孤食は、一時的な社会現象ではなく、食文化の「新スタンダード」です。
ネガティブな文脈で語られがちでしたが、現代の消費者は「食のパーソナライズ化」というポジティブな側面で捉えるようになってきています。
単身世帯はもちろん、同居する家族でも、別々の時間に食事を取ったり、同じ食卓でもそれぞれが好きなものを食べたりする食事スタイルが定着しつつあります。この「食のパーソナライズ化」こそが、次なるヒット企画のヒントになります。
本記事では、孤食という変化をビジネスチャンスへ変え、商品開発のヒントとして役立てるための戦略をお伝えします。
7つの「こ食」に隠れた消費者のニーズ
孤食とは、「1人で食事をすること」を指します。また、孤食以外にも6つの「こ食」があります。ネガティブに捉えられがちな「こ食」ですが、マーケティング視点でそれぞれの消費者心理を掴むことで、商品開発のヒントとして活用できます。
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孤食:1人で食事をすること
→ 自分へのご褒美・自由な食事時間 -
小食:食事量が少ないこと
→ 少量でも満足できるプレミアム感・ジャストサイズ消費・ロスの削減 -
個食:家族ひとりひとりが違うものを食べること
→ 同じ食卓でも別々のメニューを楽しむ食の多様性(パーソナライズ性)・嗜好の尊重 -
子食:子どもだけで食事をすること
→ 親がいなくても安心して食べられる健康的な食事 -
粉食:パスタやピザなど小麦粉を使う高カロリーなものを食べること
→ レンチンだけで簡単に食べられるタイパを重視した食事 -
固食:好きなものや決まったものしか食べないこと
→ こだわり消費・高いブランドロイヤリティ -
濃食:外食や加工食品など、味の濃い塩分や糖分が多いものを食べること
→ すぐに満足感を得られる食事
現代の消費者は、一人で食べる時間を「誰にも邪魔されず、好きなものを楽しむ自由な時間」としてポジティブに捉え始めています。開発担当者に求められるのは、自由で前向きな孤食ニーズをどう満たすかという視点です。
家庭内孤食の広がりと食行動の変化
農林水産省「平成29年度 食育白書」によると、一日のすべての食事を一人で取る人の割合は年々増加しています。
特に開発担当者が注目すべきは、共働き世帯における「家庭内孤食」です。
この背景には、帰宅時間や生活スタイルの違いから時間差で食事を摂る夫婦が増えていることや、同じ食卓でも別々のメニューを楽しむ家族が一般化してきていることがあります。
この「家庭内孤食」も、決してネガティブなものではなく、各々の生活を優先した結果でのポジティブな個食なのです。家族で同じ鍋を囲むことだけが幸せの形ではなく、個々の食事の充実が満足度を上げる時代へとシフトしているといえるでしょう。
この変化により、消費者は以下の4つの価値を食品を選ぶ際の判断基準にするようになりました。
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簡便性
トレイのまま食べられる・レンジで温めるだけといった個食に合うUX設計 -
ジャストサイズ消費
食べきりサイズや小分けの設計を好む -
健康価値の可視化
栄養バランスの取れた中身と栄養価の具体的な提示 -
心理的満足感
孤食を「自分へのご褒美」に変換できる商品設計
食品メーカーが取るべき3つの重要対策
孤食トレンドを追い風にするためには、以下のような戦略で消費者にアプローチしていくことが必要です。
①ターゲットの解像度を高める
「残業後に手軽に栄養を摂りたい30代男性」「自分の好きなものだけを少量楽しみたいアクティブシニア」など、具体的なターゲットと食事シーンを想定します。
②「納得」に直結する言葉選び
「栄養バランスが良い」と抽象的に謳うのではなく、「33種類の栄養素を凝縮」といったように、一目で商品価値が伝わることを意識します。
③「個」の体験価値を高める工夫
前向きなメッセージや温かみのあるデザインといったパッケージの工夫だけでも、一人で食べる食事をより充実させたものにできます。
孤食時代に選ばれている商品事例
個食に対応した冷凍食品のラインナップ拡充(ニチレイフーズ)
大手冷凍食品メーカーのニチレイフーズでは、多様な冷凍食品の開発に注力しています。ハンバーグやパスタなど複数のメニューをワンプレートで楽しめる商品や、電子レンジ調理だけでトレイのまま食べられる麺シリーズなど、手軽にいろんな味を楽しんでもらえるよう商品開発を進めています。
【ポイント】
- 一人前×複数メニューのバラエティ豊富な組み合わせ
- トレイ一体型など、食器不要のUX設計
- 商品ラインナップの充実
完璧な栄養価が評価されている完全栄養食「完全メシ」(日清食品)
大手食品メーカーの日清食品では、孤食の課題である栄養の偏りを解決できるインスタント食品「完全メシ」を発売しています。この商品は「日本人の食事摂取基準」で設定された33種類の栄養素をすべて含んでいます。ターゲット層は30~40代男性であり、彼らの「健康は気になるけどジャンクなものを食べたい」というニーズに刺さるコンセプト設計も功を奏し、大ヒットしている商品です。
【ポイント】
- 明確なターゲット設定
- 健康×嗜好性(ジャンク感・満足感)の両立
- 孤食時代に刺さる新ブランドの確立
スタンドパック型容器で孤食用のシリアルを開発(カルビー)
菓子メーカーの最大手であるカルビーでは、グラノーラとフルーツを混ぜたシリアル「フルグラ」の新フレーバーを、容器要らずで食べられるスタンドパック型で販売しました。
「新しいフレーバーを少しだけ試してみたい」という消費者の声から実現したもので、手軽に1食分だけ楽しめる個食向けの容器設計になっています。
シリアルは、大容量のものを家族みんなで食べるイメージがありますが、世帯の変化や喫食シーンの多様化を踏まえて、容器設計の見直しや新たな商品価値の発掘をおこなっています。
【ポイント】
- これまでにない斬新な容器設計
- ユーザーのリアルな声を反映
- 食品カテゴリーの再定義
孤食を成長機会に変える
孤食の拡大は、食品メーカーにとって、脅威ではなく機会です。孤食ニーズを深く掘り下げることは、ブランドの新たなファンを獲得する最短ルートになります。
貴社の商品も、今一度、個食の視点から再定義してみてはいかがでしょうか。
商品開発やパッケージ設計、販促などでお悩みの際は、お気軽にご相談ください。
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この記事のライター
ショクビズ編集部
企業の主な実績
オリジナルシールの企画・作成 10,000社以上
オリジナル紙箱・化粧箱・パッケージの企画・作成 11,000製品以上
