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食品スーパーでは、売れ残った商品を割引し「見切り販売」することがあります。 売上の底上げや食品ロス削減につながるため、多くの店舗で採用されている販売手法です。 この記事では、見切り販売のメリットやデメリット、見切りを削減するコツをまとめて紹介します。 効率的な見切り販売をしたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
見切り販売とは
見切り販売とは、売れ残った商品の価格を下げて販売する取り組みです。 【見切り品になる商品】
- 賞味期限が近い
- 傷や劣化などがある
- 棚落ちになった
食品スーパーやドラッグストアなどの小売店では、廃棄になる前の商品を見切り販売しています。 また3〜4月、9〜10月は棚替えがあるため、多くの棚落ち品が発生します。これらは見切り販売され、場合によっては ネット販売に回されることも。売れ残った商品を売り切る手段として、多くの小売業で取り入れられています。
日本における食品ロスの現状
食品ロスとは、まだ食べられるのに捨てられてしまう食品です。 特に日本の食品ロスは、世界の中でも多いといわれています。 令和3年度の食品ロス量は523万トン。 このうち食品関連事業者から発生する事業系食品ロス量は279万トンにも及びます。参照:農林水産省 国際連合で定められた「持続可能な開発目標(SDGs)」の目標のひとつに、「小売・消費レベルにおける 世界全体の一人当たりの食品廃棄物を半減させること」があります。 特に食品スーパーは人々の食生活に密着した存在です。よって食品スーパーが主体となり、食品ロス削減に 取り組んでいかなければなりません。 関連記事 食品メーカーの食品ロス対策の取り組み事例10選 次に、食品スーパーが見切り販売を行うメリットとデメリットを紹介します。
食品スーパーの見切り販売のメリット
まずは見切り販売のメリットを紹介します。
食品ロスの削減になる
まだ食べられる食品を販売すれば、食品ロス削減につながります。 特に食品スーパーは、多くの食料品を扱っているため、食品ロスの量も膨大です。 例えば、傷んだ野菜の食べられる部分を切り出して見切り販売すれば、購入につながります。 中には、見切り野菜を集めて「鍋セット」「野菜炒めセット」などに加工・販売している店舗もあります。 このように、見切り販売を工夫すれば、食品ロスの削減につながるはずです。
利益の確保につながる
商品を捨てるより、価格を下げて販売した方が利益の確保につながります。 食品業界では、売れ残った商品をメーカー側が回収する商習慣があります。ありがたい仕組みですが、 場合によっては小売店側が負担しなければなりません。 【小売店側が負担するケース】
- 野菜や肉、魚など生鮮食品の劣化
- 調理済みのお惣菜
- その他、店舗内で加工したもの
これら売れ残りを廃棄するのではなく、利益に変える工夫が必要です。見切り販売は、こういった廃棄コストを軽減し、 利益の確保につながります。
適切な見切りは集客につながる可能性がある
適切なタイミング、そして売り場を用意すれば、見切り販売で集客できます。 中には見切り販売を楽しみにしているお客様もいるため、販売戦略のひとつとして効果的です。 見切り販売で集客し、他の商品を宣伝すれば「ついでに買おう」と思ってもらえます。 ただし集客目的での見切りは、独占禁止法により禁止されています。見切りをする場合は「賞味期限が近い」 「商品に傷がある」など、見切りをする理由が必要です。 過度な見切りではなく、今ある見切り品をどのように販売するか考えてみてください。
食品スーパーの見切り販売のデメリット
続いて、見切り販売のデメリットを紹介します。
見切りのタイミングが難しい
見切りのタイミングは難しく、少し間違うと機会損失につながります。 例えば早めに見切りをして、あっという間に売り切れると、定価で売れるはずだった商品の売上が落ちます。 逆に見切りが遅いと廃棄になり、こちらも売上につながりません。 見切りのタイミングは、その日の天候や気温、お客様の入り具合によって変わります。 そのため、その日の状況を見極めて判断する能力が問われるでしょう。
ブランド価値を落としてしまう
見切り販売は、食品スーパーのブランド価値を落とす原因になります。 安さがウリのお店なら問題ありません。しかし、品質に自信のあるお店や高級ラインの食品を取り扱うお店だと、 お客様からの信頼を失う可能性があります。 ブランド品が値引きされない理由には、こういった背景があるのです。 そのため、自社の立ち位置はどこなのか、見極めてから見切り販売を実施しましょう。
鮮度が落ちてリピートにつながらない可能性がある
食品スーパーでは、鮮度の落ちた野菜や肉、魚などを見切り販売します。 しかし鮮度が落ちると、味や食感も悪くなります。すると、お客様の満足度が下がり、信頼を失ってしまうかも しれません。 もちろんお客様も理解した上で購入していますが、あまりにも味が悪いと「見切り品以外の商品も 美味しくないのでは?」と思われます。 そのため見切る商品であっても、一定の品質を保持しておくことが大切です。
食品スーパーにおける見切り販売を削減するコツ
見切り販売を効率化すれば、食品ロス削減や売上の確保につながります。 しかし、それ以前に、見切りを出さない努力が大切です。見切りを出さずに売り切れば、売上を最大化できます。 そこで見切り商品を出さないコツやポイントを紹介します。
割引率を低くして早めに見切る
店舗で加工する食品は、製造時間を改善することで見切りを減らせます。 例えば、お惣菜売場ではお客様が減るタイミングで3〜5割の大幅な割引を実施します。 しかし、最後に割引するなら見切り販売を早めた方が得策です。お客様の多い時間帯に1〜2割引きで販売すれば、 売上を確保しつつ廃棄率を下げられます。 また「値引き」は、お客様にとって嬉しいイベントです。多くのお客様に見切り販売の存在を知ってもらい、 リピーター確保につなげましょう。
