【採択事例】芋カフェ好調「茶花の里」、事業再構築補助金で2000万円、ポイントは補助金“脳” | ショクビズ!

【採択事例】芋カフェ好調「茶花の里」、事業再構築補助金で2000万円、ポイントは補助金“脳”

公開日:2024.01.05 更新日:2024.09.11
ライター:ショクビズ編集部

2021年春に第1回公募が開始された事業再構築補助金は、これまでの10回の公募で1.8兆円以上が割り当てられました。多くの事業者が同補助金を手にする中、なかなか申請するに至っていない事業者や、申請はしたものの不採択となり諦めた事業者も少なくありません。そのよう中、2回の不採択を経験しながら最終的には2,000万円補助金を獲得したのが株式会社茶花の里(福岡県久留米市)。代表の高良剛寿社長に補助金採択に向けた経緯やポイントなどについて聞きました。

※聞き手:株式会社丸信・補助金コンサルタント・福永晃大氏

対談インタビューの様子

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【企業データ】

社名:株式会社茶花の里

代表者:高良剛寿

住所:福岡県久留米市善導寺町303-28

主な事業内容:造園設計・施工事業、太陽光発電事業、直売所「茶花の里」運営、カフェ「imoya み乃う茶房」運営、農業など

▶ 株式会社茶花の里コーポレートサイト https://chabana.net/

▶ imoya み乃う茶房 https://minousabou.com/

茶花の里の高良社長

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福永 事業再構築補助金を申請するきっかけは何でしたか

高良 コロナ禍で主力事業の方で集客が減り、売り上げも落ちました。敷地内の建屋はイタリアンレストランにテナント貸ししていましたが、コロナ禍で客足が遠のき経営が厳しくなったため撤退されました。そこで、この建屋を有効活用することを考え、新規事業として計画し、事業再構築補助金の申請を決断しました。

福永 当初はどのような計画で申請されたんですか

高良 茶席に合うような和菓子をやってみようと考えました。久留米市の菓子組合と相談しながら、久留米産の和菓子を冷凍販売するお店を計画し、第5回公募に間に合わせようと申請を進めました。地域連携の事業であり社会貢献の側面があるので採択されると思っていましたが、結果は不採択でした。「大胆な事業再構築である」という評価もいただきましたが、理由は「自社の強みを生かした方が良い」「市場ニーズを考慮した方が良い」などのご指摘をいただきました。そこで、改善ポイントを考慮して、2回目もチャレンジすることにしました。

福永 評価ポイントがあるというのは惜しいということです。実際に2回目に向けてどのように取り組みましたか

高良 福岡県のプロフェッショナル人材センターに登録して店舗運営に精通しているコンサルタントに相談しました。その中で、既存の商品を並べただけのお店だと厳しいという意見があり、また不採択理由にもなっていた市場ニーズをリサーチしました。そこで出てきたのが「素材にに特化した専門店」にすることでした。そこから何の素材にするか検討をして、サツマイモにたどり着きました。たまたま久留米でサツマイモを生産している農家とお会いできたので、サツマイモの仕入から栽培まで多くのアドバイスをいただくことができたのも大きいです。

福永 サツマイモ栽培まで拡大するとはすごいですね

高良 所有していた土地の周辺が耕作放棄地になっていたので、社会課題の解決にもつながると思い、県の普及所に指導を頂き開墾しました。もともと造園業で重機などの機械を持っていたので5,400m2の広さで今年は9.5トンほどを収穫できました。

福永 具体的にはどのような新事業ですか

高良 テナント貸していた建屋を改装してカフェ「imoyaみのう茶房」を開店しました。サツマイモを使ったスイーツなどの加工品をを製造して、カフェでの販売のほか、ECサイトも構築して通販も展開しています。店舗オープンから2年目の今年にはサツマイモの生産から販売までできる体制を構築できました。現在は新たな商品開発や販路開拓やふるさと納税も申請中です。

サツマイモスイーツの人気店に成長

福永 実際に事業計画書の作成で大変だったことは

高良 ち密な事業計画が必要で、補助金の要件をおさえながら、どのように計画していくかを考えないといけません。数字の裏付けも必要です。芋カフェに計画を修正した2回目でも不採択になりましたが、申請した回によって審査の基準が違うと感じる部分もありました。また、電子申請の作業も慣れていなかったのでかなり手こずりました。補助金事務局が求める形式での見積書や領収証、振り込み証明など、通常業務では求められないよう資料の準備が必要でした。

福永 事前着手制度を利用しながら採択される前から新事業をスタートしたのも大変だったのでは?

高良 普通であれば採択されてから事業をスタートしますが、当社では採択されてもされなくても新事業をスタートさせるという方針でした。そのため、慣れない補助金申請の資料を作成しながら、新事業も進めていくことも大変でした。丸信さんのサポートがなかったら採択されなかったと思います。ちょうどサツマイモが第4次ブームになっていたので1年前倒しで新事業をスタートできたのは良かったと思います。

福永 事業再構築は最難関だと思うので、額が大きいだけに、国の審査が厳しいところですが、そこを乗り越えてようやく補助金の採択が決まりました。

高良 採択されたのはちょうど1年前。3度目の正直でした。計画書通りに事業を進めてきましたが、補助金採択後に行う交付申請は、書類の不備等で6回やり直しを要求されたのもキツかったです。今は実績報告の資料を作成している段階ですが、事業の証拠を提出して、その審査を経てようやく補助金が振り込まれます。この実績報告の作成も大変です。

福永 補助金採択は後払いと言うのはポイントですね。補助金のメリットはどこにあると思いますか

高良 補助金2,000万円は利益と考えることができるので、利益率が10%の企業なら2億円の売り上げに相当します。借り入れではなくいただけるお金だと考えると企業にとっては非常に大きい。忘れたころに振り込まれるので、そこで再投資したり、借り入れしていれば返済に充てたり、いろんな選択肢があります。

今回の補助金申請を経て、補助金“脳”になったのもメリットです。通常の仕事では求められない脳を使ったことで、会社にとってはノウハウが蓄積されました。ハードルが高かった分、クリアできて成長にもつながったと思います。

福永 補助金申請を検討している企業などにメッセージを

高良 補助金申請に割かれる時間や労力は大きいですが、採択されるとメリットは大きいです。ただ、大事なのは補助金を獲得することが目的ではなく、補助金を使って何をやるかをしっかり明確にすること。ここのゴールがないと僕も途中でくじけていたはずです。自分の会社や事業をどの方向に持っていくのか、最終的な目的を目指して取り組むのが良いと思います。

※敬称略

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