デザイナーの視点!パッケージリニューアルで成功するために押さえておきたいポイント

公開日:2021年11月4日 最終更新日:2021年11月18日

商品の顔となるパッケージ。実は、全国的に知られているようなロングセラー商品でも、発売当時からパッケージが全く変わっていない商品はほとんどありません。むしろ、ロングセラー商品ほど、その時代に合った流行や獲得したいターゲット層に合わせて、デザインを少しずつリニューアルしています。

本記事では、デザインに関する「パッケージのリニューアル」について、当社のデザイナー視点から成功につなげるためのポイントを解説します。


リニューアルに至る主な動機を調査・分析!

当サイトを運営している丸信の営業・ディレクター63人を対象に、お客様からよく聞く「デザインリニューアルに至った主な動機」についてアンケートを取った結果、以下のランキングとなりました。上位3つの動機に関して、デザインリニューアルのポイントを解説したいと思います。

1位:製品の仕様が変わるから

仕様変更をきっかけに、デザインも変更しようというのはよくある流れだと思います。ここで考えたいのは“元のデザインの要素をどこまで残すのか”ということです。

旧デザインから大きく変更することは、これまでの固定客が離れてしまうリスクもあり、実際、アメリカのトロピカーナがパッケージをリニューアルした際、固定客が新しいパッケージに気付くことができず、売上が20%もダウンしてしまったという事例があります。

デザインを大きく変える理由に、例えば新たなターゲット層を獲得したいなどの明確な理由があれば、大胆なデザイン変更は正しい選択となり得ます。しかし、明確な理由のない変更は、これまでの固定客が離れてしまうリスクもあるのです。

 

デザインリニューアルは、商品販売において現時点で問題となっていることを解決する方法の一つです。その問題には「売上が落ちてきている」というものが多く、原因を細分化すると①商品の売りが伝わっていない、②使い方が分かりづらい、③買ってもらいたいターゲット層に注目してもらえていない、などが考えられます。

何のためにデザインを変更するのか、つまり解決すべき問題は何かを事前に明確にしておき、その問題解決を達成するためのデザインリニューアルでなくてはなりません。リニューアルの目的・軸が固まっていれば、「元のデザイン要素をどのくらい残すか」ということも自ずと決まってくるでしょう。

売上の伸び悩みから、新しいターゲット層の獲得を目的とする場合、その層に合わせた大きなデザイン変更も時として必要です。一方で、製品の仕様変更を伝えつつも固定客が離れてしまうリスク回避を重視する場合は、商品のロゴや全体的な配色など、視覚的にその商品と認識できる要素を残しておく必要があると思われます。

2位:見た目が少し古いから

見た目が古く感じてしまう一因として、かつての流行をデザインに取り入れたため、現在になってミスマッチとなっていることが挙げられます。この場合は“流行りのデザインにすること”が目的にならないように注意することがポイントです。

その時々の流行をデザインに取り入れることが悪い訳ではありませんが、多くの人に受け入れられやすいというメリットがある一方で、数年経てば「なんだか少し古い」と感じてしまうデザインになる可能性もあります。その商品の個性・売りを明確にした上で、どの部分(配色、書体、余白など)に流行を取り入れるのかを考えていく方法が良いと思われます。

■最近のデザインの傾向とは?

近年、生活空間に馴染むデザインが広がりを見せています。例えば、洗剤やティッシュペーパー、芳香剤など、長期間部屋に置いておく商品は、生活空間に馴染むデザインへとリニューアルされている傾向が強いようです。これまでの「日用品」としての役割に加えて、「インテリアとしての機能性」が消費者に重視されるようになったからだと考えられます。また、SDGsやサステナブル(持続可能性=長く使い続けられること)を意識したパッケージも続々と市場に広まっています。

