Camera Raw 新機能がすごい!画像補正に使えるテクニックをご紹介
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一眼レフやミラーレスカメラで撮影した写真やスマホで撮影してももうちょっと明るくしたい、鮮やかにしたいなどの理由で画像編集ソフトやアプリを使用したことがある方も多いと思います。1枚の写真を作るためには撮影と画像編集が重要です。もし撮影がうまくいかなくても、編集の段階で改良することもできます。
今回は日頃使用しているAdobe Photoshopでよく使うツールとバージョンアップで追加された便利な機能についてご紹介します。
画像編集ツール「Photoshop」の導入方法
Photoshopを導入するためにはAdobeのホームページからフォトプランを購入する必要があります。料金プランは3つありますが、まずは無料体験版を利用してからプランを選ぶのがおすすめです。
※画像引用元:AdobePhotoshop料金比較
https://www.adobe.com/jp/creativecloud/photography/compare-plans.html?promoid=PYPVPZQK&mv=other)
フォトプランにはクラウドストレージの保存容量が20GBと1TBの2つがありますが、大量の写真データの保存をクラウドベースにされるのであれば1TB。どれくらい保存するのかまだ検討がつかないのであれば20GBで始められると良いです。ただ20GBの保存容量というのは思ったよりも早く容量がいっぱいになりますので、プランを変更するつもりがなければ外付けのHDDにデータを入れて管理されてもいいでしょう。
Photoshopの画像修正でよく使用するツール
ここからは日頃の画像修正作業でよく使用するツールについてご紹介していきます。
ペンツールで商品写真の切り抜き
商品写真の切り抜き作業でもっともよく使用するのがペンツールです。ペンツールではベジェ曲線で(指定した二点間を結ぶ滑らかな曲線)商品の輪郭を描いていき、商品以外の不要な部分(背景)を削除して最終的に商品パッケージを残すときに使用しています。
1.商品の輪郭に沿ってペンツールで描いていきます。ペンツールで選択範囲を作るときはなるべく商品の内側をなぞると切り抜いたときに綺麗に仕上がりやすくなります。
2.完全に商品の輪郭を囲んだ状態です。あとは余分な背景を削除するだけですが、その前にきちんと輪郭に沿って選択できているか再度確認をすると失敗が少なくなります。
3.不要な部分(背景)を削除したらパッケージの切り抜き写真の完成です。他にも自動選択ツールやクイック選択ツール等がありますが、上手く選択することが出来ないのでカタログ用やチラシ用に切り抜く際にはペンツールで作業をするほうがきれいに仕上がります。
コピースタンプツールによる画像のレタッチ
画像の一部から別の部分にコピーするのがコピースタンプツールです。画像修正作業でとてもお世話になっているツールで、不要な部分を除去したり画像の損傷した部分を修復したりするのにとても役立ちます。修正の一例としてロールケーキの断面写真を使ってご説明します。
生クリームの表面が凸凹しているのがわかると思います。この部分をコピースタンプツールを使ってなめらかにしたのが次の写真です。
上の写真と見比べてみると生クリームの表面が滑らかになっています。コピースタンプツールの「不透明度」「流量」「ブラシの硬さ」の%値を低く設定して薄く何度も塗るようになじませて修正を行っています。
コピースタンプツールは「不透明度」「流量」「ブラシの硬さ」を調整して修正をしていくツールなので、修正したい箇所によって数値を変えて変更します。作業のコツは100%にせず低い数値から作業を進め馴染み具合を見ながら進めると自然な仕上がりに近づきます。
スポット修復ブラシツールで素早く修復
スポット修復ブラシツールは、ブラシで修正した部分をなぞったりクリックするだけで周りに馴染ませてくれる機能です。人物の肌補正では小さなデキモノや服についた埃、その他にも商品パッケージ撮影で賞味期限の印字などを簡単に修復してくれます。
例えば上の写真はクリスマス用シュトーレンで撮影した写真の一部ですが、左側にはあえてちらしたかけらが写っています。この部分をスポット修復ブラシツールを使って修正します。
