技術の発達で進化する「防災食品」。商品化のメリットや事例商品をご紹介!
目次
日本は海外に比べて自然災害の多い国です。ひとたび災害が発生すれば、多くの人は被災者となり避難生活を余儀なくされます。 そのような自然災害大国の日本で必需品なのが「防災食品」です。「備えあれば憂いなし」という言葉があるように、食糧を備えておけば災害が起こった時でも安心です。 そこで今回は、防災食品の最新情報や食品メーカーが参入するメリット、商品開発の参考となる商品を紹介します。
防災食品とは
防災食品とは、災害や紛争などの非常事態で、食糧の確保が困難になった時に役立つ食品です。「非常食」や「保存食」とも呼ばれ、各自治体の防災倉庫に備蓄されています。 代表的な防災食品としては、飲料水や乾パン、アルファ化米、缶詰、レトルト食品などが有名です。 農林水産省では、「最低3日分の備蓄食料品を」と呼びかけています。エネルギー源になる米はもちろんのこと、タンパク質が摂取できる肉や魚の缶詰、ビタミンが豊富な野菜ジュース、すぐに食べられる即席麺やレトルト食品の用意が推奨されています。 防災食品は電力やガス、水道が止まるのを想定して作られているため、常温で保存できるのがメリット。器具が調達できない屋外でも、簡単に調理できます。
日本は自然災害の被害が多い国、だからこそ防災食品を
日本は地形や気象などの条件から、自然災害の多い国として知られています。台風や大雨、洪水、土砂災害、地震、津波など、年間を通してさまざまな災害が発生するのが特徴です。 内閣府の調査では以下のようなデータが出ています。
世界全体に占める日本の災害発生割合は、マグニチュード6以上の地震回数20.8%、活火山数7.0%、死者数0.4%、災害被害額18.3%など、世界の0.25%の国土面積に比して,非常に高くなっている。 引用:内閣府 防災情報のページ
日本は世界でも有数の災害大国であり、常日頃から災害への備えをしておかなければなりません。よって防災食品は、非常に重要な役割を果たしています。
いま、防災食品の製造技術は進化している
防災食品と聞くと、乾燥したものや出来合いのレトルト食品を想像する人も多いのではないでしょうか。しかし最近は、研究・開発が進み商品のバリエーションも多様化しています。 例えば、森永乳業株式会社では、「災害時の非常食として活用したい」という声から、日本初の常温で保存可能な「森永とうふ」シリーズを開発。東日本大震災後から4年半の歳月を費やして誕生しました。 また防災食品だけでなく、災害時に活躍する「災害対応自販機」も登場しています。 災害対応自販機とは、自然災害や緊急事態で停電になった際に、飲料を無償提供できる自動販売機です。キー操作や専用ハンドルを回すと商品が取り出せ、災害時の水分補給に役立ちます。 このように、防災食品だけでなく、防災に対する意識も高まっています。
食品メーカーが防災食品に参入するメリット
食品メーカーが防災食品に参入するメリットを解説します。
日本では自然災害などで必要とされる機会が多い
日本は世界有数の災害大国であり、防災食品への感度は高いといえます。 矢野経済研究所の「防災食品市場に関する調査(2021年)」によると、2021年度の国内防災食品市場は、前年度比121.0%の313億円の見込みと発表。東日本大震災以降、災害への関心は高まっています。 今後は南海トラフ地震などの危険性も叫ばれていますので、防災食品の需要は高いといえるでしょう。
アウトドア、キャンプでのニーズ
防災食品は、アウトドア食品としても人気です。 釣りやキャンプ、登山など、アウトドアと災害用の備蓄を兼ねて、非常食を購入する人も一定数います。 最近は新型コロナウイルスの影響もあり、人との接触が少ないアウトドアが人気を集めるようになりました。ソロキャンプなどは、Youtubeなどの動画メディアでも人気のコンテンツとなっており、防災食品の紹介動画なども多くの方が視聴しています。 災害だけでなく、アウトドア向けの提案として、防災食品を展開するのもおすすめです。
自動販売機でも売りやすい
防災食品は、賞味期限が長く、自動販売機での導入に適しています。 いま、冷凍食品の自販機がトレンドとなり、食品に限らず様々な商品が自販機で買えるようになっています。その自販機での販売は、常温で賞味期限(使用期限)が長い商品が適しており、防災食品はぴったりです。 事例として、宮崎市稗原町のアウトドア・防災用品店「3field(スリーフィールド)」では、非常食を扱う自動販売機が設置されています。 ▼ 3field/災害対応自販機(facebook) https://www.facebook.com/3field/posts/854551281906898/ 防災食品の開発と同時に、自動販売機への商品展開も検討するのはいかがでしょうか? 冷凍食品の自動販売機については、こちらの記事も参考になりますのでご紹介します。 https://shokubiz.com/maker/3141/
進化する防災食品のおすすめ商品
最後に進化を遂げているおすすめの防災食品を紹介します。
防災にもギフトにもなるパッケージで人気、備えを贈るギフト「備え梅」
