徐々に普及が進む「シート食品」とは?食品ロス軽減、環境にも健康にも優しい商品!
紙のように薄いシート食品をご存知でしょうか? あまり馴染みのない食品ですが、取り扱いのしやすさや食品ロス削減の観点から、普及し始めています。 そして最近は、野菜を加工したシートの開発が注目を集めはじめました。この記事では、野菜のシート食品の特徴やメリット、食品メーカーの導入事例を紹介します。
シート食品とは?
シート食品とは、シート状に薄く加工された食品です。フィルム食品やカード食品と呼ばれることもあります。 ソースのような液体や、味噌のような粘度のある食品でもシート状にでき、さまざまな素材がシート状に加工されています。 例えば、ばってら寿司の上に乗っている昆布シートは、日本人に最も馴染みのあるシート食品ではないでしょうか。 そして最近は、100円ショップのダイソーで「やさいシート」が注目を集めています。捨てられるはずの規格外の野菜を原料にして作られており、さまざまな料理に使えると話題沸騰中です。 人参や南瓜、紫芋、ほうれん草など種類も豊富で、生春巻きの皮のような見た目をしています。 原材料は野菜と寒天のみ。化学調味料やアレルゲン、グルテンは不使用なため、子どもやお年寄りでも安心して食べられます。 そのまま食べてもよし、サラダやサンドウィッチに入れてもよし、使い勝手の良い食品として広まっていくでしょう。
野菜のシート食品を展開するメリット
食品メーカーがシート食品を展開するメリットを紹介します。
1枚のシートに栄養素が豊富
野菜の食品シートには、栄養素が豊富に含まれています。原料は野菜と寒天だけなので、アレルギーの心配もなく、食物繊維もたっぷりです。 例えば、株式会社アイルが製造・販売している「ベジート」は、60歳以上の女性で毎日普通サイズ1枚、男性で普通サイズ2枚摂取すると、1日の食物繊維不足分が補給できる量となっています。 参照:株式会社アイル その他にも、人参ならビタミンA、トマトならリコピンといったように、野菜の持つ栄養素も摂取できます。 現代人は野菜が不足しがちです。よって野菜シートが普及すれば、多くの人から支持される食品になるでしょう。
野菜嫌いの子供が食べられる
野菜シートは、野菜独特の匂いや味が少なく、野菜嫌いの子供でも美味しく食べられます。 実際にレシピ検索をすると、野菜シートを活用したお弁当や離乳食のレシピがヒットします。 野菜シートは野菜と寒天だけで作られているため、水に溶かせばジェル状になるのが特徴。離乳食だけでなく、介護食のニーズも巻き取ることができます。 野菜嫌いの子供や柔らかい食品を食べたい人に向けて開発すれば、多くの需要を取り込めるでしょう。
食品ロス削減(規格外野菜の活用)
野菜シートの多くは、規格外の野菜から製造されています。 普段は捨てられるような野菜を使っているため、食品ロス削減につながります。また規格外の野菜は価格が安く、生産原価で買い取れるため、生産コストも抑えられるのがポイント。 最近はSDGsの取り組みも重視されていますので、消費者からの支持も得られます。
輸送コストの削減・長期保存
食品シートは、厚さわずか0.1~0.3mm。紙のように扱えるため、輸送コストが削減できます。 また水分量が少なく、長期保存にも向いているのがメリット。災害で活躍する「ローリングストック」としても注目されており、穀物と同じように保存しておけば、もしもの時に役立ちます。 また災害食の多くは炭水化物です。生きるために最も必要な栄養素ですが、食物繊維が不足し便秘などを引き起こしてしまいます。実際に災害の現場では、被災者の便秘が問題になったという声も多いです。 野菜シートを災害食として取り入れれば、災害時の食物繊維不足を解消できます。
色鮮やかで見た目がいい
野菜シートは、素材そのままの色合いが活きているため、見た目から楽しめます。 料理は味だけでなく彩りも重要視されています。特に毎日料理する主婦の方は、お弁当のマンネリ化に悩みがち。野菜シートを活用すれば、彩りが良くなるだけでなく、野菜不足も補うことができます。 お弁当のマンネリ化を打破する手段として、野菜シートを活用する方は増えていくでしょう。
食品メーカーのシート食品の事例
シート食品を開発している食品メーカーの事例や、変わった商品の事例を紹介します。
野菜シートの先駆け「ベジート」
