【連載第7回】コロナ前後で変わるお客様の消費動向⑥

公開日:2021年10月13日 最終更新日:2022年3月9日

コンビニエンスストアの王者セブン-イレブンで120店舗もの経営指導を実施し、担当地区の店舗合計年商を大幅に伸長させた経験を持つ信田洋二氏。本連載では、小売業のスペシャリストである信田氏に、消費動向やメーカーの目指すべき方向性などについて分かりやすく解説していただきます。

7回は「生鮮食品における量目の適正化」についてのコラムです。


 

前回は、「冷凍食品」における量目の適正化についてコンビニ商材を例にお話ししましたが、今回はスーパーマーケットにおける「生鮮食品」の量目の適正化について考えてみます。ここでの「生鮮食品」は、青果(野菜、果物)、鮮魚、精肉(生肉、加工肉)についてです。

これらは、メーカーの商材とは直接関係ないように思えるかもしれません。直接的には小売業の裁量で量目の適正化ができる商材ですが、生鮮食品を料理するには、メーカーが製造する様々な商材がなければ「料理」としては完成しません。その意味からも「生鮮食品における量目の適正化」については、今後全ての商材に対して、これまでの量目でのいわば「常識」が崩れることになる可能性があります。

 

では、生鮮食品での「量目の適正化」とはどのようなことを指すのでしょうか。例えば、野菜であれば、これまでも恐らく白菜やキャベツなどは、1/21/4にカットされて販売されているケースも少なくありませんが、主には1玉での販売です。

また、ジャガイモや玉ネギなどでは、145個での販売が中心であり、1個(ばら売り)もありますが、根本的に販売方法が異なります。これらの商品は、玉の大きさでいえば、M~L寸程度の大きさのものが1128円などで販売されていますが、ばら売りのものは、34L玉と非常に大きい場合が多く、178円ほどの値が付けられており、一見しても「安さ」は感じない状況となります。

現下の高齢化や世帯人口の減少などの傾向が強く出ている中でも、現状ではまだまだこのような販売の方法が取られており、実際に「家庭で必要とされている量目」からはかけ離れている状況が方々で見受けられます。

世帯人口が少ないと、1袋のジャガイモや玉ネギなどを消費しきれず、余らせて捨ててしまうことも多く発生しています。これらに対応するためにも、「生鮮食品の量目の適正化」が求められてきています。鮮魚であれば、切り身や刺し身などの入り数なども1人前(1切れ)からの販売が求められていたりします。通常3連などで販売されているようなモズクやメカブなども、1個売りから可能とすることで、今後の消費行動は大きく変化するものと思われます。

ハムやソーセージ、ベーコンなども、近年ではコンビニ各社1100円以下で販売しており、かなりの需要増となっています。しかし、反対にスーパーマーケットでは、3連、4連の商品が主力で、1個売りも販売されてはいますが、価格的には割高になる傾向があり、比較して割安感のあるコンビニでの需要が増加しているといえます。

このことからお分かりの通り、「生鮮食品における量目の適正化」は時代の求めているニーズであり、この傾向は今後極めて強く出てくると考えられます。コンビニが台頭している現在、この流れは待ったなしでくるものと思われます。

次回は、「一般食品での量目の適正化」について解説します。

(次の配信は1120日頃の予定です。)

 

▼前回のコラムはこちらからご覧いただけます

【連載第6回】コロナ前後で変わるお客様の消費動向⑤


 

<プロフィール>

信田 洋二

 

1995年株式会社セブン-イレブン・ジャパン入社。店舗経営指導員(OFC)並びにディストリクトマネージャー(DM)として、千葉県成田市を中心とした成田地区、千葉市内などの店舗合計120店舗に対する経営指導を実施。成田地区のDM在任時、担当地区の店舗合計年商を約140億円から約155億円に伸長。千葉県下(9地区)にて最も売上の低い地区を、第4位の売上となるまでに伸長させるなどの実績を上げた。その後、情報システム部を経て物流部に在籍。2010年株式会社Believe-UPを創業、コンサルタントとして独立。主に小売業を対象に、店長、マネジャー、SV育成、データを活用しての売場づくり指導などで幅広く活躍している。著書に『セブン-イレブンの物流研究』(商業界、2013年)『セブンイレブンの発注力』(商業界、2015年)がある。

 

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