ショクビズ編集部では、展示会来場者を対象に食品業界の課題や市場動向に関するアンケートを実施しました。
2026年は「原材料費の高騰」が70.5%と引き続き最大の課題に。一方で、「市場競争の激化」や「マーケティング支援」、「消費者の購入のきっかけ」などを選んだ割合も前年より上昇しました。
今回は有効回答271件をもとに、2025年の調査結果と比較しながら、食品事業者が現在どのような課題やニーズを持っているのかを読み解きます。
※2025年は130人、2026年は271人が回答。両年とも同じ設問・回答形式で実施し、各項目を選んだ回答者の割合を比較しています。
アンケート概要
対象:九州を中心とした食品業界関係者
(酒造・酒販、製菓、畜産食料、調味料製造、飲食店、スーパーなど)
調査方法:展示会来場者アンケート
(MARUSHIN よりそうSOLUTION FAIR 2026にて来場者へ呼びかけ)
調査日:2026年9月15、16日
有効回答数:272件 ※展示会来場者数とは異なる
調査内容:食品業界が抱える現在の課題、将来不安、必要な情報・サービス、興味関心、消費者について知りたいことなど
食品業界の最大課題は今年も「原材料費の高騰」70.5%

現在、最も大きな課題と感じていることを聞いたところ、最も多かったのは「原材料費の高騰」70.5%でした。
2025年は60.0%で、2026年は70.5%。選択率は10.5ポイント上昇しています。
原材料コストへの対応は、今年も食品事業者にとって大きな課題であることが分かります。
「新しい商品開発」も28.0%から35.1%へ

「新しい商品開発」を選んだ割合も、2025年の28.0%から2026年は35.1%へ上昇しました。
原材料高騰への対応が求められる一方で、新しい商品や価値を生み出すことを課題として挙げる事業者も増えています。
価格改定やコスト調整だけでなく、商品そのものの魅力や競争力をどう高めるかも、重要なテーマの一つといえそうです。
将来不安では「市場競争の激化」が31.0%から50.2%へ大幅増

将来的に特に不安を感じていることでは、「市場競争の激化」を選んだ割合が大きく上昇しました。
2025年の31.0%に対し、2026年は50.2%。19.2ポイントの上昇となっています。
今回比較した項目の中でも、特に大きな変化が見られました。
原材料やエネルギー価格だけでなく、競合との差別化や、自社商品をどう選んでもらうかといった課題を意識する回答者が増えていることがうかがえます。
「消費者ニーズの変化への対応」も52.0%から56.1%へ
「消費者ニーズの変化への対応」は、2025年の52.0%から2026年は56.1%となりました。
前年から4.1ポイントの上昇で、今年も半数以上が将来不安として選んでいます。
食のトレンドや価格意識、購入チャネルなど、消費者の変化を捉えながら商品や販売方法を考えていく必要性が意識されていることが分かります。
食品事業者が求める支援、「マーケティング」が35.0%から41.0%へ

課題や不安を解消するために必要な情報やサービスについて聞いたところ、最も多かったのは「コスト削減のためのノウハウ」48.3%でした。
続いて、
- ■商品開発に関する情報:43.2%
- ■新しい顧客を獲得するためのマーケティング支援:41.0%
となっています。
コスト削減ニーズはほぼ横ばい
「コスト削減のためのノウハウ」は、2025年の48.0%に対し、2026年は48.3%。
前年とほぼ同じ割合で、引き続きニーズの高い情報であることが分かります。
「新規顧客獲得のマーケティング支援」は6ポイント上昇
一方、「新しい顧客を獲得するためのマーケティング支援」は、2025年の35.0%から2026年は41.0%へ上昇しました。
コスト削減や商品開発に加えて、「どう売るか」「どう新しい顧客と接点を持つか」に関する支援を求める回答割合も高くなっています。
食品事業者が求める支援が、製造やコスト面だけでなく、販売・集客・マーケティングにも広がっている様子がうかがえます。
関心1位は「競合差別化のためのブランディング」47.2%

