食品メーカーのキッチンカー(移動販売)の取り組み事例まとめ

公開日:2024年8月5日 最終更新日:2024年9月6日

オフィス街や住宅街、イベント会場などでよく見かけるキッチンカー。店舗とはまた違った魅力があり、つい足を運んでしまいますよね。 

キッチンカーは、飲食店や個人による運営がほとんどです。しかし最近は、食品メーカーがキッチンカーや移動販売を行う事例が増えています。 

この記事では、食品メーカーがキッチンカーに取り組むメリットや企業の事例を紹介します。 

キッチンカーとは



キッチンカーとは、調理設備を備えた車両です。「フードトラック」「ケータリングカー」などとも呼ばれており、オフィス街や住宅街のランチ需要、そして人が多く集まるイベント
に出店します。 
あらかじめ仕込みをした食材を積み込んで、出店場所で仕上げの調理をし、お客様に提供するのが特徴です。 
代表的な例を挙げると、ハンバーガーやクレープ、唐揚げ、焼き鳥などは、キッチンカーの代表的人気メニューです。
 
ちなみに移動販売は、食べ物に限らず、さまざまなものを販売する小売業を指します。日用品や雑貨など、需要に合わせて運営を行います。
キッチンカー営業は、認知度アップや売上の底上げにつながるため、食品メーカーにおすすめのサービスです。 

キッチンカーはなぜ人気なのか?

キッチンカーが人気の理由は以下の3つです。
・飲食店を開業するより初期費用が安い
・業態変更がしやすい
・人件費を最小限に抑えられる

それぞれについて、詳しく解説していきます。 

飲食店を開業するより初期費用が安い 

キッチンカーは、飲食店を開業するより初期費用を安く抑えられます。 
初期投資額は「飲食店の3分の1」ほど。固定費も駐車料や自動車保険だけなので、開業後のランニングコストも低い傾向にあります。

またキッチンカーはレンタルができるため、外装や内装のコストを全くかけずに開業することも可能です。 
店舗ビジネスはコストが大きく、失敗したときのリスクが高くなりがちです。キッチンカーであれば、コストを抑えつつ、失敗したときの軌道修正も容易になります。 

業態変更がしやすい 

キッチンカーは、店舗ビジネスに比べて業態変更しやすいのがメリットです。
車体のデザインをシンプルにしておけば、コンセプトやメニューを容易に変更できます。
例えば鉄板を使っている場合、ホットドッグやハンバーガー、お好み焼きなど、さまざまな料理に対応可能です。

食品メーカーであれば、いろんな商品を試して、売れやすいものを検証できます。また営業する地域やイベントによって、業態を変えるのもおすすめです。 
コストをかけずに業態変更し、トライ&エラーを繰り返せるのもキッチンカーのメリットです。 

人件費を最小限に抑えられる 

キッチンカーは、限られたスペースで販売を行います。1〜2人での営業がほとんどなので、人件費を最小限に抑えられるのがメリットです。  
調理から接客まで、手が届く範囲での営業になるため、効率よく売上を伸ばせます。ただしワンオペ、ツーオペで負担が大きくなりやすいのがデメリット。 
スタッフへの働き方を考えつつ、効率的な営業が求められます。 

 

食品メーカーがキッチンカーに取り組むメリット 

最大のメリットは消費者に直接PRできることではないでしょうか。
キッチンがまるごと移動できる身軽さに加え、ラッピングした車であればプロモーション効果も大きなものです。
日時を選び、こちらから人が集まる場所に出向いて自慢の商品やメニューをPRできます。知ってもらう機会が少ない、場所にも行けるなど販路拡大に繋がります。

その他、災害時には、被災地へ迅速に応援に行けることも大きなメリット。社会貢献を兼ねた行動を直ぐに起こせるといった点でも注目される理由のようです。
社会や地域への貢献を通じて、世の中をより良くしていけば、認知度アップや売上の底上げにつながるはずです。
地域にとって欠かせない企業だと感じてもらえれば、おのずと経営にも好影響があるでしょう。 

