食品開発者必見!タイパ疲れを癒す「食感」で攻めの単価アップ戦略 | ショクビズ!

食品開発者必見!タイパ疲れを癒す「食感」で攻めの単価アップ戦略

原材料費が高騰する今、単なる「コストを転嫁するだけの値上げ」は顧客離れのリスクを伴います。 

これからの食品業界に求められるのは、耐えるのではなく価値を高めて価格を引き上げる「攻めの開発」です。

その突破口となるのが、現代人のタイパ疲れを癒やす五感の体験。

現在、SNSを中心に「独特のなめらかな食感」が人気を集めています。

本記事では、原材料に頼らず技術と工夫で付加価値を生み出し、商品の単価アップ(利益確保)を実現する「食感マーケティング」の戦略を解説します。

「タイパ疲れ」の反動で生まれる、五感を満たすリカバリー消費 

あらゆる行動に効率が求められる現代社会において、消費者が「食」に求める役割が大きく変化しつつあります。

まずは、効率最優先の日々に疲弊した人々が求める、新しい食のトレンドとその背景を見ていきましょう。

食事の時間に潜む「タイパ疲れ」の現状と脱・効率化への欲求 

「タイパ疲れ」とは、効率重視の消費者が陥っている慢性的な疲労状態を指す言葉です。

動画の倍速視聴や家事の時短など、あらゆる場面でスピードを追求しすぎた結果、常に時間に追われて脳や心が休まらない人が増えています。

実際に、仕事を除いた日常生活において57.3%の人が「タイパを意識している」と回答する一方、約7割の人が「タイパを意識しなくてもよい生活」を望んでいるというデータもあります。

表面上は効率を求めつつも、心の中ではそのスピード感から解放されたいという矛盾を抱える消費者は少なくありません。

そして、この「解放への欲求」が最も顕著に現れ始めている領域こそが「食事・料理」です。

参照元:PRTIMES「「タイパ疲れ」する現代人?約7割が「タイパを意識しない生活を望む」」

あらゆるカテゴリーへ広がる「ベルベッティ食感」の需要 

口に入れた瞬間に広がるベルベットのようななめらか食感は、しっかり噛むことすら負担に感じる現代人の疲れを癒やす「ご自愛タイム」のスイッチとして、今まさに高い需要を集めています。

なお、質感にとことんこだわった「とろけるような口当たり」へのニーズは、プリンなどの定番スイーツに留まりません。

スープやレトルトカレー、ドレッシング、さらにはアルコール飲料にいたるまで、あらゆる食品カテゴリーに波及しているのが最新の市場動向です。

咀嚼(そしゃく)の必要がないほどの圧倒的ななめらかさは、手軽さに慣れた消費者の心と五感を満たす、新しい付加価値の形といえるでしょう。

消費者が価値を見出す「体験型」食トレンドの広がり 

近年は、単にお腹を満たす目的から、食感やプロセスそのものを楽しむ「体験」へと消費者の関心がシフトしつつあるようです。

ここでは、五感を刺激する新しい食の変化がどのようなものか、具体例を交えながら解説します。

「音」と「断面」を楽しむASMR系グルメ 

食べる際の咀嚼音(そしゃくおん)や、美しいカットを魅せる「断面」にフォーカスしたASMR系グルメは、五感で楽しむ体験型フードの代表格です。

聴覚と視覚の双方で体感するスタイルは、一過性の流行を超えてSNSを中心に広く定着しています。

ASMR系グルメの象徴ともいえるのが、外はパリパリ、中はザクザクとした咀嚼音や、カットした断面のインパクトが大きな話題を呼んだ「ドバイチョコレート」です。

消費者は味覚だけでなく、心地よい咀嚼音を耳で楽しみ、鮮やかなビジュアルを目で楽しむという「食べるプロセスそのものの体験」に高い価値を見出しています。

五感を刺激する商品設計は、現代の食品開発において欠かせない定番の要素となりました。

情報過多な日常のなかで、ダイレクトに五感を揺さぶるリアルな体感型グルメは、今後もさまざまなカテゴリーで強力なフックになるのではないでしょうか。

新食感で注目されるアジアン新素材「サゴ」 

タピオカの次なるトレンド候補として、ヤシのでんぷん由来の新素材「サゴ」がアジアンスイーツ市場で注目を集め始めています。

最大の魅力は、口の中で弾ける独特の「プチプチとした軽い食感」です。

かつて大流行したタピオカ特有の「もちもちとした重ための食感」とは異なる軽やかな口当たりは、「食感の心地よさ」や「食べる楽しさ」を重視する現代人のマインドに深くマッチする特徴といえます。