このようにきれいに何もなかったかのように除去することが出来ます。一度で上手く行かなかった場合はブラシのサイズを変更して細かくドラッグしてみたりすることでキレイに修復することができます。
その他の修正ツール
Photoshopにはまだまだたくさんの機能がありご紹介するには数が非常に多いので、上記のツール以外にも画像修正の際に使用しているツールを簡単にご紹介します。
◆なげなわツール
なげなわツールは、自由な形状の選択範囲を描く際に便利なツールです。撮影した写真の一部の明るさや色合いを変えたいときにこのなげなわツールで選択範囲を作るとその部分だけを修正することが出来ます。
◆覆い焼きツール/焼き込みツール
覆い焼きツールは部分的になぞることで明るくすることが出来ます。光が当たっている部分を強調したいときには便利な機能です。特にお酒の瓶に貼ってある商品ラベルに箔押し加工等がされている場合にどうしても一部黒い縦線が入るのでその部分だけを覆い焼きツールでなぞることで暗い部分を明るくすることが出来ます。
焼き込みツールは覆い焼きツールの反対で影を強調して写真を引き締めることが出来ます。
写真修正は選択範囲+修復ツール(コピースタンプツールやスポット修復ブラシツール)or 色調補正ツールを駆使することで見違えるように仕上げることが出来ます。ツールの特性を理解してどんどん修正作業をすることで上達していきます。
Photoshopの人物補正でおすすめの機能
ここからは新たに追加された機能を実際に利用してみて作業時間が短縮されたと実感した機能についてご紹介していきます。
注)ここからご紹介する機能はPhotoshopのバージョンが関係してくるのでご利用環境によってはアップデートが必要になります。
ニューラルフィルター(バージョン22.0〜)
ニューラルフィルターは写真(特に人物写真)を多角的に編集する機能です。今まで何分もかかっていた編集作業がわずか数クリックするだけで出来てしまいます。利用するにはPhotoshopのバージョンは22.0〜となっています。
フィルターの利用はフィルター/ニューラルフィルターに移動して目的のフィルターをクラウドからダウンロードすることで利用可能になります。
この機能の中で「肌をスムーズに」する機能を、フォトACのフリー素材写真を使用して適用する前と適用したあとの比較をしてみます。
こちらはフィルター適用前の写真です。この男性の写真にニューラルフィルターを適用してみます。
設定値はデフォルトの「ぼかし:50 滑らかさ:0」のまま適用します。
フィルターを適用したあとの写真です。元々の写真と比べると肌の質感が滑らかになって若く感じられるのではないでしょうか。肌を滑らかにする作業はコピースタンプツールを使ってほうれい線や目元をなぞってきれいにしていましたが、この機能が使えるようになったことで数分かかっていた作業が1分もかからずにできるようになりました。
特に女性の肌のレタッチには時間をかけて行うので時間をかけずに数値を変えるだけで作業できる便利な機能です。
選択とマスクツール
選択とマスクは、Photoshop CC 2017になってから「境界線を調整」から「選択とマスク」に名称を変えてバージョンアップされた機能です。切り抜きで最も大変なのが人物のふわっとした髪の毛やもこもこした素材です。今まではきれいに選択できないために呆れめていた部分もありましたが、新しく機能追加されたことで複雑な部分の処理が改善されて以前よりも短時間で完了するようになっています。
ニューラルフィルターのご説明の際に使用したときと同じ、フォトACから女性のフリー素材写真を使用して作業をしてみます。
作業前の写真データです。髪の毛が風になびいてふわっとしていますね。この写真から女性と風になびく髪の毛を選択し、選択とマスク機能を使って切り抜きます。
選択とマスク機能を使って人物の選択範囲を作っています。赤くなっている箇所が切り抜き後に不要な部分です。髪の毛部分がどのようになっているのか拡大していきます。
画像は粗いですが、風になびいている髪の毛が選択されています。選択とマスク機能には境界線調整ブラシがありこのブラシ機能のお陰でふわっとしている部分を選択することができるようになりました。このまま女性だけを残して切り抜きます。
