今からでも遅くない!?SNSを活用したインフルエンサーマーケティング

公開日:2021年9月29日 最終更新日:2022年3月9日

現代人の生活に深く浸透したWeb上のコミュニケーションサービスSNS(英語表記:Social Networking Serviceの略)。Facebook、Twitter、Instagram(インスタグラム)、LINE、TikTokなどを日常的に利用している方も多いと思います。近年SNSは、ユーザー同士がコミュニケーションを取るだけでなく、情報収集の手段としても活用され、その影響力はますます拡大しています。この流れを受け、企業が商品やサービスの適切なプロモーションを打ち出すために、SNSを活用する例も多くなっています。そこで注目されているのが「インフルエンサーマーケティング」です。 

本記事では、インフルエンサーマーケティングの意味、メリットとデメリット、押えておきたいポイントなどについてまとめました。企業の成功事例もご紹介していますので、食品業界でマーケティングの手法(やり方)について、導入を検討されている方は、ぜひご覧ください。 


 

インフルエンサーマーケティングとは? 

インフルエンサー(英語表記:influencer)とは、影響、感化、効果を意味するインフルエンス(influence)が語源で、世間に与える影響力が大きい人物のことを指します。影響力の指標として「フォロワー(読者)数」が目安となります。 

インフルエンサーは、ファッション、コスメ、グルメ、旅行など、さまざまなジャンルに特化した情報をSNSで発信しており、有名芸能人・スポーツ選手などをはじめ、文化人から一般人まで、多種多様な肩書を持っています。近年、小中高生の「なりたい職業ランキング」で上位となっている「YouTuber(ユーチューバー)」もインフルエンサーの一種です。ちなみに、SNSの種類によって呼び方が異なり、Instagramでは「インスタグラマー」、TikTokでは「ティックトッカ―」と呼ばれています。 

インフルエンサーは、それぞれのジャンルに興味・関心のある多くのフォロワーから圧倒的な支持を得ているため、SNSの投稿1つで消費者の購買意思決定に大きな影響を与えています。そのインフルエンサーの影響力を利用し、商品やサービスを消費者にプロモーションしようとするのが「インフルエンサーマーケティング」です。 

企業がインフルエンサーに自社商品やサービスを紹介してもらうことで、消費者(ターゲット)の認知拡大や購買、ファン化につなげるマーケティングの手法として注目されています。 

 

インフルエンサーマーケティングのメリットとデメリット 

 企業の販促活動で注目されているインフルエンサーマーケティングですが、具体的にどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。以下で詳しく紹介します。 

メリット① 情報が拡散されやすく、自然な形でブランド認知が高まる 

インフルエンサーによる共感性の高い投稿は、フォロワーのシェアによってターゲット間でも情報が拡散されやすく、「口コミ」としてより多くの人に広まりやすいのが特徴です。インフルエンサーが情報を発信することで、広告にありがちな押し売り感が弱まり、自然な形での認知度アップが見込めます。ブランドの認知度が向上すれば商品を手にする人が増え、その人がプラスの口コミを書き込むことで、企業への信頼度も高まるという好循環も生まれます。 

企業発信の情報(広告)とは異なり、インフルエンサーが消費者目線で商品やサービスを実際に使ってレビュー(評価)することで説得力が高まり、ユーザーの興味・関心やファンの獲得につながることは大きなメリットといえます。万が一、レビューでマイナス面を指摘されたとしても、その意見を品質改善や新製品開発に活かすことも可能です。 

 

メリット② 興味・関心の高いターゲット層に効率的にアプローチできる 

特定のジャンルに特化したインフルエンサーは、そのジャンルへの興味・関心が高い多くのフォロワーから支持されているため、起用するインフルエンサーによって、年代別、性別、ジャンル別などでのターゲティング(ターゲットを絞ってマーケティングを展開すること)が可能になります。例えば、ファッションに興味・関心の高い若い人たちに向けて自社商品を訴求したい場合、ファッションに特化した若者に人気のインフルエンサーを起用するのです。 

フォロワーは、すでに共通した興味・関心を持っているので、企業は大きな市場から潜在顧客を探し出すプロセスを省くことができ、優良顧客になり得るグループに効率的にアプローチすることが可能です。 