POS(販売実績)データで発注をコントロールする
POS(販売実績)データを活用すれば、見切りを減らせます。
- いつ品切れしたか
- 何個在庫になったか
- 値下げして何個売れ残ったか
販売実績を確認し、今後の売上予測を立てたり発注数を決めたりすれば、おのずと見切りも減っていきます。 特に天候や気温など、過去の状況と合わせて売上予測を立てると、より精度が高まるはずです。
前出しを徹底する
前出しとは、売場にある商品を前に出して整理する作業です。 お客様が商品を手に取ると、目に見える商品数が減ります。 するとお客様の目にとまりにくく、機会損失につながります。 だからこそ前出しを徹底して、手に取ってもらえるチャンスを増やすことが大切です。 また前出しをすると売場の見栄えが良くなり、店舗のイメージアップにもつながります。 ぜひ前出しを徹底して、商品を手に取りやすい売場を目指しましょう。
コンビニのローソンは見切り販売推奨へ
コンビニエンスストア大手のローソンでは、加盟店に見切り販売を推奨しています。 一般的にコンビニでは、ブランド価値の低下を避けるために、見切り販売は推奨されていませんでした。 しかしローソンでは、食品ロス削減や廃棄による店舗側の負担軽減のため、見切り販売に乗り出しました。 見切りのタイミングに関しては、加盟店が自由に判断できます。これにより店舗の負担が軽減。 中には売上確保に成功した店舗もあるようです。
食品ロス削減に取り組む食品スーパーの事例
最後に食品ロス削減に取り組む食品スーパーの事例を紹介します。
食品の端材を有効活用するヤオコー
■引用元:ヤオコーHP(https://www.yaoko-net.com/product/) 埼玉県川越市に本社をおくヤオコーでは、関東地方を中心に「ヤオコー マーケットプレイス」を展開。 独自の環境方針を取り決め、地域社会との共生を目指しています。 店舗では、パイナップルをカットフルーツとして販売する過程で出た可食部の端材をドライフルーツに加工。 これにより廃棄や食品ロスが減り、売上の確保にもつながっています。 また一部の鶏肉をノントレー化し、産地パックで高鮮度を維持する取り組みも行っています。賞味期限が長くなり、 食品ロス削減につながっているようです。
青果売り場の果物をスムージーにするウジエスーパー
■引用元:U-cafe(@ucafe2021)・Instagram(https://www.instagram.com/ucafe2021/?hl=ja) 宮城県登米市に本社をおき、30店舗以上を展開するウジエスーパー。 同スーパーでは、2021年から食品ロス削減の一環として、店舗内のカフェでスムージーを販売しています。 もともと大手スーパーと差別化を図るために、季節商品を豊富に取り扱う戦略を取っていました。 しかしその反面、食品ロスの増加が問題になっていたそうです。 そこで仕入れた商品をスムージーに加工し、販売することに。食品ロスを掲げて売り出した結果、 大きな集客効果を生み、売上アップにつながりました。
お客様に合わせた商品を用意するナイス
■引用元:ナイスHP(https://www.nices.co.jp/) 秋田県を中心に食品スーパーを展開するナイスでは、食品ロスの解決に取り組んでいます。 特に、お客様に合わせた商品販売をしているのが特徴です。 例えば、大家族のお客様と単身のお客様では、必要とする商品の量が異なります。そこで野菜を小さくカットしたり、 お肉のパックを大・中・小の3種類用意したりなど、ニーズに合わせて販売。 また食品ロスの出やすい季節商品に関しては、予約アプリを用意して、できるだけ売り切る努力をしています。 ナイスでは、この活動が評価され秋田県のSDGsパートナーにも認定されました。
フードバンクへ商品提供しているハローズ
■引用元:ハローズHP(https://www.halows.com/) 中四国に食品スーパーを展開する「ハローズ」では、2015年からフードバンクへの寄付をしています。 従来の流れは、食品スーパーからフードバンク団体に寄付し、そこから支援団体に配布されるのが一般的でした。 しかしハローズでは、店舗で販売できない食品を集めて、そのまま支援団体に寄付しています。 これにより、早く傷んでしまう商品の提供が可能となりました。 廃棄率が大幅に改善するだけでなく、地域貢献にもつながっているそうです。
見切り品を出さない努力が大切
今回は食品スーパーにおける見切り販売について解説してきました。 適切な見切り販売は、食品ロス削減や売上の確保につながります。 そして見切り販売を行う前に、適切に売り切る戦略も必要です。 ショクビズを運営する株式会社丸信では、食品トレーの提案や店舗の売場などのサポートを行っています。 パッケージのプロだからこそわかる、効果的な売場の提案もしていますので、ぜひご活用ください。 ショクビズを運営する株式会社丸信では、商品企画のサポートやOEM商品を探せる食品開発OEM.jpを運営しています。 これまでの経験や実績をもとに、食品メーカーや小売店向けの相談やサポートも承っておりますので、ぜひご活用ください。 ▼「食品開発OEM.jp」はこちら オススメ記事はこちら ・無菌充填包装とは?メリットや事例までご紹介 ・「安納芋」「ブロッコリー」「オクラ」 「もったいない」を「おいしい」に!
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この記事のライター
ショクビズ編集部
企業の主な実績
オリジナルシールの企画・作成 10,000社以上
オリジナル紙箱・化粧箱・パッケージの企画・作成 11,000製品以上