ハラルフードとは?イスラム教に基づいた特徴や食品メーカーのハラル対応食品を事例を紹介

公開日:2023.09.27 更新日:2024.10.17
ライター:ショクビズ編集部
ハラルフードとは?イスラム教に基づいた特徴や食品メーカーのハラル対応食品を事例を紹介

日本は外国人旅行客の多い観光大国です。企業や飲食店も外国人向けの食品の開発を進め、食の多様化が進んでいます。 その中で注目を集めているのが「ハラルフード」です。 ハラルフードとは、イスラム教の戒律によって食べることが許されている食品です。イスラム教は食の制限が多く、食べてよいものと食べられないものが定められています。 そこでこの記事では、ハラルフードの特徴やハラル食品を開発するメリット、企業を事例をご紹介します。  

ハラルフードとは

まずはハラルフードの特徴と、ハラル認証について解説します。  

ハラルフードの特徴

ハラルフードとは、イスラム教の教えで「食べても良いもの」を指すものです。ハラルアラビア語で「許されている」を意味しています。 イスラム教は食の制限が厳しく、食べてよいものと食べられないものが定められています。 特に厳しく制限されているのが「豚肉」「アルコール」です。 豚肉に関しては固形物だけでなく

    • 豚肉と一緒に保管されていた食材
    • 豚肉を食べて育った動物
    • 豚由来の素材を使った医薬品・化粧品

なども禁止されています。 イスラム教では「豚は不浄のもの」といわれ、食べることが許されていません。

日本では豚肉を当たり前のように食べます。よってハラルフードへの理解が進んでいないのが現状。ハラル食品を開発する際は、細心の注意を払う必要があるでしょう。  

ハラル認証について

日本でハラルフードを開発するなら、ハラル認証の取得がおすすめです。なぜならハラルの区別は非常に細かく設定されているからです。容易にハラルフードを開発し、基準を満たさないまま世に出すと、信頼を失ってしまう可能性があります。 ハラル認証は、宗教や食品衛生のプロであるハラル認証機関によって検査され、ハラルに適した食品か審査してもらえる取り組みです。認証機関で安全性が認められれば、ハラル認証の専用のハラルマークを取得できます。 イスラム教の人は、日本で食品を購入する際にハラル認証かどうかを見極めます。よってハラル認証を受けていれば、イスラム教の方に商品を購入してもらいやすいでしょう。  

ハラルフードが注目される2つの理由

なぜ日本でハラルフードが注目されているのでしょうか?その理由をまとめて解説します。  

訪日外国人旅行者の増加

新型コロナウイルスが落ち着き、日本を訪れる外国人旅行客が増加しています。 日本政府観光局によると、2023年5月に日本を訪れた外国人旅行者は推計で約190万人。コロナ前の賑わいを取り戻しつつあります。 イスラム圏からの旅行者も多く、日本食を楽しむ人も増えてきました。また日本に長期滞在する人は、スーパーマーケットなどでハラルフードを購入しています。 このように外国人が増えるにつれ、ハラルフードは注目を集めていくでしょう。  

フードダイバーシティの浸透

フードダイバーシティとは、食の多様性を意味する言葉です。 世界では宗教の違いによって食文化が異なります。その違いを受け入れて、多くの人が食を楽しめるようにする考え方がフードダイバーシティです。日本では外国人旅行者が増える一方で、フードダイバーシティの認知は遅れています。特にハラルフードの認知度は低く、まだまだ日本では一般的ではありません。 しかし観光庁が「多様な食文化・食習慣を有する外国人客への対応マニュアル」を公開するなど、フードダイバーシティの取り組みは進み始めています。よって今後は、ハラルフードへの注目が集まっていくかもしれません。  

ハラル認証の食品を開発するメリットとは?

食品メーカーが、ハラル認証の食品を開発するメリットを紹介します。  

世界人口の1/4を占めるイスラム教へリーチできる

イスラム教は、日本に馴染みのない宗教です。しかし世界全体のイスラム人口は約15.7億人世界の20%以上をイスラム教徒が占めています。キリスト教に次いで信者の多い宗教であり、世界的に見るとハラルフードは重要視されているのです。 今後、外国人旅行者が増えることを考えれば、ハラルフードの開発は大きな利益を生み出すチャンスです。またハラルフードをイスラム圏に輸出すれば、さらなる利益拡大が期待できます。  

ムスリムとの架け橋になる

ハラル認証を受ければ、ムスリムの人たちから支持されるようになります。ムスリムとは、イスラム教徒を意味するアラビア語です。日本ではハラルフードが少なく、食事に不自由しているムスリムの方もいます。 よってハラル認証を食品を開発すれば、外国人旅行者だけでなく、日本に住むムスリムの方からも支持されるでしょう。  

ハラル認証の食品を開発するデメリットはある?

