食で地域活性化を実現した地方企業・自治体の事例10選

公開日:2024.10.15 更新日:2024.10.17
ライター:ショクビズ編集部

近年、地域の食文化や特産品を活かした地域活性化の取り組みが注目を集めています。 
食は地域の魅力発信において重要な役割を果たすツールです。土地の特色を活かした食での地域活性化は、多くの都道府県で展開されています。 
この記事では、食を通じて地域の魅力を発信し、経済や観光を活性化させている事例をいくつか紹介します。 

食と地域における関係性 

は地域の歴史と文化を語る上で欠かせないものです。  
地域ごとの気候や風土、歴史、文化が、その土地ならではの食文化を作り上げ、地域の「顔」や「個性」にもなっています。  
そして特産品や郷土料理は、地域の魅力を発信する大切な手段です。食を主軸に観光地化している自治体も多く、例えば「B級グルメ」をテーマにした地域はグルメイベントを開催し、日本全国から多くの人を集めています。 
こうした取り組みは、地元の産業や農業を活性化させ、地域復興につながるものです。

食品メーカーは市場拡大のために地域活性化に加わろう 

食品メーカーが地域活性化に取り組む最大のメリットは「市場拡大」です。 
地域の特色を生かした新商品を開発すれば、地元だけでなく、全国あるいは海外の市場にも販路を拡大するチャンスが広がります。 
特に「ご当地商品」や「地域限定商品」は、その希少性から消費者の注目を集めやすく、販売促進につながるはずです。 
また食品メーカーは地域と密接に関わることで、地域住民や地元企業と良好な関係を築くことができます。これにより企業が地域に深く根ざし、自治体からの協力を得やすくなります。 

食(グルメ)で地域・町おこしに成功した事例

食で地域活性化に成功した事例を紹介します。 

宮崎の顔となったマンゴー(宮崎県)

宮崎県の顔として知られるマンゴーブランドの「太陽のタマゴ」。今や全国から注文が殺到する人気商品となっています
30年前は、外国産の安いマンゴーが市場シェアを獲得していました。また国内産のマンゴーも、ほとんどが沖縄県産だったそうです。 
そこで宮崎の生産者たちは「完熟」にこだわり、自然に完熟したマンゴーを収穫する独自の技術を確立しました。 
その結果、沖縄産マンゴーとの差別化に成功し、高級ブランドとして全国に広まったのです。 

「島じゃ常識”サザエカレー”」が大ヒット(島根県隠岐郡海士町)


■引用画像:しまね観光ナビ 美肌県しまね うるおい研究室 HPより(https://www.kankou-shimane.com/bihadaken-uruoi/report/souvenir/59/)

島根県・隠岐諸島の海士町では、町外の人材を採用し商品作りを行っています。 
こちらでは「島民にはないアイデアを商品作りに活かす」という取り組みで、町の特産品であるサザエを使ったカレーを開発しました。 
もともと島では豊富に海産物が獲れるため、カレーにサザエを入れて食べるのが常識だったそうです。しかし、島外の人からみると珍しいカレーであり、結果的に商品化となりました。
このように地域の人だけでなく、客観的に物事を見られる地域外の人との連携も大切です。 

令和の虎で大注目「怪獣レモン」(広島県尾道市)


■引用画像:怪獣レモンオフィシャルサイトより(https://www.kaijulemon.com/)

怪獣レモンは、広島県瀬戸田産のレモンを使った商品を展開するブランドです。レモンの名産地として知られる瀬戸田のレモンを使用し、ジュースや調味料、スイーツなど幅広い商品を開発しています。 
ユニークなネーミングと、親しみやすく目を引く怪獣キャラクターのパッケージデザインが、他の商品との差別化となり、消費者の注目を集めました。 
また投資家から資金を募るYouTube「令和の虎」をはじめ、SNSや口コミを通じて話題となり、特に若年層を中心に人気が拡大。地元だけでなく、全国的にブランド認知度を高めたことも、成功の要因といえるでしょう。 

A級グルメ構想」で人気となった石見ポーク(島根県邑南町)


■引用画像:INAKAONLINE HPより(https://inakaonline.store/blogs/news/iwamipork?srsltid=AfmBOooTSBA31ODitugYaYYsZSh4U188PlFN1xPpiJj2Nw-GaMnhmyTT)

島根県邑南町では、地域の食文化を活かし、高品質な食体験を提供する「A級グルメ構想」を実践。高品質な豚肉「石見ポーク」をブランド化しています。  
石見ポークは「ケンボロー豚」という品種で、豚本来の旨味が強く、特に脂肪の質が高いのが特徴です。 
石見地方は美しい自然に恵まれ、豚肉の飼育に適しています。飲み水は地下水を利用し、餌にはトウモロコシや大豆粕を与えるなど、餌にもこだわっています。その結果、脂身の甘さと柔らかい肉質で臭みが少ない豚肉に仕上がったそうです。 
現在はインターネット通販やふるさと納税の返礼品としても提供され、全国展開を果たしています。 

