【連載第2回】フランチャイズ契約やキッチンカー購入は補助金の対象になる?

公開日:2021.05.13 更新日:2024.10.17
ライター:ショクビズ編集部

本連載では、コロナ禍で苦しむ中小企業の新規事業創出を支援する事業再構築補助金の動向について、株式会社丸信の補助金コンサルタント・福永が、最新情報や補助金のポイントなどについて紹介します。


コロナ禍の市場変化に対応するため、中小企業の新規事業や業種転換・業態転換を支援する事業再構築補助金。新たに事業を開始するにあたり、様々な設備投資や各種契約等が発生しますが、全ての費用が補助金の対象となるわけではありません。今回は、対象にならない事例を中心に解説します。

フランチャイズ化はOK、でも加盟料や不動産購入は対象外!?

事業再構築補助金の「よくある質問集」の中に「フランチャイズ化も対象となるのか。対象となる場合、加盟料も補助対象経費に含まれるのか。」(Q.38)という質問がありました。

これに対して、「フランチャイズ化することで事業再構築を行う場合は対象となり得ます。ただし、フランチャイズ加盟料は補助対象経費には含まれません。」と回答されています。

※「よくある質問集」
https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/qa.html

これはどういうことなのでしょうか。少しかみ砕いて説明すると、「コンビニや学習塾などのフランチャイズ化は補助金の対象になるものの、補助金の対象となるのは必要な建物や設備などの経費で、加盟料については対象外ということになります。

具体例に当てはめてみましょう。事業再構築の「新分野展開」として、フードチェーンへの加盟計画を立てるとします。その場合、事業を行う場所や設備が新たに必要となることが想定されますが、どの経費が補助金の対象として認められるのでしょうか。

  • 建物を建設するための費用 → 〇
  • 物件を購入・賃貸するための経費 → ×
  • 厨房設備の経費(機械装置費) → 〇
  • フランチャイズ加盟料 → ×

フランチャイズ加盟料が補助金の対象外となっている理由は、フランチャイザー(本部)が加盟を促すために営業活動で悪用する可能性があるから、とされています。ちなみにフランチャイズ加盟料は、「ものづくり補助金」や「小規模事業者持続化補助金事業」でも対象外となっています。

汎用性があるものは補助金の対象外

先日、キッチンカーを購入したいというお客様からご相談がありました。事業再構築補助金で経費として認められるかをコールセンターに問い合わせたところ、以下のような回答でした。

「キッチンカーは車両であり車両の購入費は補助経費として認められません。ただし、自動車をキッチンカーに改造するための費用なら認めらます。」

少し複雑な考え方ですね。経済産業省管轄の補助金(小規模事業者持続化補助金やものづくり補助金など)では、基本的に「汎用性のあるものは補助対象経費として認められない。」という見解になっています。キッチンカーに汎用性があるか否かは議論が分かれますが、ビジネス以外で自動車として使うことができるという見方をされているのでしょう。

ただし、「令和2年度第3次補正予算 小規模事業者持続化補助金低感染リスク型ビジネス枠」では、キッチンカーの購入費用がまるまる補助対象経費として認められるようですので、キッチンカーによる販路拡大を検討されている方は、こちらの補助金も選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。

同じ理由で補助対象経費として認められないものとしてパソコンやスマートフォンなどがあります。その他、対象とならない経費を下記に抜粋しておきます。

【対象とならない主な経費】

▽事務所等に係る家賃、保証金、敷金、仲介手数料、光熱水費
▽フランチャイズ加盟料
▽不動産の購入費、株式の購入費、自動車等車両(事業所内や作業所内のみで走行し、自動車登録番号がなく、公道を自走することができないものを除く)の購入費・修理費・車検費用
▽事業計画書 ・申請書・報告書等の事務局に提出する書類作成・提出に係る費用
▽汎用性があり、目的外使用になり得るもの(例えば、事務用のパソコン、プリンタ、文書作成ソフトウェア、タブレット端末、スマートフォン及びデジタル複合機 、家具等)の購入費
▽中古市場において広く流通していない中古機械設備など、その価格設定の適正性が明確でない中古品の購入費(3者以上の中古品流通事業者から型式や年式が記載された相見積もりを取得している場合等を除く) ほか

※詳しくは公募要項(※21ページ「以下の経費は、補助対象になりません。」)をご確認ください。
https://jigyou-saikouchiku.jp/pdf/koubo001.pdf

このように、全ての費用が対象となるわけではないため注意が必要ですが、実際には申請をしてみないと分からない部分もあるようです。6月中旬には第1次公募の採択結果が公表される見通しのため、結果を踏まえて改めて報告したいと思います。

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