興味があるものを聞いたところ、最も多かったのは「競合差別化のためのブランディング」47.2%でした。
続いて、
- ■時代に合った商品の開発:43.9%
- ■パッケージのリニューアル:32.5%
となっています。
市場競争への不安を選ぶ割合が上昇する中で、商品を開発するだけでなく、競合とどう差別化し、自社商品の価値をどう伝えるかに関する項目が上位となりました。
食品は味や品質だけでなく、商品名、パッケージ、ブランドストーリー、売り場やECでの見せ方なども商品選択に関わります。
「良い商品を作る」だけでなく、選ばれる理由を分かりやすく伝えることがより重要になりそうです。
食品事業者が最も知りたいのは「消費者の購入のきっかけ」69.7%
消費者について知りたいことでは、「購入のきっかけ」69.7%が最も多くなりました。
2025年の53.0%から16.7ポイント上昇しています。
「食品を選ぶ際に最も重視する点」も55.0%
「食品を選ぶ際に最も重視する点」を選んだ割合も、2025年の50.0%から2026年は55.0%へ上昇しました。
今回の結果では、
- ■なぜその商品を買うのか
- ■何が購入の決め手になるのか
- ■商品を選ぶ際に何を重視するのか
といった、消費者の購買行動に関する情報を知りたいとする割合が高くなっています。
市場競争への不安やマーケティング支援の選択率も上昇していることから、消費者の行動を把握し、今後の商品開発や販売施策に生かそうとする動きがうかがえます。
2025年と2026年を比較して見えた食品業界の変化
今回の調査結果を2025年と比較すると、次のような変化が見られました。
| 項目 | 2025年 | 2026年 | 前年差 |
| 原材料費の高騰 | 60.0% | 70.5% | +10.5pt |
| 市場競争の激化 | 31.0% | 50.2% | +19.2pt |
| 消費者ニーズの変化への対応 | 52.0% | 56.1% | +4.1pt |
| マーケティング支援 | 35.0% | 41.0% | +6.0pt |
| 購入のきっかけを知りたい | 53.0% | 69.7% | +16.7pt |
※2025年と2026年では回答者数が異なるため、回答人数ではなく各項目の選択率を比較しています。
026年も原材料高騰は大きな課題ですが、それに加えて、市場競争の激化、マーケティング支援、消費者の購入のきっかけといった項目で前年より高い選択率となりました。
今回の回答結果からは、食品事業者が「コストをどう抑えるか」「何を作るか」に加えて、「市場をどう見るか」「どう差別化するか」「どう選ばれるか」にも目を向けている様子がうかがえます。
「コスト高対策」だけでなく、「選ばれるための戦略」も
今回の調査で特に注目したいのは、
●市場競争の激化
●マーケティング支援
●消費者の購入のきっかけ
の3項目で、前年より選択率が上昇した点です。
原材料高騰という「守り」の課題への対応は引き続き必要です。
一方で、今回の結果からは、
消費者や市場の変化を捉え、自社商品をどう選んでもらうか、という視点にも関心が広がっていることがうかがえます。
市場競争が強まる今、知っておくべきポイントとは?
自社商品が「なぜ買われるのか」を把握する
今回、「消費者の購入のきっかけ」を知りたいと回答した割合は約7割でした。
商品の味や価格だけでなく、
- SNSや口コミ
- 店頭での見せ方
- パッケージ
- ブランドイメージ
- キャンペーン
- ECでの商品情報
など、さまざまな要素が購入につながります。
自社の商品が「なぜ選ばれているのか」「なぜ選ばれていないのか」を把握することは、商品改善や販促を考える材料になります。
競合との違いを明確にする
「競合差別化のためのブランディング」は、今年の関心項目で最も高い47.2%となりました。
価格だけで競争するのではなく、
- ■商品の特徴
- ■原材料や製法
- ■開発ストーリー
- ■ターゲット
- ■パッケージ
- ■ブランドとして伝えたい価値
などを整理し、「この商品を選ぶ理由」を明確にすることが重要です。
業種ごとの課題感や関心事の違い・特徴
業種別に回答を見ると、多くの業種で「原材料費の高騰」が上位となる一方、そのほかに選ばれる課題や必要とされる支援、関心のあるテーマには違いが見られました。
※業種によって回答数が異なり、10~30件程度の区分もあるため、以下は各業種の傾向を把握するための参考値として紹介します。
1. 製造業(製菓類、畜産、調味料など)
製造業では、原材料費への対応に加え、商品開発や差別化、ブランディングに関する項目の選択率が比較的高くなりました。
