食品メーカーが海外進出を成功させる5つのポイント!企業事例を元に解説

公開日:2024年7月15日 最終更新日:2024年8月27日

少子高齢化人口減少により、国内市場は縮小を続けています。
その解決策として、海外市場を狙っている食品メーカーも多いのではないでしょうか。
世界人口は2050年まで増え続けるとされ、大きな利益を生み出せるポテンシャルを秘めています。

そこでこの記事では、食品メーカー海外進出する際のポイントや成功事例について解説します。

国内市場が縮小し海外に目を向ける企業が増えた

日本では、食品関連事業の市場が飽和しつつあります。今後は少子高齢化により、さらに市場は縮小していくはずです。

また多くの食品メーカーは、原材料の多くを輸入に頼っています。輸入は為替相場の変動を受けやすいため、国内企業は商品の値上げや従業員の賃金カットなど、苦しい状況に立たされているのが事実です。

その現状を解決するために、海外進出を検討する食品メーカーが増えています。中小企業であっても、需要とマッチすれば大きな利益を生み出せます。実際に、町の小さな食品メーカーが、世界トップシェアを取っている事例もあります。

今後は国内市場よりも、海外市場に目をむける食品メーカーが増えていくはずです。 

食品メーカーが海外進出する4つの方法

食品メーカーが海外進出する方法は以下の4つです。

  1. 現地法人の設立する 
  1. 販売代理店に委託する 
  1. 商社や輸出業者へ代理販売してもらう 
  1. ECサイトを構築しネット販売 


それぞれについて、詳しく解説していきます。

現地法人の設立する

進出する国に工場や開発施設などの拠点を持ち、現地法人を設立する方法です。

初期費用はかかりますが、その分リターンは大きくなります。しかし失敗すると大きな負債を抱えてしまうため、入念な調査と下準備が必要です。
例えば、醤油メーカーのキッコーマンは、アメリカに生産拠点を置いています。そして現地の食文化に溶け込むことで、地域に根差した企業に成長しました。
現地法人の設立は大きな挑戦です。まずは進出する国に需要はあるのか調査し、入念な下準備を行いましょう。

販売代理店に委託する

進出する国の販売代理店と契約し、販売を委託する方法です。

現地に拠点を置く必要がないため、コストを抑えつつ売上を伸ばせます。また販売代理店に商品を卸すだけなので、売上が立つまでが早いのもメリットです。
そして販売代理店は、現地の情報に詳しいため、適切なマーケティング施策を打ち出してくれます。
ただし信頼できる販売代理店探しや、支払う販売手数料などについて、細かく考えなければなりません。さまざまなリスクやコストを考慮し、検討してみてください。

商社や輸出業者へ代理販売してもらう 

国内の商社輸出業者代理販売してもらう方法もあります。

特に大手商社は世界中にネットワークを持っているため、知識がなくても販売販路を拡大できます。また失敗しても負債を抱えにくいため、まずは小規模から始めたい食品メーカーにおすすめです。
ただしリスクが少ない分、リターンも減ります。また現地に対して、商品の魅力を伝えづらく、思ったように売上が伸びないケースもあるようです。
まずは商社や輸出業者ごとの特徴を見極め、信頼できる企業を探してみてください。

ECサイトを構築しネット販売

海外向けのECサイトを構築しネット販売する方法もおすすめです。

Web上で販売することにより、コストを大幅に抑えて海外進出できます。
販売する商品は「海外では手に入りにくいもの」を中心に取り揃えましょう。例えば、海外では日本酒が人気で、ECサイトでの売上を伸ばしている事例もあります。
ただし海外向けのECサイトは、現地の文化や法律、ルールなどを踏まえた上で構築しなければなりません。できれば、現地に詳しいWeb制作会社に依頼した方がいいでしょう。

 

食品メーカーが海外進出を成功させるためのポイント

食品メーカーが海外進出を成功させるためのポイントを解説します。

海外進出の目的を明確にする

まずは海外進出の目的を明確にしましょう。
海外進出は、なんとなくで成功するものではありません。入念に下調べをしても失敗するケースはたくさんあります。  

  • なぜ国内ではなく海外に進出するのか? 
  • なぜその国を選ぶのか? 
  • どのくらいの売上が見込めるのか?  


