【連載第5回】変容する中食業界で生き抜く惣菜戦略 ~生鮮部門のお惣菜~ | ショクビズ!

【連載第5回】変容する中食業界で生き抜く惣菜戦略 ~生鮮部門のお惣菜~

公開日:2024.07.20 更新日:2024.09.03
ライター:ショクビズ編集部

スーパーでは素材販売優先の青果・精肉・鮮魚の生鮮部門があるが、一世帯人数の減少などにより、キャベツ丸ごと、お肉の塊、丸魚などの消費は年々減少傾向にある。さらに生活環境の変化により、炊事の時短など簡便性を求めるお客様にとって、より加工度の高い素材を望む声が増えている。

生鮮部門としても現状維持の内容では、年々前年の実績を維持することが難しく、スーパーの実績を確認しても、2023年既存店ベースではあるが、生鮮3部門で前年比101.5%、これは生鮮各部門での惣菜売上を含めた実績で何とか面目は保たれているようだが、惣菜部門としては相変わらず順調に推移し前年比104.4%の実績となっている。

新規の店舗を拝見すると、益々素材の加工度は上がり、青果では千切りキャベツなどのカット野菜コーナーが充実し、お肉はそれぞれの調理に合わせた味付けがされ、鮮魚では週末・イベント日の寿司コーナー業績は大きい。

更に青果売場ではカット野菜からのサラダづくり、カットフルーツなどの品揃えも増え、精肉売場ではお鍋のセットや炒め物キットも充実して来た。鮮魚売場ではパエリア・アヒージョキットや店内パン粉付けの商品も増え便利になった。ここまでは良いのだが、それぞれの部門で惣菜部門と同じように加熱機器を設置し、各一人程度の担当者での惣菜製造は生産性も悪くおすすめしない。

生鮮部門がテナント方式なら理解できるが、問題は生鮮部門直営の場合で惣菜部門があるにもかかわらず、である。常々惣菜部門はスーパー店内販売商品の有料試食販売、と申し上げている。生鮮部門での素材加工、惣菜を製造するなら、最優先で店内の素材を使用したい。

青果部門であれば、鮮度のよい葉物に美味しいトマト他彩り野菜をトッピングする。最近は食べなれない珍しい野菜も増え、少しずつでも盛合せしたサラダも欲しい。果物も同様に比較的高価なさくらんぼやびわ、パパイヤやドラゴンフルーツなども、季節ごとにご試食程度に盛り合わせた商品の品揃えは欲しい。夏の蒸しとうもろこしも冬の焼き芋同様、必須のアイテムとしたい。

精肉では輸入肉や黒毛和牛、ブランド豚や鶏肉を、日替わりで今日のステーキはコレ!今日の煮物はこの肉、など売場商品と分かりやすい配置で購買層が広がりやすい。売れ筋のローストビーフ、ホテルレストランに匹敵する素材、設備はあるのでリーズナブルな価格対応でチャレンジして欲しい。

鮮魚では、鮭・鯖・烏賊など馴染みのある魚種は別としても、アマダイやカワハギ、そして地魚などは、このお魚をフライに、煮物に、など分かりやすく陳列販売すれば大幅な業績アップにつながる。

いずれにしても、ますます需要の増える惣菜、購買層の幅を広げる工夫が欲しい。(つづく)

【連載第4回】変容する中食業界で生き抜く惣菜戦略 ~外食からの気づき~

<プロフィール>

成田廣文(成田惣菜研究所所長/ナリタヤ代表取締役)

大学卒業後、アメリカを視察。コンビニンスストアトいう業態を知り感動する。1974年実家の鮮魚店を食品スーパーに業態変更して開店。77年食品スーパーの売上が半減、利益確保の手段としておにぎり、サンドイッチなどから惣菜の販売を開始。89年全国スーパーなどから、問合せが殺到。コンサルタント業務を開始。94年成田惣菜研究所を設立。顧客企業はスーパーなど全国800社に上る。自らも惣菜店を経営するかたわら、惣菜コンサルタントとして地方を飛び回る。成田惣菜研究所においての基本は『手づくり』。自営業者としての生き残り策の模索が、結果的に他にない実践的な惣菜ノウハウにつながり、今や、“日本一の惣菜コンサルタント”として時代に求められている。※お問い合わせはこちら

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