■画像引用元:備え梅(http://sonae-ume.jp/) 防災用の梅干しとして開発された「備え梅」。 大災害では、救援物資が配布されるまでに3日間(72時間)必要といわれています。備え梅は、物資が届くまでの時間をサポートしてくれるアイテムとして開発されました。 必要な塩分と栄養素を兼ね備えた梅干しは、農林水産省も推薦する食品です。備え梅は、飴玉サイズの小包装で持ち運びがしやすく、急な災害に対応できます。それを防災食品かつ、ギフトとして商品化した事例です。 日常的に食べ慣れている食品を備える「ローリングストック」にもつながり、購入のハードルも下がるのがメリット。そのニーズを汲み取り、自社商品を防災食品に対応できるか考えてみてください。
賞味期限63ヶ月「サントリー南アルプスの天然水2Lペット防災備蓄用」
大手飲料メーカーのサントリーでは、賞味期限63ヶ月の飲料水「サントリー南アルプスの天然水2Lペット防災備蓄用」を販売しています。 一般的な飲料水は約2年の賞味期限ですが、最近は5~10年の備蓄ができる飲料水が当たり前になってきました。 最大の特徴は、汲み上げた水を一切外気に触れさせることなく、クリーンな状態でボトリングしている点。安心安全な状態でお客様に届ける体制が整っています。 「長期保存」という点で、他社よりも期間を長くすることで、他社商品との差別化を行った事例です。
常温で6カ月保存できる赤ちゃんミルク「アイクレオ 赤ちゃんミルク」
■画像引用元:アイクレオ 赤ちゃんミルク|商品情報|ICREO/アイクレオ(https://cp.glico.com/icreo/products/akachan-milk/) 江崎グリコでは、常温で6カ月保存できる赤ちゃんミルク「アイクレオ 赤ちゃんミルク」を開発しました。日本初の乳児用液体ミルクとして発売され、防災食品としても注目を集めています。 母乳と同程度のミネラルやナトリウムを配合しており、乳幼児が美味しく飲めるように設計。飲み終えた後の捨てやすさも考慮した商品となっています。 乳幼児向けの防災食品という、これまで他社があまり商品企画の対象としていなかったターゲットに向けた商品を作ることで、ニッチなニーズに応えることができます。 お年寄りや障がい者、アレルギーを持っている方など、ターゲットを絞った商品開発を考えてみるのもよいのではないでしょうか。
日本初の常温保存可能な豆腐「森永とうふシリーズ」
■画像引用元:森永乳業 森永とうふ スペシャルサイト(https://morinaga-tofu.com/) 森永乳業株式会社では、「災害時の非常食として活用したい」という声から、日本初の常温保存可能な「森永とうふ」シリーズを開発しました。 原材料には遺伝子組み換えでない丸大豆を使用。無菌充填包装により、保存料は一切使用せず、誰でも安心して食べられる豆腐となっています。 この功績が称えられ、内閣官房・国土強靭化推進室が発行する「国土強靭化 民間の取り組み事例集」に選定。災害時でも活用できる食品として評価されています。 ▼森永とうふシリーズ https://morinaga-tofu.com/
アルファ米のパイオニア「尾西食品 アルファ米シリーズ」
アルファ米のパイオニアとして知られる尾西食品。アルファ米シリーズは、乾燥したお米にお湯を注いで15分待つだけで、炊き立てのご飯が食べられる画期的な商品です。 尾西食品では、避難生活が長引いても飽きがこないように、17種のアルファ米の商品(2022年10月現在)を販売しています。五目ご飯やカレーピラフ、ビリヤニ、ナシゴレンなど、日本料理だけでなく、海外のご飯シリーズも開発しました。 また2021年には、CoCo壱番屋(ココイチ)の監修を受けたカレーセットを販売。当初、年間10万食を目指していたところ大ヒットし、目標の3倍以上の売上を記録しました。
美味しい缶詰パン「新食缶ベーカリー」
アストは、業務用食品や非常食などを取り扱う食品メーカーです。中でも注目を集めているのが、賞味期限5年のパンの缶詰「新食缶ベーカリー」。缶入りとは思えないほどしっとりで柔らかく「美味しい」と好評を得ています。 こちらの商品は、缶の中で熟成・発酵・焼成しているため、非常に衛生的。ラインナップはプレーンやミルク、黒糖、メロンなど種類も豊富です。 また缶のまま日当たりの良い場所に置いておけば、温かいパンが食べられます。災害時でも温かいパンを食べられるのは、非常に良いアイデアといえるでしょう。
防災食品のニーズが高まるいま、防災食品を企画しませんか
自然災害の多い日本では、防災食品の重要性が叫ばれています。災害に備えて防災食品を備蓄する自治体も増えているため、参入の余地は十分にあるでしょう。 またローリングストックも根付いてきたので、日常的に食べ慣れている食品を、防災食品に転換させる商品企画も重要です。ぜひ本記事を参考に、防災食品の開発を検討してみてください。 ショクビズを運営する株式会社丸信では、商品企画のサポートやOEM商品を探せる「食品開発OEM.jp」を運営しています。これまでの経験や実績をもとに、食品メーカーや小売店向けの相談やサポートも承っておりますので、ぜひご活用ください。 ▼「食品開発OEM.jp」はこちら ▼防災製品に関する記事はこちら https://shokuhin-oem.jp/column/detail045/
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この記事のライター
ショクビズ編集部
企業の主な実績
オリジナルシールの企画・作成 10,000社以上
オリジナル紙箱・化粧箱・パッケージの企画・作成 11,000製品以上