クラウドファンディングとは?食品メーカーのファン獲得・テストマーケティングの活用事例
目次
資金調達のひとつとして注目されている「クラウドファンディング」。プロジェクトを通じてビジョンや目標を共有し、共感した人から資金を募ることができます。 最近は、食品メーカーのクラウドファンディングも増えてきました。新規事業や新商品の発売と組み合わせれば、認知度拡大と売り上げアップを期待できるでしょう。 この記事では、クラウドファンディングの特徴やメリット・デメリット、食品メーカーの成功事例をご紹介します。
クラウドファンディングとは?
クラウドファンディングとは、実現したい目標を掲げて、それに共感した人から資金提供してもらえる制度です。「群衆(クラウド)」と「資金調達(ファンディング)」を組み合わせた造語で、通称「クラファン」とも呼ばれています。 資金調達といえば、金融機関からの借入をイメージしますが、クラウドファンディングは一般の人から資金を集められるのが特徴です。拡散性の高さやテストマーケティングに最適な側面もあり、個人だけでなく大手企業もクラウドファンディングを活用しています。 簡単に説明すると、起案者が「こんな商品を作りたい」「こういったビジョンで問題を解決したい」といった想いを発信し、「応援したい」と思った人が支援者となる仕組みです。クラファンの種類にもよりますが、起案者はリターンを用意し、支援者は金額に応じてモノやサービスを受け取ることができます。
クラウドファンディングの種類
クラウドファンディングの種類を解説します。 クラウドファンディングでは、様々なプラットフォームがありますが、プロジェクトの種類は主に下記3つのタイプに分類されます。 ■ 購入型 購入型クラウドファンディングは、プロジェクトの支援者に対して、商品やサービスがリターンされる仕組みです。起案者は金額によってリターンを設定し、支援者はお金ではなく商品やサービスを受け取れます。また起案者と支援者がつながれたり、新しい体験ができたりするのがメリットです。 ■ 寄付型 寄付型クラウドファンディングとは、プロジェクトに対して寄付する形のクラウドファンディングです。支援者に対してリターンはありませんが、お礼の手紙やプレゼントを受け取れる場合があります。 ■ 投資型 投資型クラウドファンディングとは、株式やファンドの仕組みを利用したクラウドファンディングです。支援者が起案者にお金を貸したり、株式を購入して分配金を受け取ったりできるのが特徴です。
クラウドファンディングの募集方式
クラウドファンディングの募集方式は「All-or-Nothing方式」と「All-in方式」の2種類に分けられます。 ■ All-or-Nothing方式 All-or-Nothing方式とは、プロジェクトの目標金額に達した場合のみ、支援金を受け取れる仕組みです。目標金額に届かない場合、資金は支援者に返金され、クラウドファンディングは終了となります。目標に1円でも届かなければ支援金は受け取れませんので、金額の設定は慎重に行いましょう。 ■ All-in方式 All-in方式とは、目標金額に関わらず支援された金額を全て受け取れる仕組みです。必ず資金提供されるのがメリットですが、起案者はプロジェクトを必ず実行しなければなりません。資金に余裕がある人には追い風となりますが、資金が無い場合はAll-or-Nothing方式の方が良いでしょう。
中小の食品メーカーがクラファンを行うメリット
中小の食品メーカーが、クラウドファンディングを活用するメリットを紹介します。
新規のファンを作れる
クラウドファンディングを立ち上げると、新規ファンの獲得につながります。なぜなら、プロジェクト自体がPRになるからです。話題になれば、SNSで拡散されたり、ニュースになったりして、認知度拡大に効果的です。 クラファンは資金調達をイメージしがちですが、実は資金の潤沢な大手メーカーも参入しています。それは商品の話題性を作り、新規ファンの獲得につなげているからです。 拡散力の低い中小企業であっても、魅力的な商品を作れば、一気に認知度を上げることができるでしょう。
販売前にユーザーの反応を知れる
クラウドファンディングは、テストマーケティングに最適です。商品を発売する前に、ユーザーのデータを取ることができ、一般販売へのステップをスムーズにしてくれます。 例えば、支援者の性別や年齢のデータを取り、企画を練り直したり、ブラッシュアップしたりするのもいいでしょう。データを元に、商品の改善やアプローチを変えれば、より効果的なマーケティングが行えます。 クラウドファンディングは資金調達だけでなく、マーケティング施策として活用できるのがメリットです。
在庫リスクの軽減
