食品ロス削減と業務効率化が両立できる食品の「年月表示」とは?「消費期限」「賞味期限」を考える
日本の食品廃棄物は年間2550万tで、このうち「食品ロス」による廃棄量は年間612万tにもおよびます。まだ食べられるのに廃棄処分されてしまう「食品ロス」を削減しようと、食品の「消費期限」「賞味期限」表示を日単位から月単位に変更する食品メーカーが増えています。月単位の表示はどのようなルールなのでしょうか、また、どのようなメリットがあるのでしょうか。
切り替え進む食品表示の「年月」表示
「消費期限」「賞味期限」の違い
まずは「消費期限」「賞味期限」の違いについておさらいします。何に関するいつまでの期限を表しているのかみていきましょう。 品質(状態)が急速に劣化する食品は、安全性を欠くこととなる恐れが無い期限である「消費期限」を表示します。弁当、調理パン、そうざい、生菓子、食肉などがこれにあたります。 一方、それ以外の比較的品質が劣化しにくい食品には、美味しく食べることができる「賞味期限」が表示されるのが一般的。スナック菓子、即席めん類、缶詰、牛乳などです。 ちなみに、「賞味期限」「消費期限」ともに開封前の期限ですので、開封後は「お早めにお召し上がりいただく」ことが推奨されています。
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製造日から3ヵ月以上が対象
では、いま話題になっている「年月表示」ができるのは、どのような食品でしょうか。消費者庁の公式サイトには以下のような賞味期限に関するQ&Aがあります。 Q.賞味期限として「年月日」を表示しているものと「年月」までしか表示していないものがありますが、どうしてですか? A.通常、消費期限又は賞味期限は「年月日まで表示しなければなりませんが、賞味期限を表示すべき食品のうち、製造日から賞味期限までの期間が3箇月を超えるものについては、「年月」で表示することが認められています。 食品表示基準Q&A – 消費者庁 つまり、製造から3ヵ月以上先の日付が期限として設定している食品は「年月」の表示だけでOK。例えば、賞味期限が「2021年6月30日」の表記は「2021年6月」となります。 スナック菓子や缶詰などは年月表示が可能となります。
年月表示は在庫管理にもメリット
月単位での表示を行うことにより賞味期限は月末まで延びるため、食品ロスの削減が期待できます。また、配送や在庫などの管理がしやすくなるため、業務の効率化も図ることができそうです。 大手食品メーカーが相次いで年月表示に切り替えており、こうしたメリットが周知されることで、今後は中小メーカーへも一気に広がる可能性があります。 食品ロス削減は、国連が掲げる持続可能な開発目標「SDGs」でも重要課題に掲げられているテーマ。食品メーカーにとって年月表示は比較的容易に取り組めますので、SDGsに向けても、まずは食品業界で出来ることから始めてみてはいかがでしょうか。
食品ロスに関するお役立ち情報サイト
▼「もったいない!食べられるのに捨てられる食品ロスを減らそう」 https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201303/4.html 食品ロスの現状や問題点を紹介する政府の啓蒙サイトです。 ▼「食べもの余らせん隊(たい)!」 https://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/amarasentai.html 食品ロスを減らす「福岡県食品ロス削減県民運動」の一環として、食品ロス削減に取り組む飲食店、宿泊施設、食料品小売店を「食べもの余らせん隊」として登録し、その取組を広く県民に知らせる福岡県の啓蒙活動です。 ▼#元気ただきますプロジェクト https://www.kokusan-ouen.jp/ 新型コロナウイルス感染症の影響で行き先を失っている国産食材を通販で購入すると送料分が無料なるプロジェクト。コロナ対策と食品ロス削減を兼ね備えた政府の取り組みです。 ▼食品表示.COM https://hyouji.maru-sin.net/ 食品のシール・ラベル・パッケージなどに関する食品表示について、最新情報や表示のノウハウなどをわかりやすく解説している情報サイトです。
この記事のライター
ショクビズ編集部
企業の主な実績
オリジナルシールの企画・作成 10,000社以上
オリジナル紙箱・化粧箱・パッケージの企画・作成 11,000製品以上