福岡名産品の安全を守る!衛生管理の導入事例を紹介 

公開日:2022年11月7日 最終更新日:2022年11月4日

福岡を代表する名産品としては、いくつもの商品が思い浮かびますが、今回はその中でも「お茶」と「麺」に関する衛生管理の取り組み事例を紹介します。一つは八女茶のHACCP対応、もう一つがラーメン麺の微生物検査です。 

HACCP対応、最大の効果は「意識の向上」--JAふくおか八女

JAふくおか八女・八女茶加工センター(福岡県八女市)は、10年ほど前から独自基準の安全規格を運営してきたが、HACCP制度化が義務づけられたことを契機に、2021年9月にHACCPの要求事項を満たしたJFS-B規格を取得しました 

独自基準では、加工現場における定期的な衛生パトロールや課題の抽出、報告、改善実施などを、八女茶加工センターのみならず農産加工センターや選果場・集荷場・ライスセンターなどほぼ全ての施設で適用してきました。しかし、実際にJFS-B規格を取得するにあたっては、HACCPの要求事項との大きな差に戸惑いも。HACCPでは厳しくなる部分が多く、報告も多くなる。段違いにレベルが上がるので覚悟して取り組む必要があった」と担当の牛島氏は明かします。 

実際に厳しい審査を通り、無事に取得することになったが、最大の効果は「従業員の意識の向上」をあげます。「文書の件で何度か差し戻されたとき、協力してくれたり励ましてくれた仲間がいたから認証を取得できた協力関係が築けたからこそ現場で一生懸命に取り組んでもらえている」と感じています。 

JAふくおか八女の詳しい事例紹介記事はこちら

異物混入を完全シャットアウト--牛島製茶 

牛島製茶(福岡県八女市)は、茶園栽培から製造加工・販売に至るまで自社で一貫体制を築いている歴史ある製茶会社です。同社がJFS-B規格を取得したのは2020年1月。きっかけは原発事故で農作物に対するセシウムなど放射性物質による汚染が問題になってきたことでした。 

実際に認証を取得するにあたり、一般衛生管理として設備や使用器具の衛生管理や、従業員教育などを実施。7S(整理・整頓・清掃・洗浄・殺菌・しつけ・清潔)や食品の取扱環境の管理、従業員意識改革などを現場改善項目として掲げ実施しました。 

JFS-B規格を取得したことで、菌数検査や安全性チェックなど、HACCP運用のための日々の業務は、取得以前に比べると劇的に増加。それでも「目視検査にしても異物への意識の変化により、社内で異物を見つけることができるようになりました。以前よりクレームも激減しました」と効果はすぐに現れました。 

また、「従来は異物混入のクレームに私が頭を下げてきたのを従業員も見てきているので、頑張ってくれているのでは」と従業員の意識改革についても手ごたえを感じています。 

牛島製茶の詳しい事例紹介記事はこちら 

微生物検査を外注にシフトし業務効率化--麺史 

地元福岡の経済番組で“ラーメン王国・福岡を陰で支える製麺所”として話題の麺史(福岡市博多区)博多ラーメンの名店「博多一幸舎」の製麺部門を分社化する形で 2010 年に設立し、フルオーダー麺を最低ロット30玉から請け負うことで、小規模繁盛店の信頼を勝ち取り勢力を拡大しています。 

同社では麺の商品開発は新規受注ごとに行い、その都度、賞味期限の決定や製麺の衛生管理のために微生物検査を行ってきました。しかし、社内での微生物検査は「人員や工場内スペースの問題から継続することは難しく、悩んでいた」と言います。そこで、包装資材で取引のあった丸信(福岡県久留米市)の微生物検査サービスを利用、一般生菌・大腸菌・黄色ブドウ球菌を検査することにしました。 

もともと慶史で使用する資材や衛生用品などは丸信から仕入れているため、日頃、出入りする丸信の営業担当者に気軽に相談できたことが大きく、「依頼してから結果の速報が出るまでの期間が、従来お願いしていた専門機関より早く、費用も格段に安かった」とメリットを上げます。 

麺史の詳しい事例紹介記事はこちら 

 

記事制作:ショクビズ!編集部 
記事協力:食品衛生COM