無名の食品会社でもプレスリリースから話題に!費用をかけずにテレビで取り上げてもらう広報活動のポイント

公開日:2022年9月2日

テレビや新聞、ネットのニュースで食品メーカーの新商品が取り上げられることがありますが、実はその多くが「パブリシティ」と呼ばれる企業の広報活動によるものです。決して大手メーカーや有名企業だけが取り上げられるわけではなく、無名の中小規模の食品会社でもプレスリリース等を活用した広報活動を実践することで、テレビや新聞で話題にしてもらうことが可能です。この記事では、無名の食品会社がテレビや新聞で取り上げられてもらうためのポイントについて紹介します。

費用をかけないPR手法「パブリシティ」とは

パブリシティとは

「パブリシティ」とは、英単語の「publicity」からきている言葉です。「宣伝」や「世間に対して広く知ってもらうこと」と訳されることが多いですが、広報活動では「報道」や「費用をかけずにメディアに取り上げてもらうこと」を指して使われます。

パブリシティのメリット、デメリット

PRという観点ではパブリシティも広告も同じですが、特に広告宣伝に比べた場合の、パブリシティのメリット・デメリットを紹介します。

メリット

費用:広告は媒体掲載費が必要なのに対して、パブリシティは費用をかけずに実施することが可能です。ちなみに、企業が掲載料を支払って記事風に仕立てる「ペイド・パブリシティ」と呼ばれる手法もありますが、これは広告の一種です。

信頼性・客観性:報道機関の取材によりメディアで紹介されるため内容についての客観性や信頼性が生まれます。広告は客観性が乏しい場合が多いことから信頼性も低くなりがちです。

拡散性:メディアで紹介されるだけで多くの人に情報を伝えることができます。最近ではテレビや新聞で報じられた内容がネット上でも公開されるケースが一般的となり、以前にも増して情報が拡散する可能性があります。

デメリット

編集権はメディア側にあるため、内容によっては掲載されない可能性も高いのがパブリシティ。これが唯一のデメリットと言えるでしょう。原則、報道の意義があると判断されたニュースしか取り上げられません。また、取り上げられたとしても企業の意図とは異なる取り上げられ方になることもあります。

 

初めてでも簡単、メディアアプローチ方法

メリットの大きいパブリシティですが、メディアに取り上げられなければ、それまでの労力が無駄になることも少なくありません。そこで、唯一のデメリットである「掲載される可能性」を少しでも上げるための方法を紹介します。

プレスリリースの制作

パブリシティは、メディアに伝えたい情報をプレスリリース(またはニュースリリース)という形で内容を簡潔にまとめて配信するのが一般的です。内容が専門的になりすぎず素人でも理解できる言葉を使って簡潔にまとめると良いでしょう。A4サイズで片面、多くても両面にまとめることが肝要です。また、メディアには日々多くのプレスリリースが届きますので、タイトルにこだわり、写真を多用して取材イメージを持ってもらうことも効果的です。

また、プレスリリースの内容は“単なる商品紹介”にしないようにしましょう。メディアは報道する意義を感じる情報でなければ取り上げませんので、自社のメリットだけでなく、消費者や取引先にも大きなメリットがあったり、地域社会に貢献したり、あるいは社会問題を解決するような要素が求められます。

プレスリリースを制作する際には、下記のサイトを参考にされると良いでしょう。

「日経プレスリリース」 https://www.nikkei.com/pressrelease/

大手企業、一部上場企業などのプレスリリースを網羅しているのが日本経済新聞社が運営するのページです。

「PRTIMES」 https://www.atpress.ne.jp/
「@PRESS」 https://prtimes.jp/

プレスリリース配信代行サービスの代表的な事業者である「PRTIMES」「@PRESS」でも、日々、新しいプレスリリースが配信されています。

代表的なアプローチ方法

プレスリリースを制作したらメディアに配信をします。配信する方法としては、「FAX・メール・郵送」「記者クラブ」「メディアキャラバン」などがあります。

FAX・メール・郵送

新聞社やテレビ局のホームページ上にFAX番号やメールアドレスが公開されているケースがありますが、必ずしも企業情報の担当者につながるとは限りません。新聞社の場合は、新聞を購入すると表紙や地域版にFAX番号が掲載されていたり、テレビ局の場合は新聞のテレビ欄に電話番号が記載されていますので、電話をしてプレスリリース送信先を確認しましょう。商品サンプルなどと合わせて送りたい場合は、郵送でプレスリリースを送るのも効果的です。

記者クラブへの投げ込み

FAX・メール・郵送では、実際に記者やディレクターの手元に届いたか、あるいは内容を見てもらえたかは分かりませんが、記者クラブに投げ込むと確実に記者に情報を届けることができます。記者クラブは、都道府県庁や政令指定都市の市役所、あるいは業界団体などに設置されており、広報担当部署に連絡すると記者クラブへの投げ込み方法を教えてもらうことができます。原則、必要部数を持参する必要がありますが、最近ではメール送付を認めている記者クラブも出てきました。

