【連載第3回】売上減少要件は満たしやすく、EBPM 協力で加点も。2次公募の変更点
本連載では、コロナ禍で苦しむ中小企業の新規事業創出を支援する事業再構築補助金の動向について、株式会社丸信の補助金コンサルタント・福永が、最新情報や補助金のポイントなどについて紹介します。
話題の事業再構築補助金は5月20日に2次公募の内容が公表され、同26日から申請受付が開始されました。1次公募から変更になっている部分がいくつかあり、今回は“売上減少要件”を中心に変更点について解説します。
売上減少幅の大きい任意の3カ月が選べる
新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて売上減少となっていることが、事業再構築補助金の要件の一つ。売上減少要件の対象月の選定について、1次公募では「申請前の直近6か月」でしたが、2次公募では「2020年10月以降の連続する6か月から任意の3か月を選ぶ」に変更されました。
1次公募は申請月が4月だったため「申請前の直近6か月」で特に問題ありませんでしたが、2次公募の申請月は5月26日~7月2日となったことから表現が変更されました。例えば、6月に申請する場合、対象となる期間は「2020年10月~2021年5月」で、この期間の中から連続6カ月の区間を選び、さらにその中から、前年同月比と比較(1月~5月は2019年との比較も可能)して減少幅の大きかった3つの月を選ぶことができます(図参照)。
飲食店の場合、年末年始(12月~1月)はコロナ直前の2019年12月~2020年1月と比較し、すでにコロナ禍で緊急事態宣言下にあった4月は2年前の2019年と比較することで、売上減少要件を満たしやすくなります。
この他、「緊急事態宣言特別枠」でも2つの変更点がありました。
・「緊急事態宣言特別枠」の売上減少要件の対象月が、3回目の緊急事態宣言に合わせて、「1月~3月」⇒「1月~5月」に変更
・「緊急事態宣言特別枠」の事業計画書の枚数は「15ページ以内」⇒「10ページ以内」に変更
事業計画書作成の負担が減ることで、申し込みがしやすくなっています。※緊急事態宣言特別枠は第2回公募までで申し込みが終了する予定であり、第3回目以降は応募がない可能性が高いことにご注意ください。
補助金効果検証の協力約束で加点
2次公募では、新たな加点要件も追加されました。経済産業省が取り組むEBPM(Evidence-based Policy Making:エビデンスに基づく政策立案)に対する協力です。電子申請システムで該当項目にチェックすることで簡単に登録できます。
ものづくり補助金では、2020年6月に経済産業研究所(RIETI)が政策的効果を科学的に分析してまとめた報告書を作成しました。おそらく、事業再構築補助金でも同様に科学的な手法で効果検証を行うことが推察され、協力する企業は審査で加点するという判断になったのでしょう。
補助金は交付されると毎年の事業化報告が義務付けられますが、EBPMへの協力を申告すると、加点されるのと引き換えに、通常の報告内容に加え、事業内容や従業員の労働時間など、より詳細なデータの提出を求められることが考えられます。
ただし、申告しておきながら協力を拒むようなことがあれば、交付が取り消しになる可能性もゼロとはいえません。報告するための詳細データの準備にも手間がかかるので、この辺りのリスクや労力も考慮に入れて慎重に検討してみてください。
この他に、2次公募で新たに「ただし、前公募回の採択結果が公表されるまでの間は、システム上で申請を受け付けることはできませんので、ご注意ください」という一文が追加されました。1次公募の結果が出るまでは、2次公募の受け付けができないようです。
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