■画像引用元:野菜のシート「ベジート」 | VEGHEET official – ベジート ベジシート veggie sheet(https://www.vegheet.jp/) 株式会社アイルが手掛ける「ベジート」は、野菜シートの先駆けとして業界を牽引しています。 ベジートは100%植物性で、原材料は野菜と寒天のみ。1パックにレタス2.5個分の食物繊維が含まれており、野菜不足の人や子育て世帯から支持されています。 コストコやダイソーなどの量販店で販売され、海外にも進出する注目のシート食品です。 海外向けの商品は、オーガニック野菜を使用するなど、マーケティングにも力を入れています。 今後も野菜シート業界を牽引する存在として、国内外から注目される食品メーカーです。
大豆から生まれた「まめのりさん」
■画像引用元:大豆シート食品「まめのりさん®︎」|業務用商品|JOYL – J-オイルミルズ(https://www.j-oil.com/prosumer/mame/) J-オイルミルズでは、大豆(まめ)を加工した「まめのりさん」の販売が好調です。 まめのりさんは、大豆を原料としたシート食品。薄くてしなやかなので、巻いてそのまま食べるのはもちろん、揚げたり焼いたり蒸したりなど、さまざまな料理法で食べられます。 現在は(2022年11月時点)国内向け販売は終了しており、海外向け製品のみ販売しています。 売上の約60%は北米(アメリカ・カナダ)で、最近は中東やヨーロッパへの出荷量も増えています。海外はベジタリアンやビーガンの割合が多いため、大豆を活用した食品が話題になりやすいからです。 日本だけでなく海外にも目を向けることで、商品開発の幅が広がった事例です。
旬の野菜をシートに加工した「未来野菜」
■画像引用元:食べられる金の輝き「未来野菜」|株式会社橋口加工食品研究所|九州・長崎(https://www.hashiguchi-pfri.com/) 橋口加工食品研究所では、旬の野菜をシート状に加工した「未来野菜」を開発。2005年から研究開発を進め、野菜の色や風味を最大的に活かした野菜シートを作り上げました。 未来野菜は、野菜と寒天のみを原料とし、少量生産で一枚一枚丁寧に作られています。調理に向くように、柔軟性を持たせて、切りやすいシートに仕上がっているのもポイント。 その使いやすさから、外食産業の「新食材」として和食や洋食を問わず、活用の幅が広がっています。一般家庭だけでなく、外食産業への営業も成功の要因といえるでしょう。
ばってら寿司の「昆布シート」
シート食品と言えば、ばってら寿司の昆布シートを想像する人も多いのではないでしょうか。 昆布シートは、寿司の上に載せるだけでなく、サラダやスープなど活用の幅が広い食品として根強い人気があります。 昆布は日本人に馴染みのある食品なので、受け入れてもらいやすいのがメリット。一般の方は購入する機会はありませんが、「とろろ昆布」など、他の商品に加工して販売するのもおすすめです。
簡単に卵が巻ける「オムライスシート」
オムライスシートとは、オムライス用の薄焼き卵です。 冷凍で販売されており、冷蔵庫内で解凍後、そのまま使えるのがメリット。凍ったまま湯煎したり、業務用スチームコンベクションで加熱したりなど、加熱方法もさまざまです。 薄焼き卵なので、細切りにしてちらし寿司や巻き寿司に使うのもいいでしょう。卵製品を取り扱っている企業は、ぜひ参考にしてみてください。
高まる食品シートのニーズ!商品開発に活かしては
食品ロス削減の観点から、原材料の有効活用法としてシート食品のニーズは高まっています。 また彩りも良いため、料理のマンネリ化も減り、食事を楽しいものにできます。将来的にはシート食品アーティストなども誕生するのではないでしょうか。 ショクビズを運営する株式会社丸信では、商品企画のサポートやOEM商品を探せる「食品開発OEM.jp」を運営しています。これまでの経験や実績をもとに、食品メーカーや小売店向けの相談やサポートも承っておりますので、ぜひご活用ください。 ▼「食品開発OEM.jp」はこちら
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この記事のライター
ショクビズ編集部
企業の主な実績
オリジナルシールの企画・作成 10,000社以上
オリジナル紙箱・化粧箱・パッケージの企画・作成 11,000製品以上