  

食品メーカーのキッチンカー取り組み事例まとめ 

食品メーカーにおけるキッチンカー、移動販売の取り組み事例を紹介します。 

丸大食品の無料試食イベント「スンドゥブキッチンカー」


■引用画像:丸大食品HP「
丸大スンドゥブキッチンカーが2日間限定で出店~ スンドゥブの無料試食提供イベントを開催https://www.marudai.jp/bknumber/00000879.html)より

ハムやソーセージなどの加工食品を取り扱う
丸大食品では、キッチンカーによる無料試食イベントを開催しています。 

~スンドゥブを食べて温まろう~丸大スンドゥブキッチンカー」では、冬の寒さを温かい食べ物で乗り切ってもらおうというコンセプトで、熱々のスンドゥブを提供。東京スカイツリータウン®のソラマチひろばで開催し、2日間で合計1,500杯のスンドゥブが提供されました。 

また丸大食品のSNSをフォローし、特定のハッシュタグをつけて投稿すると、抽選でスンドゥブ商品もしくはオリジナルノベルティをプレゼントする企画も実施。お客様に喜んでもらうだけでなく、自社商品の認知度アップにもつながっているようです。 

シンクロ・フードが提供する移動型体験プロモーション「モビキチ」 


■引用画像:シンクロフードHP「
キッチンカーを活用した移動型体験プロモーション「モビキチ」提供開始。」https://www.synchro-food.co.jp/news/press/4621)より

飲食店の支援を行う
シンクロ・フードでは、キッチンカーを活用した移動型体験プロモーションサービスモビキチ」を提供しています。 
モビキチとは、「モビリティ(移動、乗り物)」と「キッチン(飲食の場)」から名付けられたサービスです。 
お客様が提案する商品を、モビキチに登録しているプロの料理人がメニュー開発・調理・提供し、消費者にアプローチしてくれます。 
例えば、食品メーカーが新商品を提案し、キッチンカーで宣伝してもらうことも可能です。 

ちなみに第一弾として、カゴメのプラントベースフード商品の体験プロモーションが実施されました。 
商品のプロモーションを考えている方は、モビキチのキッチンカーを試してみてはいかがでしょうか。 

ハウス食品のキッチンカーレンタルサービス「街角ステージ weldi 


■引用画像:ハウス食品グループ本社HP「
キッチンカーレンタルサービス街角ステージweldi」https://housefoods-group.com/activity/weldi/index.html)より

ハウス食品では、キッチンカーレンタルサービス「街角ステージ weldi」を提供しています。 
weldiは、キッチンカーを週1日からレンタルできるサービスです。駐車場代や車両保険は一切かからず、すぐに準備に取り掛かれます。 

またキッチンカーのノウハウがあるため、メニューやオペレーション、価格設定、PRまで的確にアドバイスがもらえるのもメリット。 
サポートを受けながらキッチンカーを始められるため、ノウハウのない食品メーカーでも安心して利用できます。 

 モスバーガーのキッチンカー「モスフィフティ」 


■引用画像:モスバーガーHP「
キッチンカーでしか味わえないおいしさをお届け」https://www.mos.jp/mori/honsha/article_20230614_01/)より

モスバーガーでは、創業50周年の記念事業のひとつとしてキッチンカー「モスフィフティ」の営業を開始しています。 
モスフィフティでは、定番商品の「モスバーガー」や「テリヤキバーガー」をグレードアップした専用商品を販売。キッチンカー限定商品を作ることにより、特別感を演出しています。 

「近くにモスがないからうれしい」「以前食べた時においしかったのでまた来ました。もっと来てもらいたい。」という声もあり、お客様からの評判も上々なようです。 
このように、大手飲食チェーン店でもキッチンカー事業が広まっています。 

三共食品キッチンカー「食べるわくわくを世界中に」 


■引用画像:三共食品株式会社HP「三共食品キッチンカー2周年で記念キャンペーン開催中!」
https://sankyofoods.co.jp/info/2023-05-03/)より