メディアキャラバン

実際に新聞社やテレビ局を訪問してプレスリリースの内容を説明することです。記者やディレクターとのアポイントメントを獲得するのは難しいですが、訪問が実現すれば、その場で取材が始まることもあり、取り上げてもらえる可能性が高まります。新商品のプレスリリースでは試食などもしてもらえますし、仮に取り上げるのが難しいという回答だったとしても、その場で理由を聞いて次の機会に生かすこともできます。

取材後、掲載後の対応

取材が実現したら、取材応対者の人選や、想定質問に対する回答、撮影場所の確認などを事前に行い、取材当日に挑みましょう。数字や目標などを質問されることも多いため、代表者や責任者などすぐに答えられる人が取材に応じるのが望ましいです。
実施に紙面などで取り上げられたら、取材に来ていただいた記者やディレクターにお礼の電話またはメールを入れるのはもちろん、掲載素材の使用許可を確認した上で、自社ホームページやSNSなどで拡散するのも良いでしょう。
なお、取材を受けても実際にはメディアで紹介されないケースもあります。その場合でも取材に来ていただいたお礼をして、次の機会を気長に待ちましょう。

食品会社のパブリシティ成功事例

千葉初の餃子自販機「商和」

餃子の冷凍自販機を千葉県では初めて設置したというプレスリリースを記者クラブなどに配信。日本経済新聞や千葉日報、毎日新聞などで取り上げられ、地元でも大きな話題に。その結果、冷凍自販機の増設を決定するまでに事業が拡大しました。

商和のプレスリリース

掲載された日本経済新聞のWebサイト

掲載さ入れた千葉日報の紙面

鮮魚の消費拡大に貢献「アキラトータルプランニング」

最新の冷凍技術を用いて刺身を冷凍し、鮮度を保ったままいつでも美味しく食べられる商品としてプレスリリースをFAXやメールなどで配信。天然魚の価格安定や食品ロスの削減にもつながる取り組みでもあったことから、地元テレビ局のニュース番組で大きく取り上げられました。

配信したプレスリリース

放送された地元テレビ局のニュース番組

画期的お肉屋さん「野田ミート」

これまでにない新しいコンセプトを打ち出した精肉屋をオープンするというプレスリリース。販売する商品も特徴的であったことから、地元テレビ局の情報番組で大きく取り上げられ、数か月後にも同局でキャンペーンの様子が放送されました。

野田ミートのプレスリリース

放送された地元テレビ局の情報番組

パブリシティで成功するためには

有料配信代行サービスを利用

食品会社の中でも広報専任者を配置していない中小規模の企業にとって、パブリシティはハードルが高く感じられ、最初の一歩としては難しい面もあると思います。しかし、一度、プレスリリース制作からメディア配信までを経験し流れをつかむと、意外と難しくないことが分かります。自社でいきなり取り組むことに抵抗がある場合は、プレスリリース制作代行、配信代行サービスを利用するのも方法の一つです。こういった有料サービスから経験を積むことも良いでしょう。

配信タイミングを考慮する

プレスリリースは、どんなに内容が素晴らしくてもタイミングが良くないと取り上げられません。例えば、大事件や大事故が起きたり、全国区の選挙が行われるなどメディアが多忙な時期は、掲載される可能性が低くなります。逆に、お盆前や年末年始前などメディアにとって“ネタ枯れ期”と言われる時期であれば取り上げられる可能性が高くなります。

食品業界の業界紙を狙う

何とかパブリシティで実績を出したい場合は、掲載のハードルが高めの新聞やテレビ以外に、業界紙に情報提供するのも効果的です。下記は、食品業界を代表する業界紙3紙を紹介します。それぞれの媒体コンセプトに合致したプレスリリース内容であれば一般紙・地方紙やテレビ局よりも掲載されやすくなります。

日本食糧新聞 https://news.nissyoku.co.jp/

飲料・酒類含む食品全般や食品・包装機械などを取材領域としています。お問い合わせフォームから情報提供が可能です。

食品産業新聞 https://www.ssnp.co.jp/faq.html

こちらも食品全般を取り扱う業界紙。プレスリリースが完成したら代表電話(03-6231-6091)までお問い合わせをしてみてください。

日本農業新聞 https://www.agrinews.co.jp/enquiry/index

世界で唯一の日刊農業専門紙。国内の農業振興に役立つ情報が掲載されています。お問い合わせフォームの「お問い合わせ内容の項目」から「取材依頼」を選択して送信してください。

プレスリリースで思いを伝える

食品関連のプレスリリースは、多くの食品事業者から日々、配信されています。その中からメディアに選ばれるためには、文章の上手い下手は関係なく、その商品やサービス、取り組みに込めた思いや背景、あるいは今後の目標などを、携わった担当者の言葉でしっかり伝えることが大事です。また新しい取り組みに限らず、他社がやっていない取り組みやノウハウなどもメディアにとってはネタになります。まずは思いを伝えられそうな社内のネタを探って、ぜひパブリシティの第一歩を踏み出してみてください。