【連載第5回】要件が緩和された第3回公募がスタート

公開日:2021年8月17日 最終更新日:2022年7月20日

本連載では、コロナ禍で苦しむ中小企業の新規事業創出を支援する事業再構築補助金の動向について、株式会社丸信の補助金コンサルタント・福永が、最新情報や補助金のポイントなどについて紹介します。


7月30日から公募が開始された第3回事業再構築補助金では、多くのルール変更が行われました。売上減少要件が見直されたり、これまで以上に幅広く補助金が行き渡るように新たな募集枠が増設されるなど、長引くコロナ禍を鑑みた変更となっています。ポイントを以下にご紹介します。

賃上げに努力する企業向けに新たな枠

【最低賃金枠】
最低賃金引上げの影響を受け、その原資の確保が困難な特に業況の厳しい中小企業等が取り組む事業再構築に対する支援する枠として新設されました。

すでに地域別最低賃金をそれなりに上回る賃金で従業員をある程度雇用している企業が対象で、売上の減少幅も大きい企業である必要があります。中小企業だと補助率が3/4です。補助金額は、従業員規模に応じて変わります。従業員数が少なければ補助上限額も低く、従業員数が多ければ補助上限額が高くなります。通常枠の要件に加えて以下ページの要件を満たすことができれば応募することができます。

※詳しい要件は下記ページをご参照ください。
https://jigyou-saikouchiku.go.jp/pdf/koubo_henkouten_3rd.pdf

【大規模賃金引上枠】
多くの従業員を雇用しながら、継続的な賃金引上げに取り組むとともに、従業員を増やして生産性を向上させる中小企業等の事業再構築を支援する枠(すべての公募回の合計で、150社限定)として新設されました。

今後、将来にかけて、地域別最低賃金をそれなりに上回る賃金を従業員に支払い、しかも雇用もそれなりに増やしていく企業が対象です。ただし計画通りに最低賃金や雇用を増やせなかった場合は、補助金の一部を返還する必要があります。補助率は中小企業だと2/3で、補助上限額は最大1億円です。通常枠の要件に加えて以下ページの要件を満たすことができれば応募することができます。

※詳しい要件は下記ページをご参照ください。
https://jigyou-saikouchiku.go.jp/pdf/koubo_henkouten_3rd.pdf

通常枠でも従業員数に応じた上限額に

新たな2追加された枠のうち、「最低賃金枠」は従業員数の規模に応じて補助金額が変わる仕組みとなりましたが、これにあわせるように通常枠においても従業員数に応じた上限額が設定されました。

これまでは、従業員数に関係なく下限100万円~上限6000万円の間で補助金が支給されていた通常枠も、第3回目からは以下のようなルールとなりました。

[通常枠の新ルール]

  • 【従業員数20人以下】 ⇒ 100万円~4,000万円
  • 【従業員数21~50人】 ⇒ 100万円~6,000万円
  • 【従業員数51人以上】 ⇒ 100万円~8,000万円

対象期間を拡大、緊急事態宣言枠は継続

第2回までの要件では、減収の比較対象期間を「2020年10月以降」としていましたが、これを「2020年4月以降」に拡大したり、この他にも、第2回公募で終了する予定だった「緊急事態宣言枠」は継続されることとなり、また、2020年4月以降にスタートさせた事業であれば、新規事業として認められるなど要件が緩和されています。

さらに、先述の最低賃金枠で申請すると加点され、優先的に採択されるようです。昨今、政府は賃上げを推し進める方向で動いています。賃上げに積極的に取り組む企業は優先的に補助金を与えようという趣旨のようです。

第3回事業再構築補助金の公募要領には、これらのほかにも、こまごまとした要件の変更が多く見られます。多くの事業者に補助金が行き渡るようにとの政府の思いが伝わってきますが、ルールが増え、公募要領の理解が今まで以上に難しくなった印象もあります。詳しくは事業再構築補助金の公式サイトでご確認ください。

https://jigyou-saikouchiku.go.jp/

【連載第1回】メディア掲載・セミナー実施・代行サービスが次々、話題の大型補助金の注目度

【連載第2回】フランチャイズ契約やキッチンカー購入は補助金の対象になる?

【連載第3回】売上減少要件は満たしやすく、EBPM 協力で加点も。2次公募の変更点

【連載第4回】予想以上に厳しい採択率、1次募集の結果公表



株式会社丸信 補助金コンサルタント 福永晃大

 

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