ロングライフ食品とは?長持ちさせる秘密やメリット・デメリットを解説

公開日:2023.08.07 更新日:2024.10.17
ライター:ショクビズ編集部
ロングライフ食品とは。長持ちさせる秘密・メリット・デメリットを解説

日本では食品ロスが大きな問題となっています。食品の多くを輸入に頼っていながら、大量の食品ロスが発生している状態です。 そこで注目を集めているのが「ロングライフ食品」です。 ロングライフ食品とは、通常日持ちしない商品を常温で長期保存できるように加工した食品。普及すれば食品ロスだけでなく、災害時などの非常食としても役立ちます。 そこでこの記事では、ロングライフ食品の特徴や開発するメリット、企業の事例をご紹介します。  

ロングライフ食品とは

ロングライフ食品とは、食品加工や包装などを工夫し、長期保存できるようにした食品を指します。法律的な定義はありませんが、数ヶ月以上の賞味期限がある場合に適用されているようです。通常は日持ちしない牛乳や豆腐も、常温で数ヶ月保存できるようになり、人々の生活に大きな変化をもたらしています。 もともと賞味期限の長い食品は、乾燥や加熱殺菌で細菌の繁殖を抑えて、保存性を高める方法が一般的でした。しかし最近は、無菌充填や高圧殺菌などの技術が進歩し、本来の風味を損なわずに食品加工ができるようになりました。 今後もさらなる技術革新が行われ、ロングライフ食品は一般的になっていくでしょう。  

ロングライフ食品が注目される背景

農林水産省の調査(令和2年度)によると、食品産業全体の食品廃棄物等の年間発生量は16,236千トンにも及びます。 食品ロスの問題は、国連サミットの「持続可能な開発のための2030アジェンダ」でも注目を集めました。SDGsの観点からも、食品ロスを減らす取り組みが重要だと考えられています。よってロングライフ食品が注目を集めているのです。 最近は、食品メーカーの新しい技術により、賞味期限を延長する取り組みが始まっています。SDGsの観点からも良いとされているため、ロングライフ食品を開発する食品メーカーは注目を集めやすいでしょう。  

ロングライフ食品の秘密は「殺菌」の方法にある

ロングライフ食品は、どのように加工されているのでしょうか? その秘密は「殺菌」の方法にあります。

  • 超高温で瞬間殺菌
  • 光と空気を遮断
  • 清潔な環境で無菌状態を作り出してパック詰め 

このように殺菌するだけでなく、菌が繁殖しづらい技術が出てきたのも理由です。 例えば、日本ハムの子会社マリンフーズでは、食品をパック包装後に1000気圧以上の圧力をかけて殺菌を行っています。この圧力は水深1万mと同等です。 今まで加熱でしか殺菌できなかったものを、生のまま殺菌できる技術は、業界に大きな革新をもたらしました。その結果、従来1週間ほどだった海産物を使った総菜の賞味期間を、45日まで延長しています。 原料の食感や風味を損なわずに殺菌できる技術は、今後拡大していくでしょう。  

ロングライフ食品を開発するメリットとは?

食品メーカーがロングライフ食品を開発するメリットを紹介します。  

食品ロスを減らせる

ロングライフ食品が普及すれば、食品ロスを減らすことができます。 今まで数日〜数週間しか保存できなかった食品が、数ヶ月持つようになると、それだけで食品ロスが減るはずです。 日本テトラパック株式会社が子どもがいる働く女性500名を対象にした調査では、「牛乳を賞味期限切れにしてしまった経験がある」と回答した女性が約75%。日持ちしにくい商品は、飲み切る前に破棄してしまうケースが多いようです。 食品ロスの削減は、SDGsの観点からも注目を集めています。よってロングライフ食品は、世間から注目を集めやすく、購入のきっかけになるのがメリットです。 ロングライフ食品は、日本の食品問題を解決する上で大切なものとなっていくでしょう。  

常温で長期保存できる

ロングライフ食品は、常温で長期保存できるのがメリットです。 常温で保存できるようになると、

  • 災害時の保存食になる
  • 冷蔵庫を圧迫しない
  • 買い溜めができる 

などの利点があります。 今まで冷蔵でしか保存できなかった食品が常温保存に対応すれば、災害時の食事のバリエーションが増えるなど、幅広い活用ができるでしょう。  

保存料を無添加にできる

一般的に長期保存できる食品は、添加物が入ったものばかりでした。しかしロングライフ食品は殺菌技術によって保存性を高めているため、添加物は入っていない、もしくは少量しか添加されていません。よって添加物を気にせずに購入できるのがメリットです。 最近は、無添加の食品を購入する人が増えています。無添加かつ長期保存ができれば、健康志向の人からの需要を巻き取れるでしょう。  

ロングライフ食品のデメリットは?

