ものづくり補助金に採択されやすくなる!?経営革新計画をご存知ですか?

公開日:2023年1月6日

「経営革新計画」をご存知ですか?

会社の中・長期的な方向性を明確化するための経営計画を立て、社内で共有されている方は多いかと思いますが、「経営革新計画」を立て、承認を受けていらっしゃる方はあまり多くはないかもしれません。

実際のところ、経営革新計画の承認を受けている企業は、全国で10万社に満たず、意外と少ない印象を受けます。
下記リンクのように、現在の承認数は約10万社程度に留まっています。(令和4年3月末時点)

https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kakushin/download/shouninkensuu.pdf

日本の中小企業数は約360万社と言われていますから、単純計算で約3%しかとっていない計算になります。

経営革新計画は、社内向けにつくるいわゆる経営計画と響きは似ていますが、概念が全く異なるもので、国が推進する中小企業を支援する制度のひとつです。
具体的には、既にある事業所が「新しい事業を始めます!」「新たな取り組みを始めます!」という計画を都道府県知事に申請し、国や知事のお墨付き(認定)を得ることができるという制度です。
「経営革新計画」を立て、認定を得ることで様々なメリットを享受することができます。

 

経営革新計画のメリット例

補助金申請に有利
  • 経営革新計画の承認が要件の補助金・助成金の活用
  • ものづくり補助金などが採択されやすくなる
低利・長期で融資を受けられる
  • 日本政策金融公庫の特別利率による融資制度
  • 信用保証の特例
  • 商工中金の融資
  • 高度化融資制度
    ほか
投資を受けるチャンスが広がる
  • 中小企業投資育成株式会社からの投資
  • 企業支援ファンドからの投資
海外展開に伴う資金調達の支援措置
  • スタンドバイ・クレジット制度
  • 中小企業信用保険法の特例
    など
販路開拓を行う場合の支援措置
  • 販路開拓コーディネート事業
  • 新価値創造展
特許の優遇措置
  • 特許料の減免
都道府県独自の支援措置
  • 専門家派遣
  • 都道府県独自の制度融資
  • 表彰制度等

ものづくり補助金の審査の際に加点項目となり、審査に通りやすくなることは、補助金を申請する機会が多い人には良く知られています。

 

経営革新計画の制度趣旨について解説

では、なぜ国は経営革新計画という支援制度を設けているのでしょうか?

それは、中小企業が主導的に経営計画を策定し見直しを行っていくことが、事業リスク回避や経営課題の整理に役立つことが様々な調査から分かっているからです。

しかしながら、経営計画を策定している中小企業の割合は現状6割程度であり、経営計画の策定だけして実行に移せていない企業が半数近くにのぼるなど、大多数の中小企業において経営計画の活用がなされていないことも分かっています。
(出典:経済産業省2021年度版中小企業白書)

そこで国は、経営革新計画を提出し承認を受けた企業には経営が有利に進められるような支援制度を用意しているようです。
しっかりした経営計画を立てて、実行した者には様々なメリットを与えることで、計画の実行を促そうとしているのです。

経営革新計画では、国や知事のお墨付きを得るわけですから、単なる経営計画ではなく、「新事業活動」により「経営の相当程度向上」する内容を盛り込んだ事業計画を作成する必要があります。

具体的には経営革新計画は、下記の6つの類型のいずれかにあてはまれば申請することができます。

  1. ① 新商品の開発又は生産
  2. ② 新役務(サービス)の開発又は提供
  3. ③ 商品の新たな生産又は販売方式の導入
  4. ④ 役務(サービス)の新たな提供方式の導入
  5. ⑤ 技術に関する研究開発及びその成果の利用
  6. ⑥ その他新たな事業活動

とはいえ、「革新」と名前が付くくらいなのでハードルが高そうに感じられる方も多いのではないでしょうか!?

 

経営革新計画の「革新」の意味とは?

