食品業者必見!5月31日までに対応必須!食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度とは? | ショクビズ!

食品業者必見!5月31日までに対応必須!食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度とは?

公開日:2025.02.12
ライター:ショクビズ編集部

2025年6月1日で完全移行する「食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度」。食品を取り扱っている事業者の皆さん、準備はお済ですか?

今製造されている食品が、より安全性の高い状態で消費者の手に渡るようにと、製造時の食品用器具や商品が直接触れる容器包装の安全性を考え、作られた制度です。

では、どのような内容でどのような対応が必要なのでしょうか?

食品ポジティブリスト制度とは

食品と接触する可能性のある食品用器具・容器包装について、安全性を評価し使用を認められた物質や使用可能な量などの条件をまとめた一覧表(ポジティブリスト)を作成し、それ以外の使用を原則禁止するという規制の仕組みです。略してPL制度とも呼ばれています。

制度の概要と目的

安全性が評価され、使用が認められた物質をリストにしたものが「ポジティブリスト制度」です。2020年(令和2年)6月1日に施行されました。

2018年6月に改正された食品衛生法に基づき導入されたもので、使用が認められた物質以外は原則禁止です。アメリカ、EU、中国なども同制度を取り入れていることを鑑み、国際的な整合性により食品輸出への促進と安全性のガイドラインにすることが目的です。

経過措置期間は2025年5月31日です。

施行前に流通等していた食品用器具・容器包装と同様のものは、経過措置期間中についてポジティブリストに収載しているものと見なされ、使用・製造が可能です。
ただし、情報伝達などの義務は同様に課されます。記録や保存が義務づけられているのも同様です。また、施行後5年間の経過措置期間を過ぎれば、ポジティブリストに収載されていない物質は使用できなくなります(※経過措置期間中に製造されたものは可)。
食品衛生法第83条では、ポジティブリストの規定に反した場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処する旨が定められています。

制度を簡単に説明すると

国際的な基準に合わせて安全な食品を作り売りましょうというものです。

たとえ輸出をしなくても観光客以外にも日本に居住する外国人の数は2.5%で、増加傾向にあります。そういった観点からも国際基準を重視した食品製造は重要なことです。

食品を安全に口にするためには、食品だけでなく、食品と接触する可能性のある食品用器具や容器包装も安全なものでなければなりません。

そこで「食品用器具・容器包装のポジティブリスト」を作り、これ以外を使用しないでくださいねというルールです。

ポジティブリスト制度の対象となる物質

合成樹脂の原材料である基ポリマーや添加剤などが対象物質です。

・基ポリマー:合成樹脂の基本となる化学物質のこと

・添加剤合成樹脂の物理的・化学的性質を変化させるために最終製品中に残存することを意図して用いられる物質を指します。

ポリマーとは?

ポリマーとは、多数の繰り返し単位で作られた「モノマー(単量体)」が化学的に結合してできた、分子量の大きな化合物(高分子化合物)のことです。

同種類の分子が多数結合して高分子となるとき、結合前の小分子を「モノマー」といいますが、それに対して複数のモノマーが重合した化合物をポリマーといいます。

▼ポジティブリストでは、基ポリマーごとに「食品区分」「最高温度」「合成樹脂区分」が設定されます。

【参考】

消費者庁「食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度について」参考別表第1[分割版]第1表(1)より抜粋

https://www.caa.go.jp/policies/policy/standards_evaluation/appliance/positive_list/assets/000625496.pdf

▼原材料として混入される添加剤についても合成樹脂区分ごとに使用の可否や使用制限が記載されています。

【参考】

消費者庁「食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度について」参考別表第1[第2表]より抜粋

https://www.caa.go.jp/policies/policy/standards_evaluation/appliance/positive_list/assets/000625500.pdf

▼ポジティブリストの確認は消費者庁HPで

【参考】消費者庁「食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度について

ポジティブリスト制度の対象

ポジティブリスト制度は、食品用器具・容器包装のうち、合成樹脂製のものが対象となります。具体的には、以下のようなものが含まれます。

ペットボトルやラップなど幅広く使用されていることから公衆衛生への影響も大きく、欧米などの諸外国において問題視されていることが主な理由です。

  • 食品容器
  • 包装材
  • 調理器具
  • 食器

食品事業者が対応すべきこと

  • 自社製品の原材料・添加物の確認
  • ポジティブリスト適合製品への切り替え
  • サプライチェーン全体での情報共有体制構築
  • 記録・管理体制の整備

事業者に求められる具体的な対応

適正製造管理規範(GMP)の厳守

食品用器具・容器包装製造業者は、製造管理に関する省令で定められた基準に従い、適正製造管理規範の厳守が必要である。

事業者間の情報伝達

製造業者から食品販売業者へ、食品用器具・容器包装がポジティブリストに適合していることを説明することが義務づけられている。

器具・容器包装製造事業者の届け出

合成樹脂製器具・容器包装の製造・加工業者に対して、各都道府県(管轄の保健所)への届け出が義務づけられている。

気になったので市の保健所に聞いてみた!Q&A

実際に、気になるものがあったので、直接、保健所の窓口に問い合わせてみました。

果物に直接貼るシールについて

Q : メロン皮部(可食部でない)に貼付するシールチップの食品接触面について、ポジティブリストに対応する必要があるか。

A : 皮部(可食部でない)を食品としないような通知等は確認できないためポジティブリスト対応が望ましい。

ケーキについて

Q :  ケーキピックは容器包装に該当するのか。

A :  食品衛生法上の容器包装に該当する。

Q : 断面が食品に接触する場合、断面からの滲出もポジティブリストに係るのか。

A :  ケーキピックに限り断面は、食品接触面としてみなさない。

多層構造の端面が容器包装のごく一部として露出している場合、意図的に食品に接触させるものではないと考えられ、食品接触面としてみなさないものとして扱う。
(ポジティブリスト制度のQ&A No.15参照)

また、紙部については合成樹脂でないため、ポジティブリスト対象ではなく、法改正(ポジティブリスト設定)以前から、「器具及び容器包装の規格基準 A 5」により、規定されている。

Q: 食品接触面のみがポジティブリスト対象か。

A: 食品接触面のみがポジティブリスト対象だ

実はこれも?対象の可能性が高いもの

気を付けておきたいのが、「もしかして」という対象になる可能性が高いものです。注意が必要なものの一部を上げます。

水道用ホース

食品工場などで使われている水道用ホースは、用途によってポジティブリストの対象になります。

対象 → 原材料に使用する水を運ぶ

非対称 → 清掃用に使用するのみ

ポンプパーツ

食品工場などで見かける食品を輸送するポンプは、ポンプの中に樹脂パーツがある場合ポジティブリストの対象になります。

対象 → 樹脂パーツが原材料に接触する

非対称 → 樹脂パーツが原材料に直接接触しない

食品を直接包む又は敷く等の紙は多く使用されていますが、合成樹脂のコーティングがされている紙は全てポジティブリストの対象になります。

対象 → 直接接触する

非対称→ 直接接触しない

判断のポイント

いずれも判断は以下の通りです。

・食品に直接触れる、使用するかどうか

・原材料の一部の食材に直接触れるかどうか

まとめ

食品ポジティブリスト制度を遵守するために必要なことを今一度確認することが必要です。

ポジティブリスト制度は、食品製造・加工・調理・輸入・流通・小売を含む食品関連業務に携わる全事業者に適用されます。事業規模の大小に関係ありません。
事業者に求められる具体的な対応を今一度読み、5月までに備えましょう。

■経過措置期間は2025年5月31日です。

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