発酵食品の海外輸出で注意したい包装とは?ガス抜き・冷凍保存・輸出規制を解説 | ショクビズ!

発酵食品の海外輸出で注意したい包装とは?ガス抜き・冷凍保存・輸出規制を解説

公開日:2026.11.02
ライター:ショクビズ編集部

キムチや味噌、漬物などの発酵食品を海外へ輸出する際、気を付けたいのが包装です。

発酵食品は、製造方法や保存条件によっては包装後も発酵が進み、発生したガスで袋が膨らむことがあります。特有の匂いが包装材を通して外部に移行したり、輸送中の温度変化によって品質が変わったりする可能性もあります。

では、発酵食品には必ずガス抜き機能が必要なのでしょうか。冷凍して輸出する場合は、通常の包装袋でも対応できるのでしょうか。

今回は、発酵食品のガス発生と包装の関係を解説するとともに、食品別の注意点や、日本国内で製造した発酵食品を海外へ輸出する際に確認したいポイントを紹介します。

発酵食品の包装袋はなぜ膨らむ?ガスが発生する仕組み

発酵の過程で炭酸ガスが発生することがある

発酵食品は、乳酸菌や酵母などの微生物の働きを利用して製造されます。

微生物の種類や発酵条件によっては、糖分などを分解する過程で炭酸ガス(二酸化炭素)が発生します。

例えば、キムチでは一部の乳酸菌が乳酸だけでなく炭酸ガスも生成します。包装後も発酵が進むと、発生したガスが袋の内部にたまり、膨張や内容物の漏出につながることがあります。※1

キムチの包装に関する研究でも、保存温度が高いほど包装袋の膨張が大きくなる傾向が報告されています。※2

ただし、すべての発酵食品で同じようにガスが発生するわけではありません。使用する微生物、加熱殺菌の有無、発酵の進行状況、保存温度などによって異なります。

包装後のガス発生で起こり得るトラブル

発酵食品の包装で想定されるトラブルには、袋の膨張や変形、シール部分への負荷、包装の破損、内容物の漏出などがあります。

こうしたトラブルへの対策として、発生したガスを外へ逃がす機能を持った包装材や、ガスの透過性を調整したフィルムなどが検討されています。

ただし、ガス抜き機能を設けることで、密封性や匂い漏れなど別の課題が生じる可能性もあります。

重要なのは、食品の特性と流通条件に応じて包装方法を選ぶことです。

ガス発生に注意したい発酵食品一覧|包装の確認ポイント

発酵食品にはさまざまな種類があり、包装に求められる機能も異なります。

ここでは、包装後のガス発生や品質変化を確認しておきたい食品を一覧にまとめました。

発酵食品ガス発生に関する特徴包装時の主な注意点
キムチ乳酸発酵が継続するとガスが発生する場合がある袋の膨張、匂い漏れ、温度管理
乳酸発酵漬物(すぐき漬け、ザワークラウトなど)発酵状態や殺菌の有無によって異なるガス発生、密封性、液漏れ
味噌酵母などの活動が残る製品ではガス発生の可能性がある容器の膨張、保存温度
コンブチャなどの発酵飲料酵母などの活動でガスが発生する場合がある容器内圧、密封性、アルコール生成
ケフィアなどの発酵乳使用する微生物や製品仕様によって異なる容器内圧、低温管理、衛生規制
甘酒製法や加熱処理、微生物の状態によって異なる再発酵、衛生管理、密封性
納豆商品仕様や保管条件による匂い移り、水分、品質保持

※この一覧は、ガス抜き機能が必要な食品を断定するものではありません。食品ごとに発酵状態や製造工程が異なるため、実際の商品を用いた確認が必要です。

また、ガスの発生が少ない食品でも、匂い、水分、酸素、光などの影響を考慮した包装設計が求められる場合があります。

発酵食品を冷凍するとガス抜きは不要になる?