ふるさと納税で日本一を連発(宮崎県都城市)

宮崎県都城市は、ふるさと納税で4度の全国1位を達成した実績を持つ自治体です。その理由は、ふるさと納税を単なる収入源ではなく、地域PRのツールとして打ち出したからです。 
「肉と焼酎のふるさと・都城」というキャッチフレーズで、特産品である肉と焼酎に特化した返礼品を提供。この戦略により寄付額は急増し、自治体としては異例の売上を達成しました。 
その結果「都城市は肉と焼酎が美味しい地域なんだ」という認知につながり、全国的な知名度アップにもなったそうです。 

B級グルメの代表「富士宮やきそば」(静岡県富士宮市)

静岡県富士宮市発祥の富士宮やきそばは、コシの強い独特の麺や肉かすなどが特徴のB級グルメです。 
地元の特産品をPRする「B-1グランプリ」での優勝により、全国的なブランドとなりました。 
加えて、地元の積極的なプロモーションや観光戦略も成功の要因です。富士宮市全体でやきそばを地域のシンボルとして位置づけ、飲食店やイベントを通じて継続的に発信しているのも強みといえます。 
これらがきっかけとなり、富士宮やきそばはB級グルメの代表的な存在となりました。 

街の雰囲気を利用した喜多方ラーメン(福島県喜多方市)


■引用画像:喜多方ラーメン案内所 HPより(https://kitakata-ramen.site/)

福島県喜多方市は、喜多方ラーメンを通じて町おこしに成功しています。 
喜多方ラーメンが人気になった理由はふたつ。 
まず、1970年代の「蔵のまち」ブームで喜多方が観光地として注目された際、地元で愛されていたラーメンが観光客に広まったこと。そして1980年代に地元の観光課が観光ガイドと連携してラーメンを全国にPRしたことで、メディアの注目を集めました。 
さらに、人気店「坂内」のチェーン展開が全国的な知名度を高め、今や日本三大ラーメンのひとつとして認知されています。 

国際貿易拠点で焼きカレーを開発(北九州市)


■引用画像:門司港レトロ 焼きカレーMAP PDFより(https://www.gururich-kitaq.com/wp-content/uploads/2022/12/yakicurry2022.pdf/)

福岡県北九州市では、門司港の地域活性化と観光PRのために、地元で愛されていた焼きカレーでのまちおこしを企画しました。 
地元の喫茶店で誕生したユニークなメニューで、通常のカレーにチーズや卵を乗せてオーブンで焼いた料理です。 
もともと門司港は、国際貿易が盛んな地域であったため、多くの洋食店が軒を連ねていました。 
そして2000年代に「門司港レトロ地区」が整備され、観光客が増加。地元グルメとして焼きカレーが注目され、各店舗が工夫を凝らして提供し、一気に認知度が高まりました。 

技術革新で日本一のレタスの産地へ(長野県川上村)

長野県川上村は、標高1,100m以上の場所にある冷涼な地域です。この村では、農業技術を最大限に活かし、レタス栽培で日本一に輝いています。 
日本一のレタスの産地となった理由は、標高1,000メートルを超える冷涼な気候と、水はけの良い土壌がレタス栽培に適していたためです。夏でも昼夜の寒暖差が大きく、品質の高いレタスが育ちます。 
その後、農業技術や効率的な流通体制が整備され、大量生産と安定供給が可能になり、全国的な知名度を獲得しました。 

道の駅で地域活性化に成功(宮崎県都農町)

■引用画像:九州・宮崎 道の駅つの HPより(https://michinoeki-tsuno.com/)

宮崎県都農町にある「道の駅つの」はオープン以来、黒字経営を続けています。 
道の駅つのでは、地元で採れる新鮮な農産物や海産物を販売。多くの観光客から支持されています。 
特に強みになっているのがトマトです。1年を通じて約30種類のトマトが店頭に並び、トマトの名産地として知名度を獲得しました。 
さらに、立地の良さや施設の充実度も観光客の増加の要因です。観光案内所や休憩スペースを備え、観光客にとって便利な立ち寄りスポットとして重宝されています。 

食を通じて地域を伝えていこう

今回は食を通じた地域活性化について紹介してきました。 
食品メーカーは、農家や飲食店、自治体と協力し、地域とのつながりを強化していくことが大切です。 

また自治体によっては、地域活性化に対する補助金が用意されている地域もあります。地域と連携して商品開発を行う場合、こういった補助金の活用も検討してみてください。

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