 

メリット③ 広告コストの削減と費用対効果の高さが見込める 

インフルエンサーマーケティングは、プロモーション費用や広告宣伝費が抑えられ、高い効果が期待できます。また、インフルエンサーによって作られるコンテンツは、企業が作成するものよりもエンゲージメント率(ユーザーがどのくらい反応したかを示す指標)が高い傾向にあるため、企業としては制作費用が抑えられ、高い費用対効果を得ることができるのです。 

 

デメリット① ステマと思われ炎上する可能性がある 

 ステマ(ステルスマーケティング)とは、宣伝とは気付かないような投稿内容でユーザーに宣伝する行為を指します。実際は、企業から報酬をもらって依頼されているにもかかわらず、偶然良いものを見つけたように装って商品をPRします。また、商品について良い口コミを書くよう企業がアルバイトなどを雇って指示し、比較・通販サイトなどのコメント欄で、消費者の印象操作をしようとする行為もステマの一種で、「サクラ」や「ヤラセ」とも呼ばれています。 

ステマが発覚するとSNS上で大炎上し、社会的信用を失うなどの重大な事態に陥る可能性もあるため、注意が必要です。ステマと誤認されないように、#PR や #ADなどのハッシュタグを付け、販促・広告活動であることを明示しましょう。 

 

食品メーカーのインフルエンサーマーケティングの成功事例 

SNSでも人気の高い「食」に関する投稿は、消費者に最も身近で分かりやすいテーマです。食べた感想などのコメントを気軽に投稿でき、オススメや共感がしやすいジャンルといえるでしょう。「インスタ映え」や「SNS映え」「フォトジェニック」など、近年ブームになった言葉も記憶に新しいところかと思います。ここでは、食品メーカーのインフルエンサーマーケティングの成功事例を3つご紹介します。 

 

成功事例① インフルエンサーの投稿で商品PR&キャンペーン誘導【おやつカンパニー】 

おやつカンパニーは、高タンパク大豆スナック「BODY STAR」のプロモーションで、筋トレやダイエット・ヨガなどについての投稿を行うインフルエンサーを起用。新商品のキャッチコピー「美味しく手軽にカラダづくり!」の通り、ターゲット層である「糖質が気になる」「筋トレやダイエットに対する意識が高い」ユーザーに向けて商品PRを行い、認知獲得に成功しました。 

 

成功事例②料理系インフルエンサーとのタイアップで反響【エバラ食品】 

エバラ食品は、テレビにも出演している人気のインフルエンサー・料理研究家のリュウジさんとタイアップし、主力商品である焼肉のたれ「黄金の味」を使用した麻婆豆腐のレシピを紹介。2週間で再生回数約15万回、高評価2500超を記録し、大きな反響を呼びました。 

ちなみにTwitterフォロワー144万人、YouTube登録者数71万人と、主婦をはじめ一人暮らしの男性などからも幅広く支持されるリュウジさん考案の「バズレシピ」は、簡単に作れて美味しいと評判で、リュウジさんはさまざまな企業とコラボレーションして、商品をアレンジしたレシピを紹介しています。旬のインフルエンサーを起用し、定番商品の可能性を広げ、さらなる販促につながった一例です。 

 

成功事例③ハッシュタグを使ったキャンペーン!新規獲得で大きな効果【サッポロビール】 

サッポロビールは、2019年1月下旬にリニューアルした「サッポロ黒ラベル」の販促活動で、インフルエンサーを活用したSNS投稿型キャンペーンを行いました。具体的には、①複数のインフルエンサーを起用して、Instagramに黒ラベルに関する投稿を上げてもらう②ブランドイメージをよく伝えている投稿を選んでネット広告やキャンペーン専用LP(ランディングページ)のコンテンツに2次利用する③ユーザーは「#大人に乾杯」というハッシュタグを付けて「大人に乾杯」にふさわしい画像をInstagram上に投稿④キャンペーンに参加したユーザー50人にオリジナルグラスが当たるというものです。 