冷蔵保存では発酵が続く場合がある

キムチなどの発酵食品は、冷蔵保存中でも微生物の活動が完全に停止するとは限りません。

実際にキムチの包装に関する研究では、10℃で保存した一部の包装袋について、保存15日後以降に内部のガス圧が上昇したことが報告されています。※3

このため、冷蔵流通する発酵食品では、流通期間中に発酵がどの程度進むかを確認することが重要です。

冷凍保存では発酵活動が大きく抑えられる

一方、食品を冷凍すると、一般に微生物の活動は大きく抑えられます。

例えばキムチを冷凍して海外へ輸送する場合、適切な冷凍状態が維持されれば、冷蔵時と比較して新たなガスの発生を抑えられると考えられます。

このため、ガス抜き機能のない包装袋も選択肢になる可能性があります。

ただし、冷凍する前にすでにガスが発生している場合や、輸送中に温度が上昇した場合、解凍後に再び発酵が進む場合などには注意が必要です。

「冷凍するからガス抜きは不要」と一律に判断せず、製造から現地販売までの温度履歴を踏まえて検討しましょう。

冷凍しても匂い漏れには注意

キムチや納豆などの発酵食品には、特徴的な香りがあります。

食品の匂い成分の一部は、包装フィルムの材質や構成、保存条件によって外部に移行することがあります。

また、炭酸ガスや酸素に対するバリア性が高い包装材であっても、すべての匂い成分の透過を防げるとは限りません。

長期間の輸送や他の商品との混載が想定される場合は、必要に応じて匂い成分に対するバリア性も確認しておきましょう。

発酵食品を海外輸出する際の包装材の選び方

ガス抜き機能の必要性を確認する

包装後も発酵が進む食品では、ガスの蓄積による袋の膨張などを防ぐ対策が必要になる場合があります。

ガス抜き機能のある包装材は選択肢の一つですが、使用する場合は外気の侵入や液漏れ、匂い漏れなどへの影響にも注意が必要です。

食品の発酵状態や保存条件、発生するガス量を確認して検討しましょう。

ガスバリア性と安全性を確認する

包装材には、酸素の侵入を防ぐガスバリア性や、匂い漏れを抑える防臭性などがあります。

ただし、キムチなどの発酵食品を密封すると、発酵によって発生したガスが袋内に蓄積し、膨張や破袋につながることがあります。また、食品の酸性度や保存温度などの条件によっては、嫌気性菌による食中毒にも注意が必要です。

包装材はバリア性だけで選ばず、ガス抜きの仕組みや温度管理など、品質保持と安全性の両面から検討することが大切です。

冷凍輸送に適した強度や密封性を確認する

冷凍食品の包装では、低温環境での耐久性やシール強度なども確認したいポイントです。

特に液体を含む発酵食品では、袋の破損やシール不良によって内容物が漏れるおそれがあります。

輸送中の振動や衝撃、冷凍・解凍による変化を想定し、必要に応じて保存試験や輸送試験を実施することが望まれます。

日本製の発酵食品を海外輸出する際の5つの注意点

日本国内で製造した発酵食品を海外へ輸出する際は、食品や包装の特性に加え、輸出先の国・地域が定める規制を確認する必要があります。

1.輸出先の食品衛生規制と輸入条件

食品の輸入条件は国・地域によって異なります。

衛生基準、食品添加物、製造施設の登録、必要な証明書などが求められる場合があります。

農林水産省では、日本の加工食品を海外へ輸出する際、輸出先の規制に応じた衛生関連の条件や必要書類を確認するよう案内しています。※4

なお、すべての発酵食品に一律で衛生証明書が必要になるわけではありません。対象国や食品の種類に応じて確認する必要があります。

2.原材料による輸入規制

発酵食品には、植物性原料のほか、水産物や畜産物に由来する原料が使用されることがあります。

例えばキムチには、白菜などの野菜のほかに魚醤や塩辛などを使用する場合があります。

こうした原材料によって、輸出先での食品分類や輸入条件が変わる可能性があります。

また、日本国内で製造していても、使用する原材料がすべて日本産とは限りません。

輸出先の規制を確認する際は、製造国と原材料の原産地を区別して整理しておきましょう。※4、※5

3.輸出先の容器包装規制

食品に直接触れる包装材には、国や地域によって材質や使用成分などの規制が定められています。

そのため、日本国内で食品包装用として使用できるフィルムであっても、輸出先でそのまま使用できるとは限りません。

例えばEUでは、食品接触材料に関する規制があり、食品に接する包装材について安全性や使用条件への適合が求められます。※6

また、EUでは2026年8月12日から包装・包装廃棄物規則(PPWR)の一般適用が始まっています。食品接触材料の安全性に関する規制とは別に、包装廃棄物などに関する要件も確認が必要です。※6