女性と風になびく髪の毛を綺麗に切り抜くことが出来ました。精度を高めるためにはもっと細かく作業をしていく必要がありますが、ここまでの作業でも一から切り抜くより時間短縮になっています。
Camera Rawのマスクで人物をパーツごとに選択
Camera RawはフォトプランでインストールできるPhotoshopやBridgeにプラグイン機能が搭載されています。マスク機能の前にまずはCamera Rawがどういうソフトなのか簡単にご紹介します。
Camera Rawとは
Camera RawはフォトプランでインストールできるPhotoshopやBridgeにプラグイン機能が搭載されています。 RAWデータとは一眼レフやミラーレスカメラで撮影した非加工状態の画像データのことです。JPEG画像は圧縮保存されているので色や明るさの可変領域が限界値に達しているため狭い領域内で編集するしかないのに対して、RAW画像は可変領域に余裕があるため表現の幅が大きく、色や明るさ、画像の歪みなど細かい部分までダイナミックに補正することができます。
普段商品撮影をしている私達もRAWデータで撮影して編集した後、JPEGデータに保存という流れで写真データを作っています。
Camera Rawを起動すると表示される画面はフォトプラン契約でインストールすることができるLightroom Classicと似ていて直感的に操作することが出来ます。編集できる項目もほぼ同じです。
マスク機能を使って人物を簡単に選択(Camera Raw バージョン15 以上)
2022年10月にCamera Rawのバージョン15 がリリースされたときに新しくなった機能です。AI機能が強化され、マスク/人物と選択するだけで自動的に人物だけを判断してマスクを作ってくれる優秀な機能です。実際にこの機能を使って人物だけを選択してみます。
マスク/人物と選択するだけで正確に人物だけの選択範囲を設定出来ました。これまでPhotoshopで人物だけの選択範囲を正確に作ろうとすると何分も時間がかかっていた作業がわずか数秒で出来てしまいます。それでは人物が二人写っている場合はどうでしょうか。
男性と女性をそれぞれ正確に人物マスクが出来上がっています。ここまで正確にマスクを作れたら人物写真を何十枚も修正する際にはかなりの時間短縮になるはずです。この人物だけを選択するマスクには更に「顔の肌・体の肌(手や首など)・眉・白目・虹彩と瞳孔・唇・歯・髪の毛・服」ごとにマスクを作ることができます。
男性の顔の肌にチェックを入れると顔の肌だけがマスクが作られ眉・目・唇・歯・髪の毛のパーツはマスクされていないので、このあと顔の肌だけを修正することが出来ます。
服だけにマスクが作られるようにしてもパソコンや僅かに写っている左手を避けてマスクが作られています。
最後に女性の髪だけにマスクを作って髪の色を青くしました。マスクがきれいに作られている分、色味を変えても自然に仕上がります。Photoshopで選択範囲を作って修正をするよりもCamera Rawの機能を使えば短い時間で作業ができるようになります。
また、Camera Rawには1枚の写真に適用した変更と同じ内容を、多くの似たような写真に簡単に適用する機能があります。この機能を利用して多くの人物写真にパーツごとに適用したマスクの設定を適用させても、AIが写真ごとにパーツの位置を判別して適用してくれるのでマスクの範囲がずれることもありません。この特性を活かせば大量の人物写真を編集するときに大きな時間節約になります。
この人物のみにマスクを作る機能ですが、顔が写っていない写真(手だけが写っている)だと「この写真内の人物を選択できません」と表示され人物のみを選択することが出来ません。AIが判別できるのは、顔が分かる写真に限られるようです。
いろんな機能を使ってたくさん編集してみよう
今回はPhotoshopでよく使う修正ツールと追加された便利な機能について簡単にご紹介させていただきました。まだまだ沢山の機能があります。実際に使ってみないとツールの使い方や便利さはなかなか分からないものです。修正手順は一つではないので、まずは実際にPhotoshopやCamera Rawを使って編集を沢山やってみてください。
この記事のライター
ショクビズ編集部
企業の主な実績
オリジナルシールの企画・作成 10,000社以上
オリジナル紙箱・化粧箱・パッケージの企画・作成 11,000製品以上