【連載第4回】変容する中食業界で生き抜く惣菜戦略 ~外食からの気づき~

公開日:2024年6月27日 最終更新日:2024年6月26日

総務省統計局家計調査からのデーターであるが、2023年2人以上の世帯では、外食率16.7%、調理食品(中食)14.6%で食費に占める食の外部化比率は31.3%。単身世帯では外食率25.3%、調理食品(中食)17.0%で食費に占める食の外部化率は42.3%もある。

中食の位置付けとなる総菜は食の外部化に含まれ、外食費の増減により中食のニーズも変化することをまずは再度認識しておく必要がある。食の外部化でもあるデリバリー、コロナ禍ではかなり消費を伸ばしたが、最近は少々厳しい状況にある。人手不足、資金繰りなどで外食店の閉店は後を立たないという情報も多くこちらも厳しい状況であるが、調理食品中食のくくりである総菜は手堅く推移している。

飲食店の中でもファストフーズは絶好調、ついでファミリーレストラン、次に喫茶店、そしてディナーレストラン、最も厳しい状況に置かれているのが居酒屋となる。テイクアウトのくくりも同じで、総菜としてもこれに準ずる商品群の強化をすれば、まだまだ数字は見込まれる。

総菜としては、飲食店では必須アイテムのお子様向け商品、スナックとしての位置付けで、若干品揃えしている店舗もあるが、週末・イベント日のチキンセット、オムライスベースのえびフライ・ハンバーグ添えのお子様ランチ、唐揚げの入った甘口のお子様カレー、少々小さ目のおにぎりセット、などなど特に量目に配慮し品揃えを定番化させたい。

店内手ごねのハンバーグチャレンジなども増えて来たが、ファミリーレストランでは定番のガーリックライスにステーキ、ハンバーグにエビフライやサイコロステーキ、チキンステーキ添えの洋食メニューなどランチメニューとしての品揃えもまだまだである。

ピザ、サンドイッチやハンバーガーなどの調理パン系、カフェなどの品揃えからするとまだまだその幅は狭く、サラダやスィーツ、スープ・ドリンクなどとのセットメニュー、週末対応のシェアメニュー提案は皆無に等しい。

スーパーでは夏になると土用丑の日を控えて突如うなぎの品揃えが増えるが、飲食店のうなぎ屋さんは年間営業しているのである。生産性よく、ちょっとご馳走のイメージのあるうなぎメニュー、年間を通して週末イベント日だけでもチャレンジする価値はある。

最近麺類のニーズが高まっているが、冷蔵商品は仕入だけで対応し店内加工しにくいが、売れる時期に売れそうなアイテムは店内加工を含めて強化しなければもったいない。パスタ、焼きそばをはじめ、夏の冷やしうどん・そば・そうめん、飲食店に負けないバリエーションが欲しい。(つづく)

【連載第3回】変容する中食業界で生き抜く惣菜戦略 ~100人、100通り~

<プロフィール>

成田廣文(成田惣菜研究所所長/ナリタヤ代表取締役)

大学卒業後、アメリカを視察。コンビニンスストアトいう業態を知り感動する。1974年実家の鮮魚店を食品スーパーに業態変更して開店。77年食品スーパーの売上が半減、利益確保の手段としておにぎり、サンドイッチなどから惣菜の販売を開始。89年全国スーパーなどから、問合せが殺到。コンサルタント業務を開始。94年成田惣菜研究所を設立。顧客企業はスーパーなど全国800社に上る。自らも惣菜店を経営するかたわら、惣菜コンサルタントとして地方を飛び回る。成田惣菜研究所においての基本は『手づくり』。自営業者としての生き残り策の模索が、結果的に他にない実践的な惣菜ノウハウにつながり、今や、“日本一の惣菜コンサルタント”として時代に求められている。※お問い合わせはこちら