【連載第3回】変容する中食業界で生き抜く惣菜戦略 ~100人、100通り~

公開日:2024年5月30日 最終更新日:2024年6月26日

仕事先だけでなく、ご家庭内でも一人で食事をする機会が増え、ランチタイムにはお弁当類の需要が益々エスカレートしている。家計消費支出を拝見しても、主食系調理食品、寿司・お弁当・おにぎり・丼ぶりのご飯物から、麺類、パン類、そしてデパートの食品売場・コンビニエンスストア・ファミリーレストランなどでは野菜系のサラダを主食とする一人分の食事も女性のお客様を中心に拡大傾向となっている。

地域性はあるが、相変わらずお弁当の品揃えが竹クラスだけのお店が多く、専門店であれば作業効率は良いものの、様々なお客様が来店されるお店では、選択肢が限られると、かえって来店客数を絞り込み、業績が伸び悩やむ要因ともなる。

和風鮭弁当の定番竹クラスでは、揚物は天ぷら、煮物、和え物、玉子焼、焼き鮭はベーシックなサイズとなる。梅クラスはのり弁風か鮭フレークをご飯の上に散らす程度。松クラスには竹にすき焼きや合鴨ロースなどの肉系を追加したり、白ご飯スペースを炊き込みご飯・おこわに、焼き鮭は厚めの西京焼きなどでグレードを上げたい。

洋風ハンバーグ弁当の竹クラス、ハンバーグのサイズにもよるが、枕にナポリタン・キャベツの千切りをたっぷりと、季節の温野菜で彩りを付け、卵はゆで玉子・目玉焼き辺りがバランスがよい。梅クラスはプレートタイプの容器を優先し、チキンライスなどのバターライスの中央にハンバーグ、ナポリタン・彩り野菜でご飯を隠すように盛り付けたい。松クラスにはエビフライや美味しいカニクリームコロッケなどの揚物や、サイコロステーキ付きなどでグレードアップ、週末には品揃えしたいちょっとご馳走ランチとなる。

中華風の竹クラス、酢豚・チンジャオロース・ホイコーロなどのメインに白ご飯、ザーサイの漬物は相性がよい。卵はかに玉を優先したい。梅クラスはキャベツ千切りに鶏唐揚げの個数に配慮した対応でOK。松クラスのご飯には炒飯でアップグレード、竹のメインにエビチリ・エビマヨ・肉団子・焼売などプラスしてボリューム感も出したい。

お弁当箱だけの容器にせず、中仕切りのない・少ないプレートタイプに変更するだけでも、おかずはほぼ同じでも上記の2倍の品揃えが可能となり、ランチタイムの購買層を広げやすくする。

容器のサイズにより、ご飯の量目、120g、180g、250gの3段階にもチャレンジしたい。これを踏まえれば、3×3×3×3=81アイテムの品揃えも可能となる。100人100食の品揃えは今後の目標となるが、可能な限りの品揃えの幅で購買層を広げる工夫を惜しまないことで、「ないから来ないのか、あるから来るのか」現状の来店客数を増やすきっかけにしたい。(つづく)

<プロフィール>

成田廣文(成田惣菜研究所所長/ナリタヤ代表取締役)

大学卒業後、アメリカを視察。コンビニンスストアトいう業態を知り感動する。1974年実家の鮮魚店を食品スーパーに業態変更して開店。77年食品スーパーの売上が半減、利益確保の手段としておにぎり、サンドイッチなどから惣菜の販売を開始。89年全国スーパーなどから、問合せが殺到。コンサルタント業務を開始。94年成田惣菜研究所を設立。顧客企業はスーパーなど全国800社に上る。自らも惣菜店を経営するかたわら、惣菜コンサルタントとして地方を飛び回る。成田惣菜研究所においての基本は『手づくり』。自営業者としての生き残り策の模索が、結果的に他にない実践的な惣菜ノウハウにつながり、今や、“日本一の惣菜コンサルタント”として時代に求められている。※お問い合わせはこちら