輸出向けの包装材を選ぶ際は、食品の保存に必要な機能と、輸出先の規制への適合性をそれぞれ確認しましょう。

4.現地の食品表示ルール

海外向けの食品では、輸出先の法令に応じた食品表示が必要です。

原材料名、アレルゲン、内容量、保存方法、期限表示、栄養成分、原産国などについて、国・地域ごとに表示要件が異なります。

発酵食品では、商品の特性に応じてアルコールの生成や保存温度、解凍後の取り扱いなどにも注意が必要です。包装袋やラベルを印刷する前に、現地の輸入事業者などを通じて表示内容を確認しましょう。※5

5.輸送中の温度管理と品質保持

海外輸出では、国内での保管や輸送、通関、現地配送など、複数の工程を経て商品が届けられます。

発酵食品の場合、温度変化によって発酵が進んだり、風味や食感が変化したりすることがあります。

特に冷凍輸送する場合は、冷凍状態の維持に加え、解凍後の品質や保存条件まで考慮する必要があります。

賞味期限についても、商品特性と実際の保存・流通条件に基づいて設定しましょう。

発酵食品の輸出前に確認したいチェックリスト

発酵食品を海外輸出する際には、食品の特性と輸出先の規制を確認し、包装材を選ぶことが大切です。

特に、次のような項目を整理しておくと、包装資材メーカーや輸入事業者への相談も進めやすくなります。

  • ☑ 輸出先の国・地域と食品分類
  • ☑ 原材料や製造方法、加熱殺菌の有無
  • ☑ 包装後の発酵やガス発生の可能性
  • ☑ 保存・輸送温度と輸送期間
  • ☑ 包装材のガス抜き機能、防臭性、密封性、耐寒性
  • ☑ 輸出先の食品衛生・容器包装・食品表示規制
  • ☑ 必要な証明書や施設登録
  • ☑ 保存試験や輸送試験の実施状況

発酵食品の輸出は、食品特性と輸出先に合わせた包装選びを

発酵食品は、種類や製造方法、保存温度によって、包装後のガス発生や品質変化の状況が異なります。

キムチなどの発酵が続く食品では、ガス発生による袋の膨張に注意が必要です。一方、冷凍によって発酵活動を大きく抑えられる場合でも、匂い漏れや解凍後の品質変化など、検討すべき点は残ります。

また、日本国内で製造した食品を海外へ輸出する際は、輸出先の食品衛生規制や容器包装規制、表示ルールなどへの対応も求められます。

食品の特性、保存温度、輸送条件、輸出先の規制を整理し、実際の商品に適した包装材を選ぶことが重要です。

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参考資料・出典

本記事は、以下の研究論文および公的機関の情報を参考に作成しています。

※1 Effect of headspace gas composition in kimchi packaging on the quality characteristics of kimchi(研究論文)
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10439095/

※2 Effect of package size and temperature on the volume expansion of flexible permeable packages of Kimchi(Packaging Technology and Science、2001年)
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/pts.536

※3 Use of Laser-Etched Pouches to Control the Volume Expansion of Kimchi Packages During Distribution(Journal of Food Science、2017年)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28678333/

※4 農林水産省「加工食品の輸出に必要な一般的な手続きを教えてほしい」
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/export/e_faq/process_food/answer03.html

※5 JETRO「日本からの輸出に関する制度」
https://www.jetro.go.jp/industry/foods/exportguide.html

※6 農林水産省「輸出先国における容器・包装に関する規制」
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/export/e_process/k_packaging.html

情報確認日:2026年10月


本稿にあたっての注意事項

本記事は、日本国内で製造した発酵食品の海外輸出を検討する事業者向けに、包装および輸出に関する一般的な注意点をまとめたものです。

ガス発生の程度やガス抜き機能の要否は、食品の種類、製造方法、発酵状態、保存温度、包装仕様などによって異なります。実際の包装材選定では、商品と包装材を用いた検証が必要です。

また、輸出先の国・地域によって、食品衛生、原材料、表示、容器包装、必要な証明書などの条件は異なります。

本記事は、特定の国・地域への輸出可否や必要な手続きを保証するものではありません。

輸出先が決定した段階で、農林水産省やJETROなどの公的機関が提供する情報を参照し、現地の輸入事業者や規制当局に最新の要件をご確認ください。

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