クラウドファンディングは、支援金に応じて商品やサービスを作ります。先行受注販売の仕組みなので、支援者の人数に合わせて商品を作るだけです。在庫を抱えるリスクも軽減でき、安定した供給を行うことができます。
食品メーカーにおすすめのクラウドファンディングサイト
中小企業や小規模事業者におすすめのクラウドファンディングサイトをご紹介します。
CAMPFIRE(キャンプファイヤー)
■ 引用元:プロジェクト掲載希望の方はこちら – CAMPFIRE(キャンプファイヤー)(https://camp-fire.jp/readyfor) CAMPFIREは、国内最大級のクラウドファンディングサイトです。「資金集めを民主化し、世界中の誰しもが声をあげられる世の中をつくる」をミッションに、個人から大企業まで多くの挑戦を後押ししてきました。 これまで6万件以上のプロジェクトが立ち上がり、790万人以上から610億円以上の支援が生まれています。クラファンサイトの中で特に知名度が高いため、初めてプロジェクトを立ち上げる人におすすめです。 CAMPFIREは、購入型クラウドファンディングを採用しています。起案者は魅力的なリターンを用意して、プロジェクトを立ててみてください。
Makuake(マクアケ)
■ 引用元:Makuake(マクアケ)(https://lp-mk-1.makuake.com)
Makuakeは、サイバーエージェントの子会社が運営するクラウドファンディングサイトです。購入型クラウドファンディングの中では、日本最大級のプラットフォームとして知られています。 そしてサイバーエージェントは、Amebaの運営元でもあります。Abema会員は3,000万人を超えており、ネットワークの広さを活かしたPR戦略を練ることも可能です。 さらに、プロジェクトのタグ検索は、「日本酒」「肉」「レストラン」といった細かいジャンルで設定可能です。食品ジャンルが充実していますので、プロジェクトも立てやすいでしょう。
READYFOR(レディーフォー)
■ 引用元:クラウドファンディングとは – READYFOR(レディーフォー)(https://readyfor.jp/crowdfunding/) READYFORは「社会派クラウドファンディング」と呼ばれ、社会貢献に関するプロジェクトを多く取り扱うクラウドファンディングサイトです。2011年3月にサービスを開始し「日本初のクラウドファンディングサイト」としても知られています。 READYFORは、寄付型のクラウドファンディングを採用し、社会貢献や公益的活動などのプロジェクトが豊富です。食品メーカーであれば、捨てられる食材を再利用した商品を開発したり、地方自治体とタッグを組んだりして、プロジェクトを立ち上げてみてはいかがでしょうか。
食品メーカーや酒蔵のクラウドファンディング活用事例
食品メーカーや酒蔵のクラウドファンディングの活用事例をご紹介します。 プロジェクトの商品企画や、ファンを巻き込むリターンまで、参考となる事例を集めました。
-2℃で味わう新しい日本酒体験!商品企画の新しさで注目された、雪どけ酒「冬単衣(ふゆひとえ)」
埼玉県にある石井酒造株式会社と、シャープ発の社内ベンチャー「テキオンラボ」が共同で立ち上げた、雪どけ酒「冬単衣(ふゆひとえ)」の開発プロジェクトです。 シャープの液晶技術から生まれた蓄冷材料を活用し、-2℃をキープできる保冷バッグを開発。氷点下で味わえる純米吟醸酒「雪どけ酒」の冬単衣(ふゆひとえ)をリリースしました。 新しい日本酒ジャンルに切り込んだ結果、目標金額100万円のところ1,900万円弱の資金調達に成功。同じお酒のジャンルでも、切り口を変えればヒットする事例として参考になります。 ▼引用元:クラウドファンディング ページはこちら -2℃で味わう新しい日本酒体験。雪がとけるように味わいが変わる「雪どけ酒」冬単衣(Makuake)
植物性食品サブスクを開始!サービス開始前に認知拡大とファン獲得に成功した「Grino」
サラダの定期配送事業を行うRed Yellow And Greenは、植物性食品に特化した定期配送サービス「Grino」のプロジェクトを立ち上げました。 「Grino」は、個人向けに調理済みの植物性食品を配送するサービス。全て植物性の食材で作られたレシピを提供し、和・洋・中と豊富なメニューのラインナップを用意しています。 Red Yellow And Greenでは、社会貢献活動にも力を入れ、売り上げの一部を気候変動や環境保護等に取り組む団体に寄付する活動も行なっています。 これが多くの人の共感を呼び、目標金額30万円のところ、最終的には70万円以上の支援金が集まりました。 ▼引用元:クラウドファンディング ページはこちら あなたとつくる。地球をすくう。おいしいプラントベースフードブランド【Grino】(CAMPFIRE)
