代替タンパク質とは?健康と環境に配慮した新しい食材と企業事例 | ショクビズ!

代替タンパク質とは?健康と環境に配慮した新しい食材と企業事例

近年、健康志向と環境への配慮が高まる中、「代替タンパク質」が注目を集めています。
代替タンパク質とは、従来の動物性タンパク質に替わる新しいタンパク源のことです。これらの食材は、動物性食品に比べて環境への負荷が少なく、栄養面でも優れていることが魅力です。
この記事では、代替タンパク質の特徴や食品メーカーが参入するメリット、企業の取り組み事例を詳しく紹介します。

代替タンパク質とは

代替タンパク質とは、従来の動物性タンパク質に替わる新しいタンパク源を指します。主に植物由来の食品(豆類や穀物)昆虫、さらには細胞培養によって作られる「培養肉」などが含まれます。
代替タンパク質は、動物性食品と同じように筋肉の成長や体の修復をサポートするだけでなく、環境負荷が少ないのが大きな利点です。温室効果ガスの排出や水の使用量を大幅に抑えることができ、持続可能な食生活に貢献できます。また、食べ物にこだわりのあるヴィーガンやベジタリアンの方にも人気です。
今後、健康と環境の両方に配慮した選択肢として、代替タンパク質の需要はさらに高まっていくでしょう。

なぜ代替タンパク質が注目されているのか?

代替タンパク質が注目される理由は、持続可能な食糧供給に大きく貢献できるからです。
世界人口は2050年に、100億人を突破するといわれています。世界人口が増加する中、従来の動物性タンパク質の生産は、限られた資源を大量に消費してしまうのが問題でした。
例えば、牛や豚などの畜産業は大量の水や飼料を必要とし、温室効果ガスの排出も問題視されています。
一方で代替タンパク質は、植物や培養肉、昆虫などを利用するため、生産にかかる資源が少なく、環境への負担を大幅に削減できます。
より少ない資源で効率よくタンパク質を供給できるので、人口増加に伴う食糧不足の解決策として期待されています。未来の食糧需要に応えるため、代替タンパク質は重要な役割となってくるはずです。

代替タンパク質は何種類ある?

代替タンパク質は何種類ある?

代替タンパク質の種類をまとめて紹介します。

植物ベースタンパク質

植物ベースタンパク質は、豆類や穀物、ナッツ、種子など、植物由来の食品から得られるタンパク質です。
動物性タンパク質と同様に、筋肉の成長や体の修復を助ける栄養素を含んでいるだけでなく、コレステロールがなく、食物繊維やビタミン、ミネラルも豊富に含まれているのが特徴です。
また植物ベースの食品は、健康志向の人や、ベジタリアン、ヴィーガンにも支持されています。動物性食品に代わる選択肢として、植物ベースタンパク質は今後注目されるはずです。

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細胞培養肉タンパク質

細胞培養肉タンパク質は、動物から少量の細胞を採取し、それを培養して作られる新しいタンパク源です。
従来の畜産とは異なり、動物を育てたり屠殺したりせずに肉を生産できるため、倫理的で環境に優しい方法として注目されています。
従来の肉と同じような栄養価や食感を持ちながら、生産にかかる資源を大幅に削減できる革新的なタンパク源といえるでしょう。

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発酵由来タンパク質

発酵由来タンパク質は、微生物の発酵によって作られる新しいタンパク源です。
微生物が糖やデンプンを発酵させる過程で、栄養豊富なタンパク質が生成されます。伝統的な発酵食品の技術を活かしつつ、未来の食糧供給を支える革新的な方法です。
特に日本は、味噌や醤油、納豆などの発酵食品文化が根付いており、その技術が非常に発展しています。今後は発酵技術を応用する形で、発酵由来タンパク質の生産にも強みを発揮できるでしょう。

昆虫由来タンパク質

昆虫由来タンパク質は、昆虫から得られるタンパク質のことです。昆虫は栄養価が高く、特にタンパク質やビタミン、ミネラルが豊富で、地球に優しい食材として注目されています。
牛や豚などの畜産に比べて、少ない水や飼料で育つため、環境への負担が少ないのがメリットです。
最近は、昆虫を原料としたプロテインバーや粉末など、手軽に摂取できる商品も登場しており、今後さらに普及が進んでいくでしょう。

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代替タンパク質市場に参入するメリット

代替タンパク質市場に参入するメリット

食品メーカーが代替タンパク質市場に参入するメリットを解説します。

市場拡大による売上確保

世界的に健康志向や環境意識の高まりにより、持続可能で栄養価の高い代替タンパク質の需要が急増しています。特にプラントベースフードや培養肉、昆虫食などは、ヴィーガンやベジタリアンだけでなく、一般消費者の間でも人気が高まってきました。
地球環境に優しく、持続可能な生産方法が注目されているため、消費者からの需要は今後も増加が見込まれます。
また、サステナビリティに取り組む姿勢をアピールすることで、消費者からの信頼や支持を得られ、企業のブランド価値を高められるのもメリットです。

将来的なリスクヘッジになる

代替タンパク質市場に参入すると、従来の動物性食品に依存したビジネスモデルからのリスク分散につながります。
動物性食品の生産は、環境への負荷が大きく、今後、気候変動や環境保護の観点から規制が強化される可能性があります。もし新しいルールが導入されると、畜産に依存した企業は影響を受けてしまうかもしれません。
そこに代替タンパク質を取り入れることで、将来的な規制にも柔軟に対応できる体制を整えられるはずです。

多様なニーズに対応できる

代替タンパク質は、ベジタリアンやヴィーガンといった食事制限を持つ人々に加えて、健康やダイエットに関心のある消費者にも支持されています。
従来のラインナップに加えて、代替タンパク質を取り入れることで、新しいニーズに対応できるでしょう。
多様なニーズに対応すれば、ブランドの魅力が広がり、新たな市場の開拓にもつながるはずです。

代替タンパク質が抱える課題やデメリットとは?

