【連載第18回】コロナ前後で変わるお客様の消費動向(17)

公開日:2022年9月22日 最終更新日:2022年9月21日

コンビニエンスストアの王者セブン-イレブンで120店舗もの経営指導を実施し、担当地区の店舗合計年商を大幅に伸長させた経験を持つ信田洋二氏。本連載では、小売業のスペシャリストである信田氏に、消費動向やメーカーの目指すべき方向性などについて分かりやすく解説していただきます。

第18回は「季節感を演出する」エンドゴンドラについてのコラムです。


前回、世帯人口の減少(2000年に2.67人/世帯→2020年2.21人/世帯 ▼0.46人/世帯)と言うことがエンドゴンドラからの商品購入減少の大きな要因であると解説しました。人世帯当たり、この20年で0.46人の減少ですから、人間約半人分が減少したことになります。加えての高齢化の進行ですので、胃袋(食べられる量)の容量が小さくなり、食事全体の量が大きく減少しているとの判断が成り立ちます。そのままの状態では、エンドゴンドラからの商品購入の規模はますます細く少なくなっていくことが想定されます。しかし、だからと言って、季節感の演出を疎かにする訳にもいきません。

スーパーマーケットなどでは、ある調査によれば、おおよそ70~80%ものお客様が、当日などのメニューを決めずにお店に出向き、その場で最も良い(安い)商品などを選びながら、その日の食卓のメニューを決める。という調査結果もあります。

つまり、お店での季節感の演出は引き続き実施しながらも、商品の展開や積み方、選択する商品の選定方法などについては、これまでとやり方や方法論などを変えていかねばならない、と言うことになります。

また、季節品のエンドゴンドラでの展開においては、一部の商品を山積みするなど、商品の偏重が随所に見られていますが、そもそもの売れ筋商品などに絞り込む展開や、メニューを構成する他の関連商品との「抱き合わせ」による商品の展開で、特定の商品への偏りを減らすなど、全体感としての季節感の演出はそのまま継続するとして、その演出の方法についてはこれまでのやり方を変える必要が生じてきている、と言うことになります。

メーカーさんによっては、「○○(メーカー名)フェア」として、自社製品を「これでもか!」という積み方で商品のアピールを小売りの売場で実施されるケースも多くみられますが、過去と大きく異なるのは、消費量の考え方のうち、個人そのものの消費も高齢化の進行によって減少していることと併せて、世帯人口の減少によって世帯としての消費総量全体が減少し始めている、という認識を持って、小売業と接することが求められているということです。

次回は、「季節感を演出するエンドゴンドラ」の季節ごとの展開のポイントについて解説してみたいと思います。

【連載第17回】コロナ前後で変わるお客様の消費動向(16)

(次の配信は10月25日頃の予定です。) 


<プロフィール>

信田 洋二

1995年株式会社セブン-イレブン・ジャパン入社。店舗経営指導員(OFC)並びにディストリクトマネージャー(DM)として、千葉県成田市を中心とした成田地区、千葉市内などの店舗合計120店舗に対する経営指導を実施。成田地区のDM在任時、担当地区の店舗合計年商を約140億円から約155億円に伸長。千葉県下(9地区)にて最も売上の低い地区を、第4位の売上となるまでに伸長させるなどの実績を上げた。その後、情報システム部を経て物流部に在籍。2010年株式会社Believe-UPを創業、コンサルタントとして独立。主に小売業を対象に、店長、マネジャー、SV育成、データを活用しての売場づくり指導などで幅広く活躍している。著書に『セブン-イレブンの物流研究』(商業界、2013年)『セブンイレブンの発注力』(商業界、2015年)がある。

 

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