チルアウトって知ってる?次世代ドリンクに求められる納得の効果とは
目次
2年ほど前からSNSなどで見かけるようになった「チルアウト」「チルする」という言葉をご存じでしょうか。コカ・コーラの自動販売機やコンビニ、ドン・キホーテで売られている飲料「CHILL OUT(チルアウト)」は、これまでのエナジードリンクとは一線を画し、リラクゼーションドリンクという切り口で戦略的ブランディングが行われています。
ここでは、チルアウトの語源や意味、最近発表された認知能力改善の効果、商品に含まれる成分や味から読み取れる時代が求める流れなどについてまとめました。食品小売業界で知っておきたい最新ワードをご紹介します。
チルアウトとは?チルするって何?知っておきたい語源と意味
チルアウト(英語表記:chill out)とは英語のスラングで、「落ち着く」「くつろぐ」「リラックスする」という意味で使われている言葉です。
日本で「チルアウト」という言葉が広まったのは、1990年代に登場したテクノ系の音楽ジャンル「チルアウトミュージック」がきっかけ。チルアウトミュージックは、ゆったりした明るい曲調とスローテンポで一定のリズムを刻む落ち着きのある音楽で、インストルメンタル(歌詞や歌唱のない器楽曲)が特徴とされています。
もともとchillには「冷やす」「冷える」という意味があり、チルアウトミュージックはクラブで踊った後に休むための部屋(チルルーム)でゆったりとリラックスできるように作られた曲が発祥という説もあるようです。何か作業をするときに聴くと、集中できるという人もいる人気の音楽ジャンルの一つとされています。
日本でチルアウトミュージックが広がる中、くつろいだり、まったりすることを「チルってます」と表現したタレントがいたことで、TwitterなどのSNSで一部の若者が使うようになった言葉です。
チルアウトドリンクで謳われている効果、味や成分について調べてみました!
「レッドブル」や「モンスターエナジー」といったエナジードリンクの人気が続く一方で、最近注目を浴びているのが「リラクゼーションドリンク」です。
アメリカでは既に多くの種類が発売され売上を伸ばしているそうですが、日本では2016年にI-neが次世代リラクゼーションドリンクとして「CHILL OUT(チルアウト)」の販売を開始。I-ne は2019年に合同会社Endianを設立し、日本コカ・コーラが資本参加しリブランディングしたことで、本格的な事業領域へと進展しました。最近、駅の自動販売機やコンビニなどで見かけたという方もいらっしゃるかもしれません。
■画像:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000024.000048100.html
このリラクゼーションドリンク「CHILL OUT(チルアウト)」は、保存料、着色料、人工甘味料不使用で自然派志向の消費者を意識していることが伺えます。アレルギー特定原材料の27品目が含まれていないことも特徴で、グルテンフリーでノンカフェイン。体に悪い成分を一切排除しているといいます。そして、4つのリラクゼーションサポート成分(GABA、L-テアニン、ヘンプシード抽出物、ホップ抽出物)と葉酸を含む8つのビタミンを配合。ハーブやフルーツ系の香りと清涼感のあるフレーバーは、AIを用いてよりクールダウンできるよう独自開発されました。
商品ターゲットは、「トレンドを発信するイノベーターや流行に敏感なアーリーアダプター」「IT業界の先端で働くビジネスパーソン」「ライフスタイルを自由に選択するノマド系ワーカー」など、ストレスをコントロールして「チル」することが必要な全ての人としています。
ワーキングメモリに関わる認知能力改善の可能性も
「CHILL OUT(チルアウト)」を販売するEndianは今年8月、医師でもある奥田一貴氏が経営するUniversal MindとCHILL OUTの摂取による脳の認知能力への影響を評価する実験で、ワーキングメモリ(※)に関わる認知能力の改善の可能性が示唆され、2人に1人がCHILL OUT飲用後に「仕事の効率が上がった」と回答した調査結果を発表しました。
また、この調査では、イライラやネガティブな気分が低下し、思考・企図能力や活力の上昇、身体的にリラックスした状態へと改善したことも明らかになりました。
※ワーキングメモリとは、これから実行する作業に必要な情報を一時的に脳の中で記憶し、同時にその記憶を処理して、一連の作業を効率よく実行するための認知制御に関する脳のメカニズムのこと。この能力は、会話や読み書き、計算などの基盤となる、私たちの日常生活や学習を支える重要な能力です。
■出典:2021年8月4日Endian発表プレスリリースより
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000024.000048100.html
時代はエナジーよりチルアウトを求めている!?
栄養ドリンクやエナジードリンクは、疲れた時や頑張り時に栄養を補給する目的で飲む人が多いのに対し、リラクゼーションドリンクは上手に休息を取り、心を落ち着かせてパフォーマンスを向上させたいときに飲むというイメージ戦略があり、いわゆる“抜け感”や“癒し効果”が特徴です。
日本で「チルアウト」という言葉が使われるようになった背景の一つに、ストレスフルな社会情勢が影響していると考える専門家もいます。
情報過多でスピード時代ともいわれる昨今は、誰でも気軽に情報を発信できる時代です。「いいね!」の数に一喜一憂し、オンライン上での人間関係によるストレスから、「SNS疲れ」や「デジタルデトックス」というワードも登場しました。
さらに、2020年からはコロナ禍による様々なストレスも加わったことで、より多くの人がこれらのストレスから解放され、心安らぐ場を求めているといえるでしょう。近年ブームとなっているソロキャンプやたき火、カフェ巡りなども、ゆったりと時間を過ごしたい現代人の癒しとなっていることが分かります。
現在、日本でチルアウトを謳う商品は、先述のリラクゼーションドリンク「CHILL OUT(チルアウト)」やボディクリーム「チルアウトバーム」など数は多くないようですが、人々の生活に浸透するにつれて関連商品も増えていくと考えられます。
ショクビズ!編集部では、食品小売業界のチルアウト市場の動向に引き続き着目したいと思います。
この記事のライター
ショクビズ編集部
企業の主な実績
オリジナルシールの企画・作成 10,000社以上
オリジナル紙箱・化粧箱・パッケージの企画・作成 11,000製品以上