意向・行動を分析したところ、購入経験が多い産業は「食品、日用品、衣料品業界」で、「購入意向が高いのは食品、日用品、家電業界」という結果が出ています(全国10~70代の男女計1,000人を対象に実施)。
この調査では、エシカル消費の中で人々の認知・共感・実施意向が特に高いのは「食品ロス」「再生可能エネルギー」「地産地消」となっており、消費者のエシカルな商品の購入理由は「同じような商品を買うなら社会貢献につながるものがいい」62.7%「環境問題や社会問題に関心がある」51.8%「長い目で見ると節約につながるから」40.2%が上位結果となっています(一部抜粋)。

参考:農林水産省「令和元年度 SDGsを意識した食料消費行動についての調査・分析業務 食品産業動態調査」
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/jki/j_doutai/attach/pdf/kokusan_genzai_top-17.pdf

参考:電通「エシカル消費意識調査2020」
https://www.dentsu.co.jp/news/release/2021/0322-010354.html

環境意識の高まりで中小食品事業者もSDGs必須に

SDGsは社会の様々な課題が網羅されており、近い将来、中小の食品事業者も対応が必須となる時代がやってくるのは明らか。消費者のエシカル消費への意識を鑑みながら、SDGsの「豊かで健康的な社会の実現」に貢献し、「食品産業」全体の成長を目指すことは、ビジネス上のリスク回避にもつながります。まだSDGs貢献への対応に着手していない中小の食品事業者も、今のうちにできるところから進めていくことが求められています。

丸信では、環境製品の取り扱いや環境マークの印刷など、SDGsに対応するお手伝いをさせていただいております。SDGsについてご不明点などございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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