一見ハードルは高そうな経営革新計画ですが、他社がすでに採用している技術・方式などでも、自社にとって新しい取組であれば「革新的である」と認めてもらえることが多いようです。
※ただし、自社にとって新しい取組であっても、同業他社で相当程度普及しているありふれた活動であれば、それは新事業とみなされないので注意が必要です。

では、経営革新計画として承認されるような計画の具体例を見てみましょう。

【類型1】新商品の開発又は生産(→つまり新商品の開発)

例1: 大手メーカーの部品製造を中心に事業を営んでいた金属加工業者が、これまで培った技術を活かして、自社オリジナル家具を新たに開発する。
例2: 日本酒を製造していた醸造元が、自社生産の日本酒を使用した新しい洋菓子を開発する。

【類型2】新役務(サービス)の開発又は提供(→つまり新サービスの提供)

例1: 理髪店が、従来のヘアカットに加えて、男性のスキンケアに特化した新しいサービスの提供を開始する。
例2: 音楽教室が、時間指定のレッスンに加えて、受講生が自由に視聴できるレッスン動画を作成し、新たに提供を開始する。

【類型3】商品の新たな生産又は販売方式の導入(→今ある商品でも構わないが新しい生産や販売方法の導入)

例1: 板金加工業者が、新たな生産設備を導入することにより、これまで外注していた工程を内製化することで納期を短縮し、新規受注案件を増やす。
例2: 食品製造業者が、手作業で行っていた工程を機械化することで、生産量を増やすとともに、製造部門から営業部門への従業員の配置転換を行う。

【類型4】役務(サービス)の新たな提供方式の導入(→今あるサービスでも構わないが新しい提供方法を導入)

例1: 建物診断業者が、ドローン及び最新スキャン技術を使用した新しい診断方法を導入し、診断結果をクラウドで提供する新サービスを開始する。
例2: 飲食店が、店頭にテイクアウト専用の販売カウンターを設けることで接客スピードを上げるとともに、インターネットによる事前注文システムを導入する。

【類型5】技術に関する研究開発及びその成果の利用(研究開発)

例1: 介護用ロボットの利便性向上を図るための実証実験と研究開発を行い、その成果を元に新しい介護用ロボットの製造に取り組む。
例2: 希少金属を使用しない電子機器の開発技術について研究を行い、その成果を展示会等で公表して、新技術を活用できる業務提携先の獲得を目指す。

【類型6】その他新たな事業活動

例1: 原材料の新たな調達方法や、商品供給における新たな物流システムの導入
例2: AI(人工知能)の導入による経営管理業務の効率化
例3: 幹部社員育成のための専門分野についての研修制度の導入
例4: フェイスブックやインスタグラム等を活用した情報発信、顧客ニーズの把握等

★上記事例は、福岡県経営革新計画の手引きにモデル事例として掲載されているものです。
いかがでしょうか?工夫次第では御社の計画も承認されるようなイメージがついたのではないでしょうか?

 

経営革新計画を書いてみよう!テンプレートあり

以上のように、経営革新計画を立てることは、名前の響きから感じられるほどハードルが高いものではありません。計画を立て国に承認をもらうことができれば、自社にとって様々なメリットがたくさんあります。仮に承認を得られなかったとしても、経営計画を書類に落とし込む作業は、自社の貴重な財産になります。

また、補助金獲得のための準備にもなるというメリットもあります。というのは、経営革新計画でビジョンを中期事業計画に落とし込む作業は、補助金申請の際に求められる事業計画書の作成作業ととても類似しているからです。

経営革新計画で立てた計画をそのままものづくり補助金などの大型の補助金申請の事業計画書に利用することは十分可能ですし、逆に事業再構築補助金で立てた事業計画を、経営革新計画に書き換えるだけで承認を得られる場合なども十分考えられます。

経営革新計画は、各自治体や商工会議所等が全面的にサポートしてくださることが多いので最寄りの商工会議所などに相談されてみてはいかがでしょうか?

とはいえ、なかなかイメージがわかない、筆が進まないという事もあろうかと思います。

まずは、下記の経営革新計画の書き方を参考にしながら、イメージを膨らませ、可能であれば申請書類を作成してみてはいかがでしょうか。

※下記の経営革新計画は福岡県の様式を使用しています。
都道府県によっては様式が異なる場合もありますのでご注意ください。
様式は所属する自治体のHPからダウンロードしてください。


▼「経営革新計画」テンプレート ダウンロード(Power Point)

「経営革新計画」テンプレート

 

また、当社では、自社の経営革新計画の承認を受けた経験を活かし、お客様の経営革新計画の承認のサポートも行っています。

お取引先様の経営革新計画を承認に導いた実績もございます。お気軽にご相談ください。

 

 



株式会社丸信 補助金コンサルタント 福永晃大

 

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