このように、海外進出の目的を突き詰めていくことが大切です。すると具体的な施策が立てられ、海外進出の土台となるはずです。

候補国の法律・食文化を下調べする

進出する候補国の法律食文化について、下調べをしておきましょう。

なぜなら、日本では考えられないような法律や食文化を持っている国がたくさんあるからです。
食品を販売するのに認証が必要だったり、宗教で食べられないものがあったりなど、さまざまな条件をクリアしなければなりません。
例えば、イスラム教を信仰しているムスリムの人は、「豚肉」と「アルコール」が飲食できません。ムスリムは東南アジアの人口の半分を占めるといわれています。そのため、東南アジアで豚肉製品を展開するのは難しいかもしれません。  

このように候補国について、入念に下調べしておくことが大切です。 

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信頼できる現地パートナーを見つける

海外進出する際に大切なのが現地パートナーです。

日本国内の市場を知り尽くした大企業であっても、海外は未知の世界です。信頼できる現地パートナーがいなければ、海外進出の成功はありえません。
現地パートナーは、さまざまな方法で見つけられます。

  • 海外展開支援機関からの紹介 
  • 国内銀行の海外支店からの紹介 
  • 海外進出している企業からの紹介 
  • 現地の商工会への参加 

 
例えば、日本貿易振興機構(ジェトロ)は、70ヶ所を超える海外事務所のネットワークを活かし、海外進出をサポートしてくれます。農林水産物や食品の輸出に特化しているので、大きな力となってくれるはずです。最終的には、現地に行ってパートナー候補と会い、本当に信頼できるか見極めることも忘れないでください。

国内マーケットで安定した売上を立てる

海外進出は多額のコストがかかります。すぐに黒字化できるわけではないため、現状の売上を安定させておく必要があります。
ギリギリの状態で海外進出すると、両方の資金繰りが苦しくなり、倒産するリスクも考えられます。
まずは国内マーケットで安定した売上を立て、小さく始めることが大切です。

なるべく現地視察をする

海外進出するなら、なるべく現地視察をしておきましょう。

なぜなら、ネットで調べた情報と現地で得られる情報に違いが生まれやすいからです。
実際に視察してみると、調べた情報と違ったり、実は需要がなかったりなど、生でしか得られない情報があります。
特に現地パートナーも検討している場合は、何度も訪問し、ヒアリングを実施しましょう。

 

海外進出を成功させた食品メーカーの事例

海外進出を成功させた食品メーカーの事例を紹介します。

各国の食文化に合わせた製品を展開する「味の素」

■引用元:味の素株式会社HP(https://www.ajinomoto.co.jp/

調味料メーカーの味の素は、世界130カ国以上の国と地域で事業を展開しています。

海外での主な事業は、「調味料」と「サイエンス」です。
調味料の分野では、現地の人の舌に合わせた調味料を開発しています。例えば、主力商品である「ほんだし」は、タイやベトナムで大きな売上を誇っているそうです。
また日本では取り扱いのない、即席麺やパンケーキの素など、海外独自の商品も開発しています。
このように国に合わせた商品開発は、世界進出をさらに加速させてくれます。

 