このキャンペーンのLPを訪れたユーザーの平均滞在時間は約40秒で、従来キャンペーンの約2倍を記録。どんなサイトからLPに流入したかを分析することもできたといいます。見込み顧客を獲得し、商品を訴求できた成功事例といえるでしょう。 

 

インフルエンサーマーケティングの押えておきたいポイント 

 ①自社商品と親和性の高いインフルエンサーを選定する 

インフルエンサーマーケティングは、どのインフルエンサーを起用するかが重要なポイントとなり、プロモーションの成功の鍵を握ります。インフルエンサーを選定する際は、フォロワー数が多いという理由だけでは決定しないことが大切です。フォロワー数が多いと、一見拡散力に期待できるように感じますが、ユーザーの購買意欲向上や商品・ブランドに対してプラスのイメージ(ファン化)につながるとは限りません。 

実は、ユーザーからのフォローをインフルエンサーが購入する「フォロワー買い」と呼ばれる行為も存在しています。そのため、マーケティング効果に期待できない形だけのフォロワー数の可能性もあるのです。フォロワー数の多さに惑わされず、消費者に深く刺さるPRにつなげることが重要です。 

選定の第一ステップとして、まずは商品やサービスを訴求したいターゲット層を明確にしましょう。ターゲット層が決まってから、その世代のインフルエンサーや、ターゲット層に影響力を持つインフルエンサーを抽出します。ターゲット層を絞り、自社商品との親和性の高いインフルエンサーを選定することで、マーケティングの効果をより高めることができるのです。 

例えば、ボリュームたっぷりでがっつり系の食品のプロモーションに、男性インフルエンサーを起用したけれど、実際のフォロワーは女性ファンが多かったということも考えられます。PRしたいターゲット層にダイレクトに情報を届けることができない可能性が高くなりますので、自社で設定したターゲット層と、インフルエンサーのフォロワー属性がマッチしているかは重要です。 

また、インフルエンサーに正式に依頼する前に、「投稿している写真や動画のクオリティは高いか」「商品や企業イメージとマッチしているか」も確認しておきましょう。 

 

②ステマ(ステルスマーケティング)にならないよう注意する 

先述のデメリット①でも紹介しましたが、ステマとしてユーザーから反感を買い大炎上してしまった場合、販促効果どころか、企業イメージを大きく悪化させ、販売している他の商品にまでマイナスの影響を与える施策になってしまいます。炎上を予防するために、投稿には#PRや#ADなどのハッシュタグを付け、PRや広告活動であることを必ず明示するようにしましょう。 

 

③自社のブランド・商品の世界観を伝えるSNSアカウントを用意しておく 

最近、Googleなどの検索エンジンではなく、SNSから情報を集める人が増えています。インフルエンサーの投稿を見て興味を持ったユーザーは、企業やブランドのSNS公式アカウントやホームページにアクセスして、センスや世界観、ブランドメッセージをチェックします。そのとき、ダサい、イケてないなどのマイナスイメージを持たれるとユーザーの興味・関心を損なってしまうため、SNSアカウントも丁寧に運用し、イメージアップや共感を呼べるように努めることが大切です。 

魅力的な写真や動画は、商品のイメージ向上などブランディングにも寄与します。SNSアカウントで良いイメージを持ってもらえれば、潜在顧客として公式ホームページやECサイトへ誘導することもできるのです。ブランディングの認知獲得から購買まで一貫した施策を行えることは、SNSアカウント運営の大きなメリットといえるでしょう。 

 

今からでもできる!インフルエンサーマーケティングを活用しよう 

この記事では、インフルエンサーマーケティングを行う上で知っておきたいメリットとデメリット、食品メーカーの成功事例、押えておきたいポイントなどについてご紹介しました。SNSやWeb広告は、今後ますます活用の幅が広がっていく分野であると予測されています。 

その中で注目されているインフルエンサーマーケティングは、これまでの一般的な広告やプロモーション費用と比較して低コストで済み、短期間で効率的に効果を見込める手法でもあります。商品やサービスを多くの消費者に訴求できるインフルエンサーをうまく活用して、企業イメージの向上や売上伸長にもつながるインフルエンサーマーケティングを取り入れてみてはいかがでしょうか。 

 

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