お客様ニーズに連動してスーパーの総菜売場スペースは益々拡大傾向にあり、これに連動するかのように大量生産された総菜工場からの品揃えが増え、他の部門同様、品揃えの豊富さでの差別化が優先されている。
外食と同じくくりである食の外部化としての総菜、美味しさの指標としての出来立て作り立てでは圧倒的に総菜は力及ばずで、その付加価値に大きな差がある。最終的にはその価値を落として、値引き販売という形で最終処理をしなければならない状態にもある。
作り置きが主体の総菜に、出来立て作り立てを追求することは困難を要するが、手数が限られる中でも益々総菜ニーズは高まるばかり、改めて店内加工の惣菜作業の見直しから改善、改革をすすめて行かなければならない。
さすがに総菜の半額シールを見ることは少なくなったが、計算されつくした戦略としての割引ならある程度許されるところがあるが、一般的には無造作な品揃え、作業の優先順位による人的な要素がほとんどで、常々値引き・廃棄は作る方が無責任と申し上げている。
値引き・廃棄で売上の10%前後と慢性化した回答が返ってくるが、1日1万円でも年間を通した金額では平均年収に近づく額にもなる。10店舗前後になると毎年新築のお家が建てられるほどの金額にもなり、余りにももったいない。
まずは店内加工惣菜、ABC分析を今一度検証し、売上構成比2%前後のAランクの売れ筋アイテムは値引きする必要はない。売場を埋めるためとなれば量目のバリエーションSKUをしっかりと品揃えし、閉店近く迄品揃えされていなければならない。日々の特売アイテムも同様に、夕方に欠品しているようでは販促をするメリットが薄い。更に販売時間をより長く、開店時の品揃えは必須とし、徹底した個性づくりも優先させなければならない。
Bランク一般的に売上構成比1%前後のアイテム、出来る限り季節感のあるアイテムを優先させたい。夕方5時くらいまでの品揃えの製造量に調整したい。Cランクは売上構成比0.5%未満、品揃えアイテムとして仕入の工場製品となり、店内加工でこのランクに入るアイテムがあってはならない。
ひとり分の食事としてのお弁当などのランチメニュー、午前中製造は午後3時迄に売り切れる程度の製造量で調整し、午後対応での主食系製造にチャレンジしたい。生産効率のよい鰻重同様、海老天だけの天重、かつ丼をかつ重に、のり弁の中身を大幅にグレードアップした海鮮重などから取り組みたい。特に惣菜の中では出来立て感が伝わりやすく、単価の比較的高い主食系をしっかりと取り組み、更なる業績アップに貢献させたい。夕方の値引き、夕方の出来立て感、手不足だからこその優先順位を問いたい。(つづく)
<プロフィール>
成田廣文(成田惣菜研究所所長/ナリタヤ代表取締役)
大学卒業後、アメリカを視察。コンビニンスストアトいう業態を知り感動する。1974年実家の鮮魚店を食品スーパーに業態変更して開店。77年食品スーパーの売上が半減、利益確保の手段としておにぎり、サンドイッチなどから惣菜の販売を開始。89年全国スーパーなどから、問合せが殺到。コンサルタント業務を開始。94年成田惣菜研究所を設立。顧客企業はスーパーなど全国800社に上る。自らも惣菜店を経営するかたわら、惣菜コンサルタントとして地方を飛び回る。成田惣菜研究所においての基本は『手づくり』。自営業者としての生き残り策の模索が、結果的に他にない実践的な惣菜ノウハウにつながり、今や、“日本一の惣菜コンサルタント”として時代に求められている。※お問い合わせはこちら
この記事のライター
ショクビズ編集部
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