食品メーカーがロングライフ食品を開発するデメリットを紹介します。  

専用の設備が必要

ロングライフ食品の製造には、専用の設備が必要です。高圧をかける機械を導入したり、工場を清潔に保ったりするには、一定の費用がかかります。初期投資だけでなく、継続的なコストがかかる面があり、すぐ開発に着手できるというものではありません。 もちろんロングライフ食品を開発すれば、売上アップなどが期待できますので、長期的な視点を持って着手するか決めてみてください。  

価格が高くなりやすい

ロングライフ食品は、特別な技術を用いて製造します。よって通常の商品よりも価格が上がりやすいのがデメリットです。ロングライフ食品の普及は、まだ始まったばかり。価格が安定するまで時間がかかる可能性があります。 消費者にとって、価格は商品を選ぶ大きな指標です。そのため商品を発売しても、最初は売れない可能性があるかもしれません。  

ロングライフ食品を開発する食品メーカーの事例

ロングライフ食品を開発する食品メーカーの事例をご紹介します。  

北海道産生乳100% ロングライフ牛乳(よつ葉乳業)

■画像引用元:よつ葉乳業株式会社公式HP(https://www.yotsuba.co.jp/ よつ葉乳業は、北海道の酪農家が生産した高品質な生乳で、さまざまな乳製品を開発する食品メーカーです。 その中でも注目を集めているのが、常温で保存できる「牛乳シリーズ」。加熱殺菌や無菌充填の技術を活用し、長期保存を実現しています。しかも原料の生乳は、冷蔵保存の牛乳と同じ。よって冷蔵と同じくらい美味しい牛乳を楽しめます。 冷蔵が一般的だった商品を常温保存可にすることで、多くの需要を巻き取った事例です。  

無添加 ロングライフ 無塩パン(無塩ドットコム)

■画像引用元:無塩ドットコム(https://www.muen-genen.com/ 減塩専門店の無塩ドットコムでは、常温で30日間保存できるロングライフの無塩パンを販売しています。 無塩パンの特徴は以下の通り。

  • 食塩は不使用
  • 無添加
  • 常温で30日間保存可能

一般的に、無塩パンは添加物が多いイメージが定着していました。そこでパンメーカーと研究を進め、無添加で常温保存できる無塩パンの開発をしたそうです。乳化剤や化学調味料などの添加物を一切使用しておらず、子どもがいる方でも安心して注文できます。 パンは日常的に食べる食品です。よって一定の売上を見込める商品といえるでしょう。  

絹ごしとうふ(森永)

■画像引用元:森永絹とうふ公式HP(https://morinaga-tofu.com/ 大手お菓子メーカーの森永では、常温で長期保存できる豆腐「森永とうふ」の開発に成功しました。 同社では、紙パックに無菌充填するロングライフ製法を採用しています。また紙パックは、ポリエチレンと紙の層の間にアルミ箔を挟み、空気と光を遮断。変質を防ぐ取り組みも行っています。その結果、最長で216日もの長期保存を可能にしました。 さらに大豆の風味を落とさないように、挽き搾り製法を採用。冷蔵の豆腐と同じような食感と美味しさを実現しています。  

総菜和食(ロングライフフーズ)

■画像引用元:ロングライフフーズ公式HP(https://llf.jp.net/ ロングライフフーズは、「be prepared.常に備えを。」をコンセプトに、保存食を開発する食品メーカーです。 パッケージは、特殊な素材を使用し、酸素や水分、光の侵入を防ぐ加工を施しています。また特殊な技術で、加圧・加熱殺菌処理を行い、食感を損なわず、常温で長期保存が可能な食品を多数開発。主食のご飯やパン類、惣菜和食など、商品の種類も豊富です。中でも惣菜和食は、さばの味噌煮や筑前煮、ハンバーグ、おでんなど豊富なラインナップが魅力。 社名の通り、ロングライフ食品をメインにしたメーカーとして業界を牽引しています。  

ロングライフフードの需要が高まっている

SDGsの観点から、ロングライフ食品の需要が高まっています。特に日本では食品ロスが大きな問題となっているため、常温で長期保存できる食品は期待されています。 そしてロングライフ食品の開発には企画力が求められています。 ショクビズを運営する株式会社丸信では、商品企画のサポートやOEM商品を探せる食品開発OEM.jpを運営しています。これまでの経験や実績をもとに、食品メーカーや小売店向けの相談やサポートも承っておりますので、ぜひご活用ください。 ▼「食品開発OEM.jp」はこちら オススメの記事はこちら ・食品ロスに特化したレトルト商品 ・缶詰製品のOEMを検討する -常備食、おつまみ、防災製品を小ロット開発  

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