3位:見た目が少し安っぽいから

安っぽく見えてしまう要因として①コピー文が多い、②賑やかなイラスト・画像の使用、③使用している色の多さ、などが挙げられます。もちろん、お手軽感やお得感を出すために、あえて賑やかなデザインにする場合もありますが、商品に高級感や洗練されたイメージを持たせたい場合、賑やかなデザインにすることはあまりおすすめできません。商品の特徴や内容を必要以上に盛り込むと雑多な印象となり、それが安っぽく感じられる要因となるからです。

安っぽいデザインから抜け出すには、デザインとして伝える要素をできるだけ絞り込むことが重要です。どんな目的で、誰にどんな時に買ってもらいたいのか、どのように使ってほしいのかなど、商品の詳細なコンセプトを明確にし、一番伝えたい要素は何であるかを絞りましょう。そうすることで、洗練された非日常感のあるデザインに仕上がります。パッケージが安っぽく見えてしまうことが問題ではなく、売り場や客層、コンセプトに合ったデザインにすることが重要です。

【画像左】情報が豊富で普段使いをイメージしたパッケージ

【画像右】シンプルで洗練されたパッケージ。贈り物などに向けた商品だとイメージできる

デザインリニューアルの流れをご紹介

当社では、主に営業もしくはディレクターがお客様からヒアリングを行い、デザイナーがその内容を元にデザインしています。ここで、デザイナーがどのようにデザインを作り上げていくのか、その流れを説明します。

まずは、営業・ディレクターからヒアリング内容を受け取ります。お客様からヒアリングで頂く情報は、デザインを考える上で非常に大切なものとなります。

例えば、もし皆さんが、仕事でお世話になった方にプレゼントを買うとしたら、すぐに「お店に行こう!」となるでしょうか?おそらく多くの人は、プレゼントを贈る相手の好きな食べ物や趣味、日頃身に着けている物の雰囲気などから大方の候補を考えて、どこのお店(あるいはどのエリア)で買おうなどと決めて行くと思います。

その他にも、その方の家族構成やプレゼントを渡す時季など、贈る相手に関する情報が多ければ多いほど、そのプレゼントが相手にヒットする確率は高くなるはずです。デザインも同じで、得られる情報が多ければ多いほど、方向性が定めやすくなります。

ヒアリングで頂く基本的な情報としては、①リニューアルしようと思った理由(どんな問題を抱えているか)、②ターゲット層(性別や年代)、③実際の購買層、④売り場、⑤価格、⑥容器や内容物、⑦製品についてのこだわり、などが挙げられます。

製品情報以外で大切となるもう一つの情報とは?

お客様からヒアリングした「製品そのものの情報」だけでも、デザインすることはできますが、消費者は必ず他の類似商品と比較して、どれを購入するか決めるため、それ以外の商品と比較されることを前提にデザインを考える必要があります。

そこで製品情報に加え、もう一つ大切な情報となるのが「市場の情報」です。市場の情報を調べることで、デザイナーはその製品のパッケージにおける“共通項”と“差別化のポイント”を分析します。

“共通項”とは、「その製品らしさ」です。例えばワインのラベルの場合「ワインらしいデザインはどんなものか」を探ります。まず、様々なワインのデザインを見比べ、どのような配色・書体・レイアウト・イラストが使用されているかといった共通項を見つけます。そして、この「ワインらしさ」を踏襲しつつも、製品を目立たせるための“差別化のポイント”を探っていきます。

市場の動向調査に関しては、案件の内容や希望納期などに応じて、必要と判断した場合に実施します。全ての案件に対して同等の調査を実施することはできませんが、お客様からのご要望や条件に応じて、最大限の分析を行います。

 

以上のように、デザイナーは「製品そのものの情報」と「市場の情報」を分析し掛け合わせ、デザインを制作していきます。

製品それぞれに異なった背景がありますので、一概には言えませんが、リニューアルの背景や製品の情報を元に、類似商品を調査・分析しながら、どのようなデザインがいいかを考えることがリニューアルを成功させるポイントとなります。