ハラル認証の食品を開発するデメリットを解説します。  

一定の費用がかかる

ハラル認証の受けるには一定の費用がかかります。費用は認証機関によって異なるため、基準があるわけではありません。食品メーカーの場合、100万円以上はかかるといわれています。またハラル認証には有効期間があり、更新料も必要です。よってコストに見合った売り上げがあるか、確認してから認証を受けた方がいいでしょう。  

原材料の取り扱いが難しい

ハラルフードを開発する場合、原材料の取り扱いが難しくなります。 ハラルでは、豚肉と一緒に保管された食材も食べることができません。よって原材料を受け入れる際は、輸送から厳しいルールを定めておく必要があります。 また製造現場でも、豚肉やアルコールとの接触を避けなければなりません。豚肉を含む、含まないでラインを区別したり、スタッフのキャップの色を変えたりなど、すぐに判別できるように工夫しておきましょう。  

ハラル対応の食品を開発している日本の企業事例

現在日本でもハラルフードを広める取り組みが行われています。 例えば、Halal Media Japanと呼ばれるサイトでは、日本のハラル情報について発信しています。ムスリム向けの飲食店なども紹介されているので、このサイトを参考に開発を進めるのもおすすめです。 それでは、ハラル対応の食品を開発する日本企業の事例を紹介します。  

アルファ米 きのこごはん(尾西食品)

■画像引用元:尾西食品株式会社公式HP(https://www.onisifoods.co.jp/products/list.html#section_gohan アルファ米のパイオニアとして業界を牽引する尾西食品。防災食の分野では、日本シェアNo.1を誇っています。 アルファ米とは、炊きたてのご飯の美味しさを残したまま急速乾燥させたお米です。さまざまなラインナップがあり、具材が多く入った「きのこごはん」が人気です。 こちらの商品は、ハラル認証だけでなく、アレルギー物質28品目も使用されていません。よって災害時でも、多くの人が口にできる食品として重宝されています。 災害時はハラルフードに気を遣えない場面が多いです。よって今後は、さらに普及していくと考えられています。  

大豆ミート(不二製油)

■画像引用元:不二製油株式会社公式HP(https://www.fujioil.co.jp/index.html 不二製油は、大豆ミートと国内シェアNo.1を誇る食品メーカーです。早くから栄養価の高い大豆に着目し、肉に近い食感の大豆ミートを開発してきました。 大豆ミートは肉類を使用していないため、ハラルだけでなくベジタリアンにも対応しています。また健康志向の人からも支持されており、日本でも急速に拡大している分野です。 ムスリムの人は、豚肉を食べたくても食べることができません。肉に近い食感の大豆ミートであれば、豚肉のような美味しさを体感できます。 世界的にも大豆ミートは流行しているため、今後も市場は拡大していくでしょう。  

チキン100%使用 生ソーセージ(株式会社ムンドグローバル)

■画像引用元:株式会社ムンドグローバル公式HP(https://www.fujioil.co.jp/index.html 株式会社ムンドグローバルでは、鶏肉100%をソーセージを開発・製造しています。 ブラジル産のハラル鶏肉を、ハラルの羊腸に詰めたハラル対応のソーセージです。ハラル認証も受けており、ムスリムの方でも安心して食べられます。 ハラルは豚肉にも触れてはいけないため、仕入れから気を遣わなければなりません。こちらではハラルに対応した仕入れを行い、ムスリムの方から支持されています。  

業務スーパーでのハラルフードの取り扱いが始まっている

■画像引用元:業務スーパー公式HP(https://www.gyomusuper.jp/index.php 業務スーパーでは、2009年からハラルフードの取り扱いを始めました。現在は100種類以上のハラル食品を取り揃えており、ムスリムの方から支持されています。 特に日本に住むムスリムの方や、ハラルフードを提供する飲食店の方が購入するケースが多いようです。 このように、日本のスーパーマーケットでの取り扱いも増えており、今後が期待されています。  

ハラルフードは今後伸びていくと予想されている

イスラム教は世界人口の20%以上を占めています。よってハラルフードが普及していない日本は、大きなビジネスチャンスがあるということです。そしてハラルフードの開発には商品の企画力が求められています。 ショクビズを運営する株式会社丸信では、商品企画のサポートやOEM商品を探せる食品開発OEM.jpを運営しています。これまでの経験や実績をもとに、食品メーカーや小売店向けの相談やサポートも承っておりますので、ぜひご活用ください。 ▼「食品開発OEM.jp」はこちら オススメの記事はこちら ・代替食品とは?人気拡大の背景や商品例をご紹介 ・注目の大豆ミート!OEMでも美味しく作るポイントとは  

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