サゴはヘルシーさと新感覚を兼ね備えており、次世代のアジアンスイーツを牽引するユニークな素材として、今後のメニュー開発において無視できない存在になるでしょう。

自分好みに落とし込む「パーソナライズ・カスタム」 

ベースやトッピングを自由に選び、その日の気分や体調に合わせて「自分専用の一杯」を作る体験価値も、多くの消費者から支持されています。

最近では、具材を自分で選ぶ麻辣湯(マーラータン)のセルフスタイルや、栄養素を調整できるカスタムスープの人気が目立つようになってきました。

画一的なメニューを受け取るだけでなく、自ら選ぶプロセスそのものが、現代の食における大きなエンターテインメントに昇華しているようです。

腸活や温活といった個人の健康ニーズにきめ細かく応えられる点も、リピートを生む強みといえるでしょう。

自分仕様にアレンジできるカスタム要素の導入は、ブランドへの愛着を深め、他社との差別化を図る上での有力な戦略になりそうです。

本格世界の味を家で体験する「ビリヤニキット」 

効率重視の時短レトルトとは対極に位置する、あえて調理に手間ひまをかける「ビリヤニ(インドの伝統的なスパイス炊き込みご飯)」の本格調理キットは、今注目の体験型フードです。

消費者は自分で何種類ものスパイスを調合し、パラパラとした独特のインディカ米を炊き上げるという「プロセスそのもの」をエンターテインメントとして楽しんでいます。

本格的な世界の味を作り出す時間は、おうちでの特別感や贅沢なひとときを満たす、新しい付加価値の形といえるでしょう。 
利便性だけでは満たされない、非日常の体験を提供する調理キットは、今後の高付加価値商品開発における大きな可能性を秘めています。 

原材料に頼らない!「食感」で実現する攻めの価格戦略 

原材料を劇的に変えなくても、技術と工夫次第でワンランク上の上質感を生み出すことは十分に可能です。

コスト高に負けないポジティブな価格改定(値上げ)を成功させるために、今どのような「食感アプローチ」が注目されているのか、具体的に見ていきましょう。

プレミアム素材の追求が限界を迎える中で直面するコストの壁 

ブランド肉や希少なフルーツといった「素材の良さ」だけで他社との差別化を図る手法は、現在の市場環境において大きなリスクを伴います。

物価高や不安定な調達環境が続くなか、プレミアム原材料の導入はコスト高に直結し、かえって自社の利益を圧迫しかねません。

競合との差別化を狙うほど仕入れ値が跳ね上がる構造は、多くの食品開発者が直面している深刻なジレンマです。

そのため、原材料のアップグレードに頼る商品設計から脱却し、別の切り口で付加価値を創出するアプローチへの転換が、今まさに求められています。

原材料を変えずに圧倒的な高級感を創出する乳化・均質化技術 

既存の原材料ベースを維持したまま、乳化技術の微調整やホモジナイズ(均質化)プロセスの最適化によって製品価値を引き上げるアプローチは、コスト抑制と付加価値向上を同時に叶える強力な武器です。

緻密な物性(テクスチャー)コントロールから生み出されるなめらかさやコクは、製品に「高級感」をもたらします。

仕入れ値を据え置いたまま、食感のアップデートでプレミアム感を創出できる点は、メーカーにとって他社との大きな差別化要素となります。

コストの壁を生産技術の知恵で乗り越えるイノベーションは、これからの価格戦略において極めて有効な選択肢です。

消費者が納得して受け入れる「新食感リニューアル」というストーリー 

単なるコスト転嫁と受け取られないためには、消費者がポジティブな価値向上として納得できる「攻めのストーリー展開」が欠かせません。

具体的な手法として、例えば「タイパ疲れを癒やすプレミアムな新食感へのアップデート」といった明快なコンセプトを打ち出すことが挙げられます。

食感のイノベーションに伴うリブランディングであると伝えることで、価格改定は「仕方のない値上げ」から「価値ある進化」へと変化するでしょう。

情緒的な価値を消費者にしっかりと届ける工夫こそが、ブランドへの信頼を維持し、次なる成長へと繋げるための重要なポイントになります。

新食感へのアップデートと同時に行う「サステナブルなパッケージへの刷新」 

食感の進化とサステナブルなパッケージへの刷新を同時に行う取り組みは、消費者に「全面的なブランドの生まれ変わり」を強く印象付けられます。

中身と外装を一体化させたリニューアルは、単なるコスト対策にとどまらず、環境配慮という新たな社会的価値を付加する攻めのアプローチです。

また、従来の石油系包装資材が高騰・不安定化するなか、植物由来のバイオマス素材や再生PETといった持続可能なパッケージへ切り替えることは、資材リスクを回避する上でも大きなアドバンテージをもたらします。

まとめ|「タイパ疲れ」を癒やすリカバリー消費の波を捉え、 持続可能なブランド価値を創出する 

あらゆる生活行動の効率化が求められる現代において、「脱・タイパ」の癒やしを食に求める消費者の意識変化は見逃せません。

原材料費が高騰を続けるなかでメーカーに求められるのは、単なるコストカットではなく、独自の技術と工夫で「食感」に新たな価値を吹き込む、攻めの開発への転換です。

さらに、中身のイノベーションとサステナブルなパッケージ刷新を連動させるアプローチは、消費心理に寄り添いながらブランドイメージを一新する有効な手立てとなります。

変化するリカバリー消費の波をいち早く捉え、高利益体質で持続可能なブランドへと刷新するために、新たな商品開発への一歩を踏み出しましょう。

この記事のライター

ショクビズ編集部

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