世界に醤油を広めた「キッコーマン」

■引用元:キッコーマン株式会社HP(https://www.kikkoman.co.jp/

醤油の世界シェアNo.1を誇っているのがキッコーマンです。
実は海外での売上が半数以上を占め、国内の売上を上回るほど好調といわれています。
なぜキッコーマンが海外市場で大きな伸びを見せたのか?
その理由は、アメリカでの事業展開です。戦後、多くのアメリカ人が来日し、醤油の美味しさに気づいていました。
そこでアメリカの国民食ともいえる「肉」を醤油で味付けしたものを店頭販売し、商品開発も積極的に行いました。その後は、「テリヤキソース」も生まれ、アメリカの食文化に定着しました。
最近は、お寿司をはじめとした日本食ブームが起こり、醤油の需要は高まっています。
このように、最初に進出する国をきちんと見極めることで、海外展開の成功確率が変わってきます。

 

カニカマ製造機で世界シェア7割を誇る「ヤナギヤ」


■引用元:株式会社ヤナギヤHP(https://ube-yanagiya.co.jp/publics/index/42/

山口県宇部市にあるヤナギヤは、「カニカマ製造機」の世界シェア約70%を誇っています。
従業員150名程度の小さな会社でありながら、世界で大きな反響を生んでいるメーカーです。
そもそも海外でのカニカマ消費量は、日本の約10ともいわれています。カニカマはヘルシーフードとして世界で受け入れられ、一時は大ブームとなりました。そのため、海外進出には大きなポテンシャルがあったのです。
同社はその流れに乗り、カニカマ製造機を発明し、時代の波に乗っていきました。現在では、アメリカをはじめ、欧米諸国や東南アジアなど多くの国から注文が入っています。

 

オンライン販売で販路を拡大した「アレン醸造所」

■引用元:ベアレン醸造所HP(https://www.baerenbier.co.jp/corp-summary/

クラフトビールを製造・販売しているべアレン醸造所は、オンライン販売に力を入れています。
べアレン醸造所は、2015年の「第一回世界に伝えたいクラフトビール」でグランプリを受賞しました。海外でも販売してほしいという声も多く、海外展開に乗り出したそうです。
そこで海外越境ECプラットフォーム「ZenPlusを活用し、海外市場にクラフトビールを展開。「ZenPlus」では、審査や初期費用も必要なく、海外発送代行なども行ってくれるため、海外進出のハードルも低かったそうです。
このように、リスクを抑えて海外進出する方法も参考になります。

 

現地の食材を活用し地産地消で勝負する「花善」

■引用元:株式会社花善HP(https://hanazen.co.jp/

株式会社花善では、現地の食材を使ったお弁当が反響を呼んでいます。
名物の「鶏めし」は、日本でも高く評価されており、駅弁大会に出場するほどの人気商品です。
そこで鉄道が発達しているフランスの首都、パリに進出。パリ・リヨン駅にEKIBEN ToriMeshi Bentoを出店し、現地の食材を使った「鶏めし」を販売しています。
実はパリ市内では、日本人が経営するお弁当屋さんがたくさんあるほど、和食文化が浸透しています。そのため、パリでも駅弁文化が根付く可能性があり、今後もお弁当の展開を見据えているそうです。

 

世界1,000店舗のFCを目指す「味千ラーメン」

■引用元:九州熊本豚骨 味千ラーメンHP(https://www.aji1000.co.jp/approach/

熊本生まれの「味千ラーメン」は、世界1,000店舗を見据えてFC展開をしています。
現在は海外に700店舗以上を展開し、世界のラーメン市場を牽引する存在です。しかも700店舗中、600店舗以上は中国にお店を構えています。
なぜ中国での展開が成功したのか?
その理由は、フランチャイズを定額制にしたことです。売上に関わらず一定の金額を支払うシステムなら、売上が伸びるほどオーナー側が儲かります。
これにより中国でのFC展開が拡大し、世界を代表するラーメンチェーンになりました。

 

海外進出は慎重に検討しよう

今回は食品メーカー海外進出について解説してきました。
国内市場が縮小する中、海外への進出を考える企業が増えています。
大企業だけでなく、中小企業にもたくさんのチャンスがあるはずです。

ぜひ本記事を参考の、海外進出の計画を立ててみてはいかがでしょうか。

 

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