調味料や乾燥野菜などの加工食品を取り扱う
三共食品株式会社 
同社では、「本社のある愛知県豊橋市の魅力を伝えるオリジナルチキンカレーで笑顔を届けたい!」という想いで、オリジナルキッチンカー「食べる“わくわく”を世界中に」を運営。レトルトカレーの製造・販売を行っているノウハウを活用し、着実に売上を伸ばしています。 

またカレーの成功を足掛けに、フレンチトーストやコーヒーの提供も開始。自社商品を活かしたキッチンカー営業は、参考になる部分が多いです。 

災害時に活躍する日清食品「チキンラーメン号」 


■引用画像:日清食品グループHP「
熊本地震被災地へ給湯機能付のキッチンカーを派遣」https://www.nissin.com/jp/news/5161)より

日清食品の「チキンラーメン号」は、さまざまな場所で活躍するキッチンカーです。 
特に災害時の被災地支援で大きな活躍を見せています。 

チキンラーメン号は、無給水で最大500ℓの水を連続して沸かせるのが特徴。カップヌードルであれば約1,600食を提供できます。車内での調理が必要なく、お湯を沸かすだけなので、効率的に食料を供給できるのがメリットです。 
実際に東日本大震災では、7台のチキンラーメン号が稼働し、20113月~4月にかけて約210万食のカップヌードルが提供されました。 
このように一般消費者だけでなく、被災地支援においても食品メーカーのキッチンカーが活躍しています。 

いきなりステーキのキッチンカー 





■引用画像:いきなりキッチンカー【公式】Xアカウント(https://x.com/pfs_foodtruck)より

いきなり!ステーキ
では、2021年からステーキ専用の調理設備を備えたキッチンカー営業を開始しています。 
主に東京都内の住宅街やマンション、オフィス街などに出店。今後は台数を増やしていくようです。 

メニューは、いきなりサーロインステーキ重、いきなりサーロインステーキ&ハンバーグ弁当、いきなりサーロインステーキ弁当、いきなりカレーハンバーグ重など、ランチにぴったりの商品が目白押し。 
人気飲食店のメニューを気軽に食べられるため、多くの人から支持されています。 

豆腐メーカー池田食品の移動販売 


■引用画像:池田食品HP(https://ikedasyokuhin.com/info/car/)より

沖縄に拠点を置く豆腐メーカー
池田食品では、自社商品の移動販売を実施しています。  
島豆腐や惣菜・スイーツなどの主力商品を中心に、地域に根付いた営業を行っているのが特徴です。 
同社では、新型コロナウイルスにより飲食店への卸しは減りましたが、移動販売でおうち時間を楽しむ人へアプローチし、着実に売上を伸ばしたそうです。 

また2020年からは、非対面で商品を受け取れる置き配サービス「毎日SOYまーる」を開始。お客様宅の玄関に専用の宅配ボックスを設置し、商品を提供しています。 
このように、地域に密着したサービスで自社商品の売上を伸ばしている良い事例です。 

 

キッチンカーで使える補助金 

キッチンカーの開業では、補助金や助成金制度が設けられています。 

【代表的な補助金・助成金】
▶︎ものづくり補助金 
▶︎創業者向け補助金・給付金(各自治体) 
▶︎産業競争力強化法に基づく認定を受けた市区町村別の創業支援等事業計画の概要 
▶︎地域雇用開発助成金 
▶︎小規模事業者持続化補助金 

そのほかにも、各地自体ごとに補助金や助成金、給付金等の支援もあります。

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キッチンカー(移動販売)の切り口はさまざま 

今回は食品メーカー向けに、キッチンカーや移動販売のメリットや事例を解説してきました。 
自社商品を活かして商品を販売したり、ノウハウのあるサービスに依頼したりと、さまざまな切り口でアプローチできるのがキッチンカーの魅力です。 

ぜひ本記事を参考に、キッチンカーを導入について考えてみてくださいね。