製菓類製造(35件)では、「原材料費の高騰」が71.4%で最も多く、「製品・サービスの差別化」45.7%、「新しい商品開発」34.3%が続きました。
興味のあるテーマでは、「競合差別化のためのブランディング」と「パッケージのリニューアル」がともに51.4%。商品そのものだけでなく、パッケージやブランドを含めた差別化に関心が向いていることがうかがえます。
・調味料製造(18件)では、「原材料費の高騰」72.2%に続き、「新しい商品開発」50.0%、「製品・サービスの差別化」44.4%が上位となりました。
必要な情報・サービスでは「商品開発に関する情報」が55.6%、興味のあるテーマでは「パッケージのリニューアル」が55.6%となっており、新商品や既存商品の見直しに関する項目が多く選ばれています。
・畜産食料品製造(28件)では、「原材料費の高騰」が78.6%と高く、「新しい顧客の獲得」42.9%、「製品・サービスの差別化」39.3%が続きました。
必要な支援では「コスト削減のためのノウハウ」53.6%が最も多く、興味のあるテーマでは「競合差別化のためのブランディング」「パッケージのリニューアル」「時代に合った商品の開発」がいずれも39.3%となりました。
2. 飲食・中食(飲食店、惣菜・弁当類)
飲食店や惣菜・弁当類では、原材料費に加え、人材確保や人件費など人に関する課題を選ぶ割合が比較的高くなりました。
飲食店(13件)では、「原材料費の高騰」76.9%に続き、「人件費の上昇」46.2%が上位となりました。
必要な支援では、「人材確保・定着のためのコンサルティング」と「コスト削減のためのノウハウ」がともに38.5%。「新しい顧客を獲得するためのマーケティング支援」と「商品開発に関する情報」もそれぞれ30.8%となっています。
惣菜・弁当類(13件)では、「原材料費の高騰」69.2%に続き、「従業員の確保・育成」53.8%、「製品・サービスの差別化」46.2%が選ばれました。
必要な支援では「人材確保・定着のためのコンサルティング」が53.8%と最も多く、興味のあるテーマでは「時代に合った商品の開発」53.8%、「OEMでの商品開発」46.2%が上位となりました。
3. 流通・小売(スーパー)
スーパー(12件)では、「原材料費の高騰」が83.3%で最も多く、「従業員の確保・育成」50.0%、「人件費の上昇」33.3%が続きました。
一方、必要な情報・サービスでは「商品開発に関する情報」66.7%、「コスト削減のためのノウハウ」「新しい顧客を獲得するためのマーケティング支援」がともに58.3%となっています。
興味のあるテーマでも、「競合差別化のためのブランディング」「時代に合った商品の開発」がともに58.3%、「ターゲット世代に合わせた商品の開発」が50.0%となりました。
回答数は12件と少ないものの、今回の回答では、店舗運営上のコスト・人材課題と、商品開発や差別化への関心が併存していることが分かります。
4. その他(化粧品・サプリメント等)
「その他」は137件と全回答の約半数を占めています。食品以外の化粧品・サプリメントなども含まれるため、食品業界の傾向とは分けて見る必要があります。
この区分では、「原材料費の高騰」67.2%が最も多く、「新しい顧客の獲得」41.6%、「新しい商品開発」39.4%、「製品・サービスの差別化」38.7%が続きました。
必要な情報・サービスでは、「コスト削減のためのノウハウ」43.1%、「商品開発に関する情報」42.3%、「新しい顧客を獲得するためのマーケティング支援」40.9%が近い割合となっています。
興味のあるテーマでは、「競合差別化のためのブランディング」48.2%、「時代に合った商品の開発」46.0%が上位となりました。
食品以外の事業者も含む結果ですが、今回の回答では、顧客獲得や商品開発、差別化といった成長につながるテーマが比較的多く選ばれています。
市場や消費者の変化を継続的に捉える
市場や消費者ニーズは常に変化しています。
今回のような食品事業者への定点調査に加え、消費者の購買行動や季節イベントごとの購買実態など、複数のデータを継続して見ることで、商品企画や販促の判断材料を増やすことができます。
ショクビズでは今後も、食品業界の課題や消費者の購買行動について調査を行い、食品事業者の商品開発・マーケティング・販促に役立つ情報を発信していきます。
▼2025年の調査結果をみる
https://shokubiz.com/9797/
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この記事のライター
ショクビズ編集部
企業の主な実績
オリジナルシールの企画・作成 10,000社以上
オリジナル紙箱・化粧箱・パッケージの企画・作成 11,000製品以上