ファンづくりに繋がるリターンがおもしろい、ノンアル&ローアルコールビール専門醸造所「CIRAFFITI(シラフィティ)」
日本初のノンアル&ローアルコールビール専門醸造所「CIRAFFITI(シラフィティ)」の立ち上げを目的としたクラウドファンディングです。
「日本には美味しいノンアルコールビールがない」 「飲めない人が居心地の悪い思いをしている」
このような背景から、プロジェクトが立ち上がりました。 起案者自身もお酒が弱く、飲めないことへのコンプレックスがあったそうです。そこで、もっとノンアルコールビールの幅を広げて、楽しく飲める人を増やしたいという想いから製造を決めます。 リターンは、支援者の名前を醸造タンクに印字したり、オリジナルラベルを作ったりと、起案者と支援者が一体となってプロジェクトを進められるものを用意。これが共感を呼び、目標金額200万円のところ、最終的には370万円以上の支援金が集まりました。 支援者もプロジェクトに参加できると、より共感を生みやすい事例として参考になります。 ▼シラフィティのリターン内容の抜粋。ファンづくりにつながるリターンがユニーク。 ▼引用元:クラウドファンディング ページはこちら ノンアル&ローアルコールビール「専門」醸造所で、シラフで楽しめる世界をつくる!(CAMPFIRE)
ECサイト開発を通してこだわりのブランド米を全国に
日本ではお米の値段が下がり続け、米農家は苦境に立たされています。そんな問題を解決するべく、優良な農家さんのお米を買い取り、品質に見合う適正な価格で販売するプロジェクトが立ち上がりました。 このクラファンでは、島根県飯南町産のコシヒカリ「娘を、よろしく。」の魅力をプレゼンし、多く人から共感を得ています。 またスポンサー形式のリターンも導入し、お米に同封するチラシにスポンサーの企業名や企業ロゴを掲載するなど、支援者にも大きなメリットを提示。その結果、目標金額100万円のところ、最終的に600万円以上の支援金が集まりました。支援者側の利益も考えることで、多くの支援者が集まった事例です。 ▼引用元:クラウドファンディング ページはこちら 【島根県飯南町産コシヒカリ】ECサイト開発を通してこだわりのブランド米を全国に!(CAMPFIRE)
美食の地であるバスクの地酒「チャコリ」を広めたい!
スペインとフランスにまたがるバスク地域は、世界中の美食家が集まる場所として知られています。バスクでは、特別なブドウを使った白ワイン「チャコリ」が製造されています。その「チャコリ」を日本で広めるために、プロジェクトが立ち上がりました。 リターンには、プロジェクトメンバーとのオンライン飲み会や、チャコリワイナリーとオンライン中継するなど、支援者もプロジェクトの一員になれるような仕組みを作っています。このようなファン作りをした結果、目標金額50万円のところ、最終的に200万円以上の支援金が集まりました。 ▼引用元:クラウドファンディング ページはこちら 楽しくて人がハッピーになるバスクの地酒「チャコリ」。日本でそのファンをつくりたい(CAMPFIRE)
受賞歴のあるシェフの大人の本命パフェ!リターンにVIP会員も
一流のシェフとして多くのファンを持つ金野周太朗氏。東京都板橋区に「パティスリーMAne」をオープンするにあたり、クラファンを立ち上げました。 リターンには、商品の提供だけでなく、ゴールド会員やVIP会員を用意。クリスマスやバレンタインデーのホールケーキ予約の確約権利や、数量限定の商品の特別枠を設けました。 その結果、目標金額100万円に対し、10倍以上の約1,100万円の支援金が集まります。 金野氏のケーキは予約が取りづらいことで有名です。リターンに会員制度を設けることにより、必ず購入したい人は支援してくれる仕組みで成功を収めました。 ▼引用元:クラウドファンディング ページはこちら 受賞歴あるシェフの大人の本命パフェ!こだわりのクッキー缶やVIP会員限定特典も!(Makuake)
クラウドファンディングを上手く活用しよう
食品メーカーはクラウドファンディングを活用することで、認知度拡大や売り上げアップを期待できます。またプロジェクトが多くの人の共感を生めば、目標金額以上の支援金を受け取ることも可能です。 ぜひ本記事を参考に、クラウドファンディングの計画を立ててみてください。
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この記事のライター
ショクビズ編集部
企業の主な実績
オリジナルシールの企画・作成 10,000社以上
オリジナル紙箱・化粧箱・パッケージの企画・作成 11,000製品以上