代替タンパク質が抱える課題やデメリットについて解説します。

開発コストが高い

代替タンパク質の開発にはコストがかかります。特に、培養肉や昆虫などの新しい技術を用いた食品は、技術面での研究や製造設備に多額の投資が必要です。
さらに大量生産が可能になるまで時間がかかるため、従来の動物性食品と比較してコストは高くなる傾向があります。
ただし政府の支援や消費者からの需要が高まれば、より安価な生産が可能になります。時間と技術革新が、コストの壁を乗り越えるカギとなるでしょう。

法的な承認の整備が進んでいない

代替タンパク質が抱える課題のひとつに「法的な整備が進んでいない」という点があります。
特に、新しい技術を使った培養肉や昆虫食などは、従来の食品とは異なるため、明確なルールがまだ整備されていないケースがあります。
この法的な未整備は、企業が新商品を開発する際のハードルとなり、普及を遅らせる原因になるかもしれません。

消費者の認知度が低い

代替タンパク質は、まだ一般的ではありません。特に培養肉や昆虫食などは、馴染みがないため、購入をためらう消費者もいるはずです。
また、代替タンパク質のメリットや栄養価についての情報が十分に伝わっていないことも、普及が進みにくい要因です。
この課題を解決するためには、まず消費者への情報提供やPR活動が必要となります。広告やキャンペーンを通じて、代替タンパク質の健康効果や環境への貢献をわかりやすく伝えていきましょう。

代替タンパク質市場に参入しているスタートアップ企業

代替タンパク質市場に参入しているスタートアップ企業をまとめて紹介します。

大豆ミートの専門メーカー「ネクストミーツ」

ネクストミーツ
■画像引用元:PRODUCTS | Next Meats(https://www.nextmeats.co.jp/product

ネクストミーツは、大豆ミートを中心に扱う食品メーカーで、プラントベースの代替タンパク食品を開発しています。
動物性タンパク質に代わる美味しくヘルシーな選択肢として、ヴィーガンやベジタリアンはもちろん、健康志向や環境意識の高い消費者からも人気です。
同社の人気商品には、大豆ミートの「NEXTバーガー」「NEXT牛丼」などがあり、従来の肉に近い食感や風味を再現し、一般の消費者にも受け入れやすくなっています。
ネクストミーツは、日本国内のみならず海外市場にも展開しており、環境保護や動物福祉にも貢献するスタートアップ企業として、今後さらに注目されるでしょう。

大学と連携して細胞培養肉を開発する「インテグリカルチャー」

インテグリカルチャー
■画像引用元:IntegriCulture Inc.(https://integriculture.com/

インテグリカルチャーは、細胞培養技術を用いて食肉を生産するバイオテクノロジー企業です。
大学と連携して「細胞培養肉」の開発に取り組んでおり、持続可能な食肉生産の実現を目指しています。
細胞培養肉は、動物から採取した細胞を培養し、食肉を生成する技術です。インテグリカルチャーは独自の技術を活かし、コスト削減や生産効率の向上を目指しています。これにより、将来的にはリーズナブルな価格の細胞培養肉を提供できるでしょう。
インテグリカルチャーは、食糧問題解決に向け、重要な役割をはたしてくれるはずです。

牛や鶏の細胞の培養に成功した「日本ハム」

日本ハムは、牛や鶏の細胞培養に成功し、細胞培養肉の研究開発を進めています。
特に注目されているのは、培養液に使われる高価な動物血清の代わりに、食品成分を活用する技術を開発した点です。これにより、コストが大幅に下がり、培養肉の商業化に一歩近づきました。
将来的に持続可能なタンパク質の供給を実現し、食糧問題の解決につながると期待されています。

大豆由来の植物肉を開発する「DAIZ株式会社」

DAIZ株式会社
■画像引用元:DAIZ | 植物肉のスタートアップ | PLANT-BASED FOODS(https://www.daiz.inc/

DAIZは、大豆由来の植物肉を開発している食品メーカーです。
独自の「落合式発芽技術」を活用して発芽させた大豆を使用し、通常の大豆よりも栄養価が高く、肉に近い食感と風味を再現しています。この技術により、植物ベースのタンパク質の新たな可能性を広げました。
現在は、健康志向の消費者やベジタリアン、ヴィーガンの間で高い人気を集め、多くの食品メーカーや外食チェーンにも採用されています。

コオロギ食のベンチャー企業「グリラス株式会社」

グリラス株式会社
■画像引用元:Gryllus Inc – 株式会社グリラス(https://gryllus.jp/

グリラスは、徳島大学発のベンチャー企業で、主にコオロギを使った食品を開発・販売しています。
コオロギは、高タンパクで栄養価が豊富なだけでなく、育成に必要な水や飼料が少ない、大注目の食材です。同社は、食糧問題や環境負荷の軽減に貢献する新しいタンパク源として、コオロギ食の普及に力を入れています。
コオロギのパウダーやプロテインバーなど、さまざまな商品を展開。コオロギを使用することで、持続可能な食生活を提案し、世界的な食糧不足の解決にも取り組んでいる企業です。

代替タンパク質市場は拡大を続けている

代替タンパク質は、動物性食品に代わる新しいタンパク源として注目されています。代替タンパク質市場に参入すれば、売上拡大やリスク分散につながるメリットもあります。
今後は消費者への教育やPR活動に積極的に取り組み、代替タンパク質の認知度を高めていくことが大切です。

この記事のライター

ショクビズ編集部

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